そして翌日、レイコちゃん達にもらったA先生の電話番号に、とても緊張しながら電話した。


A先生ご本人が電話口に出られたので、ますます緊張した私が自己紹介をしようとして名前を名乗ると、


「カオリ?カオリなの?!


元気?


まあ、久しぶりねえ!」


と先生は弾んだ声で、とても嬉しそうだ。


私の本名は日本人ではありふれた名前なので、同名でとても可愛がっているらしい教え子と、どうやら間違われてしまったらしい。


こちらは非常に緊張して電話しているものだから、臨機応変に対応できない。


間違えないように、言うべきことを書き出して、メモを見ながら電話していたのだが、先生の反応は想定外で、私のメモには答え方が書いていなかった。


「そうではなくて、別のカオリです。」と電話でうまく説明できないまま、


同名の昔懐かしい教え子からの電話だとすっかり勘違いした先生に、


「じゃ、〇月〇日〇時に、楽しみに待ってるわね!」


とその日からとても近い日を指定され、電話を切られてしまった。 


 

念願のレッスンのアポイントは取れたものの、

予期しない展開となってしまった。


当日私を見て、懐かしい教え子なんかではなく、別人だと分かったら、先生はどんなにガッカリするだろう、と私は少し暗い気持ちになったが、でもまあ、アポイントは取れたのだ。


気持ちを立て直し、私はその日まで一生懸命練習することにした。