天の川銀河の60倍もの大きさの宇宙衝撃波を発見
2022年3月2日(水) by: Kevin HughesTags: Abell 3667, astronomy, breakthrough, cool science, cosmic, discoveries, galaxy cluster, goodscience, MeerKAT, Milky Way, radio arcs, radio relics, research, shock wave, Space
天の川銀河の何倍もの大きさの、巨大な衝撃波を発見したのだ。
宇宙最大の衝撃波は「天の川銀河の60倍」であることが新研究で判明
地球から約7億3千万光年の距離にある、アベル3667は、騒乱状態にある銀河団である。
実際に衝突している2つの銀河団と、合計約550個の個々の銀河が、徐々に1つの巨大な宇宙のブロスに移動している事から構成されています
(関連記事:天の川銀河の中心から吹き出す電波エネルギーの謎のフィラメントを1000個発見)
この宇宙衝突は、殆どの望遠鏡で直ぐに認識できるものではありませんが、融合している星団の両側から、電波の波長でしか見えない巨大な衝撃波を発生させ、周辺に大きな乱れをもたらしています。
この巨大な衝撃波を、これまでで最も正確にとらえた研究結果が、2月7日発行の『天文学と天体物理学』誌に発表された。
銀河団を調べるための電波遺物
南アフリカにある、MeerKAT電波望遠鏡を用い、衝撃波の電波成分の両半分を撮影した処、これ迄の観測記録よりも遥かに複雑な構造である事が判りました。
この電波遺物は、星団内の銀河間空間の性質(星団内媒質や星団内力学と呼ばれる)を調べるのに利用されます。
アベル3667 は、天の川銀河に比較的近く、しかもかなり大きいので、そのような調査を行うには絶好の対象である。
また、この星団は南天にある為、世界で最も感度の高い電波望遠鏡の一つで観測する事ができました。
MeerKAT電波望遠鏡は、現在オーストラリアと南アフリカで開発が進められているSKA(スクエアキロメートルアレイ)の先駆けであり、空への卓越した電波の目を提供するものでもあるのです。
「これらの構造は驚きに満ちており」「私達が当初考えていたよりも」
「遥かに複雑です」
「衝撃波は巨大な粒子加速器として働き」
「電子を光速に近い速度まで加速させる」
「この高速電子が磁場を横切ると」
「我々が見ている様な電波を発するのです」
と、研究の主執筆者で、ドイツのハンブルク大学とイタリアの国立天体物理学研究所の天文学者、フランチェスコ・デ・ガスペリン博士は語る。
宇宙空間に波打つ巨大な衝撃波は、我々の銀河系よりも大きい
「衝撃は、巨大な磁力線の位置と」
「電子が加速される領域を追跡する」
「明るいフィラメントの」
「複雑なパターンに貫かれています」
研究者によると、アベル3667を構成する2つの銀河団が最初に衝突した約10億年前に、衝撃波が最初に吹き出しました。
銀河団は宇宙で最も巨大な重力結合体であり、2つの銀河団が結合すると、ビッグバン以降で最も大きなエネルギーが一度に発生すると研究者は述べています。
銀河団は非常に巨大で、何百、何千もの個々の銀河から構成されることがあります。
銀河と銀河団は、宇宙の網の糸に沿って銀河団ノードまで移動し、そこで合体してさらに大きな銀河団を形成する。
このような巨大な現象は高速で起こり、銀河団規模の衝撃波を発生させ、それがまた高速で宇宙空間に広がっていく。
アベル3667は今も他の銀河と合体している
アベル3667 は、まだ合体中です。
少なくとも550個の銀河がすでに接続している。
衝撃波は、その中を秒速1,500キロメートル(秒速930マイル)前後の速度で広がっている。
この波が光速に近い速度で電子を宇宙空間に発射すると、粒子は周辺の磁場を切り裂き、見られた双子の弧状の電波を放出しました。
更に研究者達は、この電波の弧が秒速530万キロメートル以上で移動し、互いに約1300万光年離れていることを発見しました。
この電波円弧は、直径約10万光年の天の川銀河全体の60倍もの大きさです。
「今回の観測により」「銀河団の最も活発な領域における」
「熱的成分と非熱的成分の」
「相互作用の複雑さが明らかになりました」
「電波遺物の複雑な内部構造と」
「合体弾の周囲に磁気ドレープを」
「直接検出したことは」
「いずれもクラスタ内媒質の」
「非自明な磁気特性を示す」
「有力な例と言えます」
「偏光放射に対する感度のおかげで」
「MeerKAT電波望遠鏡は」
「これらの複雑な現象の研究に」
「変革をもたらすでしょう」
と研究者は書いている。
そしてそれは、宇宙の反対側に安全に座っている天文学者にとって、一つの強大な爆発と印象的な眺めであると、ある研究者は言っています。
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