白鳥が東北各地に飛来してきた。
越冬の渡り鳥を見かける季節になると
津軽地域に残るといわれる民話「雁風呂」を思い出す。
月夜に雁が渡ってくる。
疲れると…
口にくわえた小枝を海面に浮かべ
その上で羽を休める。
津軽まで来れば、もう大丈夫と
小枝を落とし、目的地に向かう。
早春、今度は北へ帰る途中に
津軽に戻った雁は自分の小枝を拾って旅立っていく。
残った枝は冬を越せなかった雁のもの。
薪にさえ事欠いた津軽の人は
力尽きた雁を偲びつつその枝で風呂を焚いたという。
これは実話ではないのだが…
厳しい自然、苦しい暮らしを生きる人々は
一本の小枝にも深い思いを託していた。
その美しい心が民話となり今も、聞く人の心に温もりを届ける。
人は、自分の中で何を一番大切に生きているのか
によって…
人生の充実、歓喜、幸福感が違ってくるのだろう。