ドクターのすばらしい提案の前に、ある出来事を書こうと思う。



広島に引っ越して直ぐの頃だった。



次男が夜にひどい喘息の発作を起こした。



次男は喘息の発作を起こすと、水分が取れなくなるので、大好きなチューペットをあげたりしていたが、その日はひど過ぎてチューペットどころではない。



唇の色は紫になり肩ややっと息をしている。



幸い上の二人の子はぐっすり眠っていた。



夫はいない。



誰にも助けを求めることもできず、わたしは次男を車に乗せて大きなお腹を抱えて、救急病院へ向かった。



そのときは、バケツをひっくり返したようなどしゃ降りで、おまけにカーナビもなく、初めての広島の街を地図を片手に走った。



なんで覚えているのか不思議だが、広島鉄道病院だった。


ようやく鉄道病院に着いて待合室で待っているときに、わたしの胸の中にはなんとも言えない、怒りのような不安と悲しさが渦巻いていた。



次男は本当に苦しそうだった。



なんで、広島に来たと同時にこんなに喘息がひどくなったのか?



なんで、夫はこんなときにいなくて、しかも電話に出ないのか?



なんで、こんなどしゃ降りなのか?



家でケントは目を覚ましていないだろうか?




あのときの感情は今も覚えている。



なんだか分からないが、悔しかった。



何が悔しいのかも分からないけど‥



つづく




☆☆☆☆☆


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