⬆️このお話の続き



字を書けないまま小学校に入学したケントが,学校でどうしていたのか分からず、参観日に行った。



そのとき、先生がおっしゃったことはよく覚えている。



「授業中,わたしの話を聞かないでぼーっとしているお子さんが5人くらいいるんですが、ケント君もその中の一人です。

ただ、ケント君の場合は,わたしが横に来て教えれば,直ぐに理解します」



つまり,この時点では、ケントは授業中,動き回ったりすることはなく、むしろぼーっとしていたわけだ。



しかし、参観日に見ていると,ケントはずっと指遊びをしていた。



なんと,毎日そんなふうらしい。



さすがにそれを聞いたときはショックだったが、先生が横で教えてくださることは理解できるならそれでいいと思った。



ケントが一人っ子だったら,わたしはもっと気にしたのだろうが、他の3人の子どもたちにも手がかかり、それどころではなかったのだろう。



家は小学校の近くにあったので、そのまま帰ると直ぐに家だったので,ケントはいつもわざわざ家より遠い公園まで行ってから帰って来た。



ある日,ケントは学校からなかなか帰って来なかった。



そして帰ってくるなり、激しく泣き出した。




そんなふうに泣くことはあまりないので驚いて,学校で何かあったのか聞いてみたら,そうではなくケントは、

「ケントの大好きな木が切られちゃったよー,悲しいよー」と言った。



公園には,大きな樫の木があった。



その木が根本からバッサリと切られてしまったようだ。



ケントが通りかかったときに、ちょうど伐採されている最中だったようで、それをずっと見ていて悲しくてしょうがなかった。



ケントは切り株の一片を拾いそれを持ち帰ってきた。



泣きじゃくりながらそれを握りしめていた。



わたしが抱きしめると、「ぼく,あの木、大好きだったのに,木登りしたいと思っていたのに切られちゃった‥」と、また大泣きだった。



なかなか泣き止まないので、わたしも一緒に公園に行くと、ゴミ収集車が走り去るところだった。



夕方,少し落ち着いたところで、持ち帰った木に絵を描いたらどうかと言ってみた。



すると,ケントは木の周りで遊ぶ子どもたちの絵を描いた。







この木は、今もケントの思い出し箱に入っている。



そして,ケントは,学校に行き始めてしばらく経った頃,おもしろいことを言った。



続く



次回、ケントとの無料zoomお話会は6月28日金曜日,20時半からです。

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