わたしは,予定日より少し早く生まれてきた。



2250gの低出生体重児だった。



しかも,生まれても泣かないので,お産婆さんに逆さにされて背中を叩かれてようやく泣いた。



お産婆さんの坂本さんは、産後もよく通って色々と面倒を見てくれたらしい。



しかし,困ったことに,わたしは突然おっぱいもミルクも飲むことをやめた。



泣くこともない。



つまり,無反応。



生まれたての赤ん坊がミルクを飲むことをやめてしまったらどうしようもない。



と、言うか死んでしまう。



それは,生後13日目のことだった。



おじいちゃん,おばあちゃん,両親,医者が見守る姿がなぜか今もわたしの目に浮かぶ。



暗い,その情景の真ん中に赤ん坊のわたしがいる。



父は,生きようとしないわたしを見て、涙をポロポロこぼし,その涙がわたしの頬に落ちたと母が教えてくれたた。



きっと,父はわたしの顔を覗き込みながら泣いていたのだろう。



わたしは父が亡くなってから,

その涙で,わたしはやっぱり生きようと思ったのではないかと思った。



結局、皆んなが見守る中,医者が打った注射でわたしは泣いて,その後ミルクを飲むようになった。



その注射の液剤がなんなのか分からないが、わたしが直ぐに泣いたので,液剤の大半は注射の中に残ったままだったと母が言っていた。



なんとか,生きることにしたが、わたしは、普通の赤ちゃんとは全く違っていた。



続く‥