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ケントの3学期は、毎年変わることなく、一日も休めない状態でスタートする。
つまり、進級するためには出席日数がギリギリで、休むことができない。
わたしはケントのすごいところは、この余裕のない状態で3学期を始めるというところだ。
それを4年間繰り返した(定時制なので4年間)
わたしなら、何があるか分からないから余裕をもっていようと思う。
つまり、裏返して言うなら、ケントは自分にはできると思っている。
それを疑わない。
変なところに感心していると思うが、皮肉ではなく、
そこは本当にすごいと感心する。
もう一つすごいのは、それをやり遂げた。
つまり、ケントは留年することなく卒業することができた。
わたしが願いを込めて作り続けたコサージュを胸に付けてケントは卒業式の行われる体育館に入ってきた。
ケントは遠目にも分かるほど、ニコニコしていた。
誇らしそうに胸を張っていた。
ケントの仲の良い友だちが、家庭の事情で早くに高校をやめてしまった。
その友だちがケントに言ったそうだ。
「ケント、おまえは卒業しろよ」
その言葉はケントの心に刻まれていたようだ。
そして、ケントは高校を卒業した。
波乱に満ちた高校生活だった。
☆11月からの、ケントのzoomお話会