広島に76年前に原爆が投下された。



元安川は、静かに美しい。



広島に住んでいたとき、この川を見る度にその美しさになんとも言えない気持ちになった。



その広島で出会ったドクターは小児科の先生だった。



2歳で京都から広島に引っ越して、次男の喘息は劇的にひどくなった。



喘息の発作が起きると次男を小児科に連れて行った。



その小児科の待合室で次男は絵本を読んでいた。



呼ばれたので、その絵本を待合室に置いて行くように言った。



すると、それが嫌だったようで、泣いていた。



泣きながら診察を受けた。



吸入をしてから、再び診察に呼ばれた。



そのときは、さっきの絵本を持って診察を受けた。



それだけのことだった。



そのとき、ドクターは言ったのだ。



「そうか、さっき、たっちゃはその絵本を持ってきたかったんだね。先生は気付いてあげられなかった。
たっちゃん、ごめんね」



ちなみにわたしが診察室に本を置いて行くように言ったので、先生があやまることではないのだけど、先生は次男に向かって笑顔でそう言った。



次男は、先生が自分の気持ちを分かってくれたと理解したようで満足そうな顔をした。



2歳の子の気持ちに寄り添うことができるすばらしいドクターだった。



そのドクターは、それだけでなく、次男もわたしも楽になるようにある提案をしてくださった。



つづく




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