秋の深まりとともに、日々、南下する紅葉前線。
「今年の色づきはどうだろうか」といった会話も始まるころ。


年ごとにモミジの染まり具合が変わるのはなぜか。
それは「アントシアニン」という
〝紫外線から体を守る効果のある色素〟のつくられ方に理由がある。

〝昼夜の寒暖差が激しく〟〝紫外線がよく当たる〟ほど
この色素が多くつくられるという。


植物学者の田中修氏は…
「紫外線や強い光という有害なものが多ければ多いほど
 植物たちは色あざやかに魅力的になるのです。
 植物たちは、逆境に抗して美しくなるのです」
と述べる。


だからこそ人は…
わが身の最終章を
燃え上がるような美しさで飾る一葉一葉に
人生を重ねるのだろうか。


苦労を経験した分だけ、自らの境涯が大きく広がる。
苦衷の友に、心の底から寄り添えるようになる。


苦をば不幸せと逃げまわり
楽をば幸せと錯覚すのではなく


苦をば成長の糧と乗り越え
楽をば成長の毒と心を鼓舞し
苦楽共にうちあわせ
人生を謳歌していく中に…


世界に一人しかない色鮮やかな魅力的な人に
なれるのではないだろうか。

真実とは「嘘のないこと、本当のこと」
事実とは「現実に起きたこと」

例えば…
コップに半分入っている水は、誰が見てもコップの半分を占める水である。
これが事実である。


しかし…
ある人にとっては「まだ、半分もある水」と思い、
ある人にとっては「もう、半分しかない水」となる。
これが、真実である。

この世の中、真実=事実であれば
どれだけ人と人のすれ違いを無くすことができるのだろう。

事実は、この目で見えるのだが、
真実は、この目で見えることは、まずないと言ってもいいだろう。
それゆえに人は、真実を見誤り、事実を真実と思いこむ。

「事実」は人間の外にあり、「真実」は人間の内にある。
「事実」は一つだが「真実」は人の数ほどある。
その人の中では、「真実」はひとつなのに…。
その本質を見抜いていける人になっていきたい…。

作家の井上靖氏が「最近好きになった」という言葉。
それは「一座建立」。


お茶や連句の世界で使われる言葉の一つ。
「その一座に居合わせたものが、互いに相手を尊敬し
 心を合わせ、何刻かの心和んだ高い時間を共有しようという気持があって
 初めてその世界の楽しさ、純粋さ、高さを生み出すことができる」
ことを意味する。


人と人との触れ合いのどの一つも
生命と生命との深い交流から生み出される“一座建立”でありたいと思う。


音楽やスポーツにも一座建立がある。
私心を捨て、一つの目的に進む。
その心の一致が感動を呼び起こす。


人生においても同じ。
互いが互いを尊敬し、団結し、感謝し
実りある時間にしていこうとの祈りがある時
一つの集い、一つの出会いは
一座建立へと高められていくのだと思う。


人生の中で、その人に出会うことができるのは、たった一度。
その出会いに全魂を。
出会った後の積み重ねの上に
必ずや歓喜と充実が建立されるのではないだろうか。