この世のものとは思えないくらい美しい、神事 | ほりきりのブログ

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 昨日から「上腕二頭筋」という謎ワードが飛び交っているからなんだろうと思った。そしたら衣装デザインの原さんのインタビューだったのだな。
 ワールドフィギュアスケート?そんな高い本買わないわ。皆さんすごいなあと思ったら、本誌に未収録の分をWebで記事にして公開しているではないか。本は高いくせになんと太っ腹な。見てきました。

 ワールドフィギュアスケートWeb
 コスチューム・ワールド ~ 原孟俊インタビューより



羽生結弦さんと内村航平さんのコラボレーションプログラムの衣装を担当しました。お2人とも、上腕二頭筋がこの世のものとは思えないぐらい美しいんです。それを特徴的に、品よく見せるためにはどうするかということをすごく考えました。内村さんの方はアームバンドなどをつけて男性的な筋肉の見せ方にして、羽生さんの場合はスリープの長さで肌の見え方をコントロールすることで、デザインの考え方としてはフェミニンに。そういったところでフィギュアスケートらしさと体操らしさの区分けを表現しました。


 これかあ。なんとかゆいところに手が届くご本人の解説でありましょうか。
 コンクエストパラダイスの超かっこいい衣装を作った原さんが、ご自分で、

 お2人とも、上腕二頭筋がこの世のものとは思えないぐらい美しいんです。

 って、なんというマニアックですばらしい表現だろう。腕、じゃなくて上腕二頭筋なところが萌えるし(こらこら)この世のものとは思えない。ああ、まったく同意!


 体操選手にとって上腕二頭筋は命だと思うのよ。グッと力を込めたときにポンプアップした筋肉がプルプルしてるさまなんかがつり輪の見どころだと思ってますからね。(変態…)
 一方スケーターの筋肉は、スピードなんかは足に特化していって、清水の太ももが女子のウエストくらいってのはよく言われた。
 ではフィギュアスケーターの腕ってどうして?ジャンプするときにギュッと締めるからかなあ。そんなに鍛えられているんだね。

 また筋肉が「すごい」のではなくて「美しい」ところもミソだと思う。ゴリゴリに盛り上がったボディービルダーのような筋肉じゃなくて、競技に必要な部分を鍛え上げて結果として出来上がった筋肉。それがこの世の元とは思えないほどに美しい、なんてすばらしいんだ。


 そしてお二人の衣装デザインの微妙な使い分けがツボだ。

 肩出し衣装は体操のランニングスタイルのユニホームにならったものだろうけど、羽生がまんまタンクトップというのも(昔は何度か着てたけどね) それがあの黒と金のスーパーゴージャスな王者衣装になるとはすごすぎる。


 内村のアームバンドはすごくかっこいい。体操選手ならいつもそのまま腕全部出してるけど、あの黒のアクセントがすごく似合ってる。


 さらに羽生の、スリーブっていうのね、貴婦人の手袋みたいに肘より上までのびてるやつ。

 貴婦人、と今自分で書いて納得した。そりゃあフェミニンだ。

 そしてこの肩と肘のあいだにあらわになる白い上腕二頭筋のたくましいラインがいい。(やっぱ変態…)

 これっていわゆる絶対領域だよね。やばいわ~




 でもね、こうしてマニアモードをさく裂させている一方で、むしろ後半部分のインタビューの方が私には刺さったかもしれない。

また、このショーの根底にある震災へのレクイエム的なニュアンスも考えましたね。未曽有の大災害などは時が経っていくと、その土地の儀式みたいなものとして残っていきます。その出来事を忘れないために、神事として鎮魂の気持ちを含めてセレモニーを行う。そんなイメージを思い描いて、それにふさわしい衣装になるようにデザインを考えました。

 3月11日をはさんで宮城のグランディで開催されるアイスショーが震災へのレクイエムなのはもちろんで、そのコンセプトは座長からも明確にされていた。
 でもそれを原さんが「神事」という。
 そう、それだ。あのショーの、あの演技たちを全部ひっくるめてあらわすならば、「神事」とはとてもふさわしいと思った。12年めで、まんま十三回忌ではあるのだけど、仏事よりは神事な気がする。

 羽生自身もあの、特に11日の演技については言っていた。氷に手を当てて、上にあげる。この場所で横たわっていた多くの人々の想いを魂を、そっと手をあててすくいあげて、天にかえす。
 あの日の羽生の演技はそんな感じだった。白鳥さんも春ちゃんも、本来たおやかではかなげなプログラムだ。でもあの日の演技はいつもとはだいぶ違う、苦悩や厳しさを差しまくる、特別なものになっていたな。


 その中で、あのコンクエストパラダイスは、内村の力も借りていっしょになって、力強く前に上にともに進む。荘厳にして厳粛。まさしく神事だったと思う。
 黒は鎮魂、金は永遠。
 ほら、フィニッシュはふたりで天をさすんだ。



  
 この記事が本誌未収録なのはなぜ?おかげで読めたけど。やっぱ上腕二頭筋がマニアックすぎたのかしら…
 
 原さん、あの衣装はあらゆる方面で最高ですね。すばらしい衣装をありがとうございました。


 次はFaOIね。もう全部できて、衣装合わせもしてるよね。どんな衣装かな。
 毎年思うけど、羽生結弦基準でデザインしてない?他の人にはビミョーでも羽生さんには異常に似合うんだもん。私が一番好きなのは2018年のハイネックでギャラクシーなアシメ衣装だ。大好き~
 今年は楽しみにしています。
 うわっ、もうあさってだ~~