「偉大なる芸術家とは」。


フランスの作家アンドレ・ジッドは言った。

「難渋することによって鼓舞され、あらゆる障害を踏切台に用いる人間」のことである、と。


ミケランジェロの代表作の一つ「モーセ像」の窮屈に座る姿は、「大理石が足りなかった」おかげで考え出されたという言い伝えである。

像は教皇の墓碑を飾るものとして依頼されたが、完成までの道は、墓碑計画の縮小、次の教皇による無理難題な別の仕事の押しつけなど、苦闘の連続だった。

障害こそが、芸術家の創造力を引き出すバネとなった――。


ジッドの芸術論には、人生万般に通じる真理が含まれている。

ジャズ音楽家のウェイン・ショーター氏の話に思いが及んだ。

即興が命のジャズでは、演奏中に予期せぬこと、未知のことが次々と起こる。

そこから逃げずに〝真正面から立ち向かうのだ〟と氏は語る。

むしろそれは〝新たな冒険の喜び〟なのです、と。


大いなる目標への途上には必ず困難がある。

それにどう対処するかで、人間の真価が問われる。

「賢者はよろこび愚者は退く」の精神で、勇んで立ち向かいたい。

カレシが一歩下がると恋愛はうまくいく。

かつては、カレシが絶対的な力を握っている恋愛も少なくなかったが、気ままに振る舞い、カノジョには従うことを強いるようなカレシは、もはや過去の遺物かもしれない。


そんな今、「全国亭主関白協会」なる団体が注目を集める。

家族に君臨する“亭主関白”を目指すのかと思いきや、その反対である。


本来、「関白」とは天皇を補佐するナンバー2であり、最高位の人を助ける役割。

また「亭主」も、茶を振る舞い、客人をもてなす人の意味。

そう捉えて、“上手に妻の尻に敷かれる心とワザを持つ亭主力”を磨こうと訴える。


同協会では、夫婦間の関係悪化を止める“魔法の言葉”を唱和する。

「ありがとう」をためらわずに言おう。

「ごめんなさい」を恐れずに言おう。

「愛してる」を照れずに言おう。


さらに、こうアドバイスする。

(1)はじめは心を入れなくてもいい

(2)仕事と考えて言おう

と。少しでも言葉を出しやすくする工夫だろう。


「女性を尊敬し、大切にし、女性が伸び伸びと、その力を発揮していくところが勝っていく」

と聞いたことがある。


感謝を言葉に、行動に。

男性が変われば女性も変わる。


紫陽花には「七変化」の異名があるという。

土壌が酸性度が高いと、花の青色が強くなり、アルカリ度が増すと赤が強く出る。

咲く環境によって花の色合いを変える特徴から、そう呼ばれるようになった。


人間の心も、縁する環境で、どのようにも変化する。

瞬間瞬間、移ろいゆく心をどこに定めるか。

それが人生を決めていくのだろう。


大手銀行に勤める大阪の女子社員。

順調に営業成績を伸ばしていた。

だが、2008年のリーマン・ショックを境に環境が激変。

成績が伸びないどころか、顧客からの苦情の嵐にあった。


”逆境の時。

だからこそ、一人一人の顧客に誠実に接することに徹しよう”

と彼女は心に決め、真剣に動いた。

顧客の話には、誠意を尽くして耳を傾けた。

遠い道程にも思えたが、徐々に成績は回復。

営業以外の優れた業績も認められ、このほど全国の行員でただ一人、個人部門の表彰を受けた。


自分の周りの環境や外的要素を理由に咲くこと自体を諦めるのではなく

どう自分の個性を生かし、見事な花を咲かしていこうと諦めない心が大切ではなかろうか。


紫陽花の語源は「集真藍」、つまり”真の藍色の花が集まる”との説が有力という。

強い決心で、わが生命を染め抜き、日々成長の軌道を進みたい。