「パソコンの勉強で,やっと良い方法を見つけました。

教科書をひたすら読むんです。

動画を観るのは1.5倍速にしても時間がかかり過ぎます。

教科書を読む方がずっと効率的です」



「教科書は何ページあるの?」」



「教科書は388ページあるのですが,それを7回くらい読みました」



「何時間で読んだの?」



「5時間くらいかかりました。

最初の1回目は、理解しながら読むので2時間かかりましたが、後はだいたい内容は分かっているので早く読むことができます。

これで,試験に向けて先が見えてきました」



「それは,良かったね」




次男は,大学時代もひたすら教科書を読んでテストを受けてきた。



高速で読めるので,短い時間で何回も読むことができる。



中学のときは,先生の話を聞かずに教科書を読んでいた。



先生が教えてくださったことがとても印象的でよく覚えている。



「堀内君は教科書を一つの読み物として読んでいます」



中学のときは,休み時間に自閉症の光君のことを書いた「光とともに」や星新一の短編をずっと読んでいたようだが、さすがに授業中は、それはまずいわけで、代わりに教科書を読んでいたようだ。



おもしろい本を見つけると,その内容を教えてくれるのだが、全て頭に入っているようで、次男が話してくれる物語りにいつも引き込まれた。



その頃読んでいたアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)について書かれていた本の中に「アスペルガーの子は本をよく読むが,その内容はあまり理解していない」ってあって、「何を言ってるんだか」って思っていた。



あるとき、



だいぶ前だが、わたしが悲しみに暮れているときがあった。



そのとき,次男はわたしを全力で励ましてくれた。



以前読んだ物語りを次男の言葉で伝えてくれた。



その時間,次男のお話に引き込まれて,悲しみを忘れることができた。



2人で、ファミレスでピザを食べていた。



そのときの情景までよく覚えている。



次男の中に詰まっている、たくさんの物語りの一つによってわたしは慰められた。




才能は自分を助け

他の人も助ける