日本の梅には脂肪肝の予防効果が有る事が明らかに
2021年10月07日(木) by: ラルフ・フローレス

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韓国の全南大学の研究者らは、Eriobotrya japonica(通称:梅やビワ)が、食事やアルコール摂取によるダメージから肝臓を保護する効果があることを発見しました。

 

今回の報告では、アルコールや遊離脂肪酸によるダメージを受ける危険性のある肝細胞に対して、ビワがどのように役立つかを調べました。この研究結果は、Journal of Medicinal Foodに掲載されました。


食生活の乱れ、アルコールの大量摂取が肝臓にダメージを与える

 

肝臓は体に不可欠な臓器です。体内最大の臓器である肝臓は、食物の消化やエネルギーの貯蔵、さらには毒物の除去などを行っています。

 

しかし、その機能の多さゆえに、病気や障害のリスクが高く、特に肝脂肪症のリスクが高くなっています。

脂肪肝として知られる肝性脂肪症は、余分な脂肪が肝臓に蓄積されることで起こります。肝臓には少量の脂肪が蓄積されますが、脂肪が肝臓の重量の約10%に達すると問題となります。

脂肪肝は、発症時には症状がありません。しかし、時間の経過とともに症状が悪化し、3つの段階で進行していきます:

 

  • 肝臓の炎症や組織の損傷が見られる脂肪性肝炎
  • 肝臓の損傷した領域に瘢痕組織が形成される時に発生する線維症
  • 肝硬変、瘢痕組織が健康な組織に取って代わる深刻な状態
 
肝硬変は、しばしば肝臓がんや完全な肝不全につながることがあります。進行した肝硬変は生命を脅かします。

肝性脂肪症には2つの主な形態があります:
 
  • アルコール性肝疾患は、アルコールの大量摂取により脂肪肝になる病気です。米国では成人の約5%がこの病気にかかっていると言われています。
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):お酒を飲まなくても脂肪肝になる病気です。NAFLDは、有病率が高いのが気がかりです。アメリカの成人の3分の1、子供の10%がこの病気にかかっていると言われています。研究によると、肥満や糖尿病などのいくつかの要因がNAFLDになるリスクを高めると言われています。
 
日本のビワは肝臓をダメージから守る効果がある

彼らの報告では、研究者たちは日本のプラムが脂肪肝の予防に役立つかどうかを調べました。

 

以前の研究では、この植物が肝性脂肪症の治療に役立つことが示されていました。
 
ジャーナル「Biomedicine & Pharmacotherapy」に掲載された2017年の研究では、日本の梅の葉の抽出物がNAFLDの治療に役立つ可能性があると結論づけられました
 
また「The Korean Journal of Community Living Science」に掲載された研究では、ビワの葉の抽出物がアルコールによる損傷から肝臓を保護する可能性があると結論づけています。

研究チームは、ビワの葉を使って熱水抽出液を作りました。
 
この熱水抽出物を用いて肝細胞を前処理した後、エタノールと遊離脂肪酸でそれぞれアルコール性肝疾患とNAFLDを誘発させたのです。
 
その結果、ビワの熱水抽出物は抗酸化作用を示し、前処理した肝細胞の脂質蓄積を抑制することが明らかになりました。
 
脂質の蓄積は、肝脂肪症のリスクを高めるだけでなく、糖尿病などの慢性疾患の前兆であるインスリン抵抗性の発症リスクも高めるという研究結果が出ています。

 

 

また、ビワの熱水抽出物を肝細胞に投与したところ、5'アデノシン一リン酸(AMP)活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性が高まりました。
 
脳、肝臓、骨格筋などの適切な組織でAMPKが活性化されると、インスリン感受性の向上、筋肉のパフォーマンスの向上、炎症の抑制など、さまざまな効果がもたらされます。

 

 

以上の結果から、梅肉エキスは、アルコールおよび遊離脂肪酸による酸化損傷と肝細胞における脂質蓄積の両方を予防することが示唆された。