千紫万紅

千紫万紅

中国の文学、映画、ドラマなどの感想・考察を自由気ままにつづっているブログです。古代から現代まで、どの時代も大好きです。


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この度…といっても割と前からなのですが、新サイトを設立しました。コンテンツ内容はこのブログとほぼ同じですが、中国系を充実させつつ、それ以外も取り扱っていこうと考えています。

こちらのブログはこのまましばらく残しておく予定です。

引き続きよろしくお願い致します。

 

新サイト「瀟湘小斎」

http://kouroumu.com/

 

 


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記念?すべき侍女会議十回目。特別ゲストの奔放ぶりに振り回されつつ後編へ…。
 
襲人「次のお題は自分がどんなクリスマスプレゼントを貰いたいか、です! じゃあ鴛鴦さんから!」
 
鴛鴦「別に欲しい物は無いけれど…」
 
春梅「あんたもいつまで体裁ぶってんの? 欲しいものくらいあるっしょ。男とか金とか」
 
鴛鴦「あなたみたいな人と一緒にしないでください!」
 
襲人「ま、まあまあ落ちついて。他の方々はどう?」
 
紫鵑「凧が欲しいです。黛玉様や姉妹の皆さんと一緒に遊びたいので」
 
鶯児「あたしは編み物の糸が欲しいな。いろんな色を揃えてみたい」
 
平児「先日腕輪を無くしちゃったから、安物でいいんだけど、新しい物が欲しいわね」
 
小青「皆さん実に小市民的ですね。せっかく貰えるなら、もう少しスケールを大きくしてもいいんじゃないですか?」
 
鶯児「うーん、そう言われてもなぁ。あ、この前環様と賽子やった時、いかさまでお金取られちゃったから返して欲しいな」
 
紫鵑「あんまりスケール変わってないような気がします…」
 
鴛鴦「侍女身分に暮らしてると、あまり多くを望まなくなってしまうのかもしれないわね」
 
司棋「あたしは何を貰うかより、誰から貰うかが重要かな。彼氏がくれる物なら何でも嬉しいよ」
 
紅娘「わぁ。素敵な考えですね。愛する人からのプレゼントって格別ですものね」
 
襲人「それでは、ゲストの皆さんにも聞いてみましょう。春梅さんはいかがですか?」
 
春梅「んなもん挙げたらキリないっての。あえて言うんなら、最近金軍の南下でうちのダンナが大変らしいから、そいつらを全滅させて欲しい」
 
鴛鴦「そんな物騒なクリスマスプレゼント嫌よ…」
 
襲人「では次。小青さん」
 
小青「私は仙界の住人ですから、そもそも物欲なんてありませんけど。まあ、強いて欲しいものがあるとすれば、金銀財宝、各地の珍味、豪華なお屋敷、おしゃれなお洋服、強力な仙力、イケメンな男弟子、こんなところですかね」
 
司棋「多いよ! 物欲まみれじゃん!」
 
小青「それはほら、沢山施しをするわけですから、見返りも十分欲しいっていうか」
 
鶯児「どこが仙界の住人なんですか…」
 
襲人「では最後に紅娘さん」
 
紅娘「私も特にプレゼントとかは。まあ、私が一生懸命お世話をしたカップルが幸せにくっついてくれたら、それが何よりのプレゼントかな」
 
平児「ビジネスマンみたいな口ぶりね…」
 
春梅「で、あんたは?」
 
襲人「はい?」
 
春梅「あんたはなにを貰いたいかって聞いてんの!」
 
襲人「わ、私ですか? 別に欲しいものとかは無いですけど」
 
春梅「あのさぁ、そうやって繕うのやめろって言ったじゃん?」
 
紅娘「結構我が強いんですね、襲人さん」
 
小青「隠し事をしたって私にはばればれですよ」
 
襲人「ちょ、ちょっと待ってください! なんで私ばっかりそんなこと言われなくちゃいけないんですか」
 
春梅「だったらさっさと言えばいいじゃん。主人の側室の地位とか豪勢な暮らしが欲しいんでしょ」
 
平児「それはあなたのことなんじゃ……」
 
春梅「うっさい」
 
鶯児「あたしみたいな身分の侍女だと、「そくしつのちい」とか言われてもぴんとこないなぁ」
 
春梅「で、実際どうなの?」
 
襲人「ま……まぁ、そう言われれば、いい身分とか豊かな暮らしとかに興味が無いわけじゃないですけど。それ、プレゼントで貰えるものでしょうか」
 
紅娘「どちらかといえば、地位とか物じゃなくて、襲人さんは宝玉様の心が欲しいんじゃない?」
 
司棋「そうやって無理矢理恋愛方面に持って行かんでも」
 
紫鵑「侍女身分で、そういうことを考えるの、いいことなんでしょうか」
 
紅娘「いいじゃない! 恋は障害が大きいほど燃えるのよ。それで、襲人さんはそこのところどうなの?」
 
襲人「うーん……まぁ、宝玉様のお心も、プレゼントとして貰えれば嬉しくないわけじゃないですけど」
 
小青「ほら見なさい。蓋を開ければ欲望だらけじゃないですか」
 
一同「あんたが言うな!」
 
小青「え~」
 
鴛鴦「とりあえず、襲人ちゃんの本性を暴いたところでお開きにしましょうか。紅楼夢侍女会議、次回をお楽しみに」
 
襲人「え、ちょっ…こんな終わり方やめてくだいってばぁ!」
 
毎度毎度襲人をオチに使うのはいかがなものかと思う今日この頃。ファンの方々ごめんなさい。
 
 

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毎度おなじみ紅楼夢侍女の集い。
会議はめでたく十回目となりましたが、はたして今回の一幕は…。
 
花襲人「皆様こんにちわ。紅楼夢侍女会議の時間です。司会はおなじみ花襲人がつとめます。今回のゲストを紹介しましょう。王煕鳳様のお部屋より平児さん。林黛玉様のお部屋より紫鵑さん。薛宝釵お嬢様のお部屋より鶯児さん。ご隠居様のお部屋からは鴛鴦さん。そして迎春お嬢様のお部屋より司棋さんがお見えです!」
 
鴛鴦・平児・紫鵑・司棋・鶯児「こんにちは~」
 
襲人「まずはおめでたいお知らせです。この度、侍女会議は開催十回目を迎えました!」
 
鶯児「めでたい…ことなのかな?」
 
司棋「さあ…。まあ、よく続いてるとは思うけどさ」
 
紫鵑「私は、おめでたいと思います」
 
平児「ところで、節目ってことは何かイベントでも用意してるのかしら?」
 
襲人「はい! 今回は、過去にお越しいただいた特別ゲストの方々を再びお招きしております!」
 
鴛鴦「ええっ? 過去の特別ゲストってアレとかアレとかアレでしょう! 誰一人まともなのいなかったじゃないの!」
 
春梅「ちょっとぉ、誰がまともじゃないってんだよ」
 
襲人「あ……早速お越しいただきました再登場一人目は「金瓶梅」より春梅さんです。作中ヒロイン・藩金連の侍女であり――」
 
春梅「んなこといちいち説明するなっつーの。前にも来てんだからさ!」
 
襲人「えっと…ハイ。すみません」
 
紅娘「こんにちわ~。あ、もう皆様お揃いですね」
 
襲人「いらっしゃいませ。お二人目は紅娘さん。「西廂記」のヒロイン・崔鶯鶯の侍女であり、縁結びの神様です」
 
司棋「お、比較的まともだったゲストの人じゃん」
 
平児「その言い方は失礼よ…」
 
小青「遅くなりました~」
 
襲人「いえいえ、ようこそおいでくださいました! 三人目は「白蛇伝」のヒロイン・白素貞の侍女、小青さんです!」
 
鶯児「確か、何でも願い事叶えますって豪語してたけど一切叶えてくれなかった人ですよね…」
 
襲人「さて! 全員が揃ったところで今回のお題です! 年末イベントも近いのでまずはこれ。クリスマスプレゼントに何をあげたいですか?」
 
司棋「ええ~そういうのアリなんだ? もう中国の文化じゃないじゃん」
 
平児「まあ、大分前からネタ切れ感があるものね、この会議も」
 
襲人「では、まずはゲストの皆さんに答えていただきましょう。春梅さんからどうぞ!」
 
春梅「ハァ? そもそもあたしは貰う側専門だし。なんで人にものをあげなくちゃならないわけ?」
 
司棋「相変わらずだよこの人!」
 
襲人「そ……そうでしたか。じゃあ、紅娘さんはどうですか?」
 
紅娘「私なら、世の奥ゆかしい恋人達の仲を進展させられるような贈り物をしたいですね」
 
紫鵑「例えば、何を贈るのでしょうか?」
 
紅娘「ん~。偽造したラブレターをカップル達の寝床に潜ませておくとか、ですかね。これで一気に気持ちは燃え上がり、恋愛進展間違いなしです」
 
鴛鴦「何よその不純なプレゼントは! そんなのがうまくいくの?」
 
紅娘「いきますよぉ。とりあえずその気にさせてくっつけちゃえば、後のことはどーにでもなるんですって!」
 
平児「納得出来るような出来ないような…」
 
襲人「では次。小青さんはいかがでしょう?」
 
小青「私はそりゃあ何といっても仙界の住人ですから、別に特別なイベントなんか無くったって、普段から下界の愚民どもへ施しまくりですよ、ええ」
 
司棋「なんちゅー上から目線…。ちなみに、具体的には何をしてくれんの?」
 
小青「そうですね。世の悪を綺麗サッパリ洗い流すため、洪水を引き起こすとか」
 
鶯児「それは施しじゃなくて災害じゃないですか…」
 
襲人「えー、とりあえずゲストの皆さんはこんな感じで。次は紅楼夢メンバーにいきましょう。じゃあ鴛鴦さんから」
 
鴛鴦「そうねえ。ご隠居様に新しい杖を差し上げたいわ。随分同じものを使っていらっしゃるから」
 
平児「やっぱり、仕えている主人のことを第一に考えるものよね。私も煕鳳奥様に贈り物がしたいけれど、奥様は物なんかじゃなくて、ゆっくり休める時間が必要かも…」
 
紫鵑「私は黛玉様のご病気によくきく薬が欲しいです」
 
鶯児「あたしは何かな。宝釵様、欲しいものとかあんまり無さそう…」
 
司棋「主人に贈り物、ねぇ。そういえば最近、迎春様にお茶すら出してないから、今度やってあげよっかな」
 
平児「いやアナタ、それくらい毎日やりなさいよ…」
 
紫鵑「襲人姉さんは、何を贈りたいですか?」
 
襲人「そうね。私は物を贈ることは出来ないけれど、宝玉様が頑張って勉強できるように、いつも以上に一生懸命お仕えしたいかなぁ」
 
春梅「ハァ? あんたまだそんな善人キャラ装ってんの? いい加減うざいからやめなよ」
 
襲人「え、いや、装ってないですってば。これが本当の私ですから!」
 
紅娘「襲人さん。無理に自分を綺麗に見せなくても、ありのままの姿を見せる方がご主人も気持ちを向けてくれますよ」
 
小青「そうです。人間が被る化けの皮ほど醜いものはないですね」
 
襲人「お二人までひどい! 私はいつもありのままですって! あーもう次! 次のお題いきますよ!」
 
鴛鴦「相変わらず強引な司会ね…」
 
次回へ続く

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2017年の中国映画。監督は冯小刚。原作は「金陵十三釵」などで有名な严歌苓。
 
あらすじ
1970年代の中国。共産党劇団員に所属する若者達は、軍の慰問のため歌と踊りの稽古に励む日々。中国共産主義を実践する模範生・活ける雷峰こと劉峰、そして新しく劇団にやってきた田舎育ちの何小萍。文化大革命やベトナム戦争の激動に翻弄されながら、彼らの青春はつづられていく。
 
ネットで情報を知ってから、ずっと見たかった作品。
とにかく感動した。
激動の時代の中で懸命に生きていく若者たちの姿に、ひたすら涙が止まらない。文化大革命の政策は、若者達から家族を奪った。共産主義思想は、理不尽な理由で心を抑えつけた。借り出された戦争では、命が無残に散っていく。時代の変化がやがて若者たちの居場所であり、生きる目的を与えていた劇団員をも解散させてしまう。若者達の人生は、外部の圧力によって絶えずずたずたにされていく。
けれど、そんな辛い日々の中にも友情や恋、ささやかな幸せがある。辛い時代を生きた彼らにも、確かに青春はあったのだなと感じた。
そして舞台が1990年代に移った時、全ては大きく変わり、何もかもが忘れられかけている。英雄として国に尽くし、戦争で腕まで失った劉峰は、すっかり落ちぶれて暮らしている。
本作のメッセージの肝はここだと思う。1970年代の中国では、共産党の政策や戦争のせいで、本当にたくさんの人々が犠牲になった。けれど、そうしたことも時が経つにつれて風化しかけている。劉峰や何小萍は、まさしく時代の犠牲者の生き証人だ。映画と同じく文革時代に青春を過ごした中国人は、色々思うところがあったのではなかろうか。
最期の最期、劉峰と何小萍がささやかな幸せを得たところには、ほっと救われた思いがした。
 
映画としての演出も秀逸。舞台は1970年代と1990年代なのだが、時代ごとの風景を非常によく作り込んでいる。テレサ・テンの歌をカセットテープでこっそり聴くシーンや、劇団員の部屋に名画「小花」のポスターが飾ってあったり、この時代を知っていれば色々と楽しめる。
また中盤の戦争シーンは、ワンカットでの長回しが白眉。別に戦争が主題の映画じゃないのに、えらい凝りようだと思った。CGもうまく使っているし、リアリティも抜群。野戦病院での規制ギリギリな残酷描写も凄かった。
それから、要所要所で挟まれる劇団員達のパフォーマンスも見応えあり。こちらも練習風景から衣装に至るまで、色々と作り込みが凄かった。
文革やベトナム戦争という共産党にとって負の面ともとれる題材を扱っているが、作中では直接的な共産党批判は無いし、劇中に出てくる党員も絵に描いたように立派な人物なので、まあここらへんは製作側が上の怒りを買わないよう上手く作ってるのだろうと妙に感心した。とはいえ、映画の内容を深く読み込んでいけば、結局共産党自体の問題を考えずにはいられないと思う。何故文革が起きたのか、何故戦争で沢山の犠牲者を出さなければいけなかったのか…。
日本のニュースでは、中国人は文革の歴史をきちんと振り返っていないなんて声を聞くこともあるけれど、本作を見ればそんな思いは払拭されるはず。中国人は自分達の生きてきた歴史を、彼らなりにきちんと見つめていると感じさせてくれる。もちろん、そんな話は抜きにしても飛び切りの名作映画なので、是非沢山の人に見て欲しい。願わくば、こういう作品を日本でも大々的に上映されたらと思う。
 
キャスト
黄轩/刘峰
共産主義の体現者で「活きる雷峰(人民解放軍の模範兵で、当時は「雷峰に学べ」のフレーズが人々の間で浸透していた」の渾名を持つ好男子。林丁丁に告白するが、そのことで懲罰を受けベトナム戦争に。戦争を生き延びたものの、腕を失い落ちぶれる。どんな境遇でもめげない彼の姿勢には心を動かされる。
 
苗苗/何小萍
ヒロイン。新入りとして劇団員に入ってくるが、規則を早々に破ったり、田舎育ちのズレた性格のせいで周囲と孤立してしまう。父親は文化大革命により弾圧されており、その後亡くなる。彼女自身もベトナム戦争に看護兵として従軍し、その現場の悲惨な実態に飲まれて精神を壊されてしまうが…。
 
钟楚曦/萧穗子
本作のストーリーテラー。一見順風満帆に過ごしているが、他の面々に比べると青春の波には出遅れがち。演員さんの中では一番美人だと思った。
 
杨采钰/林丁丁
劇団員一の歌い手。上昇志向が高く、軍の高官に嫁ぐのが夢。刘峰を袖にしたことが、一連の大きな騒動を起こす。
 
李晓峰/郝淑雯
劇団員の一人。パイプオルガンを担当。楽隊では唯一の女子。陈灿とは悪口を言い合う間柄だが、最終的には結婚する。
 
王天辰/陈灿
楽隊のラッパ吹き。萧穗子と仲良しだったが、彼女の想いは届かず…。
 
赵立新/政委
劇団員の指導役。規則に厳格だが、劇団員を公平に扱う立派な人物。本番前に仮病を使う何小萍の嘘をうまく利用して舞台に立たせるなどしたたかな面も。
 
苏岩/舞蹈老师
劇団員の教師。普段は教え子たちに厳しく接しているが、劇団の解散には大泣きしていた。カワイイ。

 

百度リンクページ

https://baike.baidu.com/item/芳华/19926594

 


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2007年製作の武侠ドラマ。
安禄山の乱に動揺する唐王朝を背景に、侠客達の活躍を描く。
歴史ドラマと武侠ドラマを足して二で割ったような作風が特徴。一粒で二度おいしい作品、と言いたいところだが二つのジャンルのバランスがうまく取れているとは言い難く、中途半端な感じ。

武侠ドラマとしては、武林や崋山派というワードが出てくる割にその実態が全然描かれなかったり、驚きの武功が出てきたり、奥義書やお宝の争奪戦といった要素が不足気味。歴史ドラマとしては、創作の人物がいかに史実の事件や人物に対してアクションを起こすか、といったお楽しみ要素が少なかったのが残念。安禄山の乱なんて、それこそいくらでも盛りあげ方はあるはずなのに、主人公連中がうまく史実に絡んでこない。同じ武侠ドラマでも、神鵰侠侶のように架空の人物である楊過が史実の人物であるモンケを殺害する、といったことをやってるのだから、本作でもそういったハッタリのきいた展開が欲しかった。
 
とはいえ、アクションは秀逸で見応えあり。一対一のバトルはもちろん、軍隊同士がぶつかる戦争シーンもきちんと描かれている。武器もキャラごとに特徴がつけられていて好感度高し。
ストーリーも正統派でテンポよく進むため、ストレスは少ない。強いて言えば恋愛部分をもうちょっと何とかして欲しかった。王燕羽のキャラはあまりにもヒロインらしいポイントを狙いすぎていて、かえってイラつく。
登場人物で最も良かったのはやはり羊牧劳だろうか。ビジュアルも中身も存在感圧倒的。あんまり凄すぎるキャラなのでどうやって倒すんだコイツと思ってしまった(というか、倒しようが無くてあんなラストになっちゃったというべきか)。

以下キャスト
铁摩勒/黄维德
主人公。初期は超がつくほどの猪突猛進男だったが、だんだんまともになっていく。しかしながら武功レベルは中途半端で、最終的にどれだけ強くなったのかイマイチわからない。名前ありの敵キャラを殆ど倒していないし、ラスボスとも最後まで実力差が開いたままだった。
 
王燕羽/何琢言
ヒロイン…なんだけど行動・言動いちいち狙いすぎていて、かえって外しているような造型になってしまってる。そもそも何琢言がそんなに好きじゃないしなあ。
 
夏凌霜/刘添月
ヒロインその2。つんでれ女侠客。それなりに戦えるが、特にパワーアップイベントとかも無いので武功レベルは半端なまま。とはいえ、頭が切れるので何だかんだ活躍する。摩勒とくっつくかと思ったけどそんなことは無かった。捕まって緊縛監禁されたり、鞭打ち拷問されたり本作のSM担当。
 
空空儿/TAE
軽功自慢の快速キャラ。すかしたような性格だったが、後半は主役もびっくりな熱血漢に。
 
韩芷芬/路晨
ヒロインその3。何かと当て馬みたいな扱いをされて可哀想。とってもいい子で、燕羽よりずっと好感度高し。
 
王龙客/沈晓海
安禄山配下の使い手。初期は一話に一回のペースで摩勒をボコボコにしていた(さっさととどめをさしてしまえばよかったものを…)。クールな外見と裏腹にシスコンでストーカー気質ありなど、割と手に負えない性格。
 
羊牧劳(黄甫嵩・铁昆仑)/巴音
一人だけ世界観が違いすぎる本作のラスボス。武功・知力ずば抜けており、最終回に至るまで殆ど自分の計略通りに事を運んでいる。強い悪役がいる物語は楽しいんだけど、拮抗できる連中が味方側に殆どいないのもそれはそれで問題だ。
 
段圭璋/陈继铭
河間剣客の名で知られた武林屈指の達人にして摩勒の師匠。…なのだが戦闘では序盤から敗北を重ね、師匠としての指導ぶりもイマイチ。肝心な時にいつもいない癖に、婚礼とかのイベントでは出しゃばる。ぶっちゃけ役にたっとらん。味方側最強キャラにも拘わらず、羊牧劳とは手も足も出ないほど実力の開きがある。
 
精精儿/王九胜
王龙客配下の武芸者。猿みたいなかっこ悪い戦闘ポーズが特徴。実力は微妙なのだが敵キャラ不足ゆえかしぶとく生き延びる。終盤でも摩勒と渡り合う強さを見せたかと思えば、暗器一発であっさり死ぬなど、強いんだか弱いんだかようわからん男。
 
唐玄宗/汤镇宗
ご存じ唐の皇帝。ダメっぷりが凄い。枯れている印象が強いけど、本作では割と若いビジュアル。
 
安禄山/涂们
ご存じ唐の反乱者。着実に支配を進めていくが、実際は羊牧劳の掌で踊らされているに過ぎなかった。
 
窦令侃/张柏俊
摩勒の義父。武功はそれほど高くないが、頭は切れるし人望もあるいいオッサン。早すぎる退場が悲しい。
 
秦襄/王岗
唐朝将軍。義に厚く、酒好きの好漢。双鞭アクションが楽しいけど、披露の機会に恵まれなかったのが残念。
 
韩湛/杨念生
窦令侃の友人。点穴技と医療に秀でるが、あんまり作中でそれが活かされる機会は無い。
 
安庆宗/侯京建
安禄山の息子。ヘタレ。
 
哥舒翰/江化霖
唐朝の老将軍。かわいいお爺様。この人が出てる間はフツーの歴史ドラマっぽい。
 
郭子仪/王建国
唐朝の将軍。哥舒翰の後を引き継いで後半活躍。茶目っ気もある美味しいキャラ。

 


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武侠迷の集い、武侠大幇会に今年も参加してきました。

参加者の皆様お疲れ様でした。そして主催の方々、ありがとうございました。

先の金庸先生の訃報もあり、武侠ファンにとって今年は一つの節目となったのではないかと。幇主や岡崎先生のお話はとても感動的でした。一つの時代が終わったのだという感じがします。自分も金庸先生の訃報から大幇会までの間、これまでの武侠との関わりを思い返したりしていました。大袈裟な言い方をすれば、武侠と出会わなかったら、今の自分はいなかっただろうな、という気がします。

 

幇会では懐かしい江湖の顔ぶれにも再会できて感激この上なし。二次会含め武侠トークであっという間に時間が過ぎてしまいました。抱拳で挨拶出来る気持ちよさを久々に味わいました(なんじゃそりゃ)。
その他、今回が初参加となる武侠迷の方にもお会いできて驚くやら嬉しいやら。かつての自分と同じく、日本の武侠ブーム最盛期からどぅいちゃん様はじめとする江湖古参メンバーのブログをよく読んでいたのだとか。まああれらは聖典みたいなものですからね。

サンファンやその他の中国ドラマなどを入り口にして武侠に興味を持ってくださる方もいますし、色んなところから今後も江湖の仲間が増えれてくれれば何よりだと思います。

 

今回の山九厨房は非常に良かったです。料理はじゃんじゃん出てくるし美味しいし。主催の皆様に感謝。

また催し物の布袋劇もサイコーでした! やっぱりこういう企画があるだけで盛り上がりが違いますね。

毎度恒例のくじ引きでは、今回運よく最初の方に当たりを引き当てたので、「大唐游侠伝」のDVDボックスをゲットしました。もちろん上下揃っており、滅茶苦茶美品。しばらくはこれに没頭しそうです。そういえば、今回の一等は何だったのでしょう? 前回はアンダグループなるユーモアたっぷりの景品でしたが…。

また、おなじみ新作宣伝で気になったのは笑傲江湖。色々とカオスな感じのストーリーになっているので、別な意味で楽しみ。むしろ真面目に見たら発狂しそうなので、師父のご助言に従って最初から頭のネジを何本か外して観賞しようと思います(笑)。
 
次回は……五覇崗会に参加したいので、今からじっくり準備を…。とりあえず、法華寺に行って鼎を持ってくるか。
 

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現代における武侠小説の大家、金庸先生が亡くなられました。
御年九四歳。一九二四年生まれということですから、日中戦争や国共内戦といった激動の中国史を体験してきた世代ということになります。まさに歴史の生き証人だったのだなぁ。
 
思えばチャンネルNECOさん配信の射鵰英雄伝を見たことをきっかけに、学生時代は金庸先生の武侠小説を貪るように読んでいました。ちょうどドラマに合わせて金庸作品の文庫版が刊行されていたのですが、新刊が出るのを待ちきれず、図書館へ通いまくった記憶があります。でも、一か所の図書館に置いてある金庸作品はせいぜい三、四作で、連城訣ならあそこ、天龍八部ならあそこと、わざわざ違う図書館へ足を運んでいました。人生の中で、こんな風に自分を読書へ突き動かしてくれた作家さんは殆どおりません。その後、全作読み終わってしまった後の猛烈な飢えを埋めるべく、まずは古龍、次に古典文学の方へ手をつけ、大学からは近現代文学も……と、気がついたら芋づる式にあらゆる時代の中国小説を読んでいました。考えてみれば、ここまで中国文学にどっぷりつかってしまったのも、金庸先生との出会いがあってこそだったと思います。
 
金庸作品の魅力って何だろうと考えた時、昔なら歴史性とかテーマとか政治色とか小難しいことをうんたらかんたら言っただろうと思うのですが、今にして思うと作品全体を貫く理屈抜きの面白さが全てなんじゃないかな、と。武侠というのは古典文学の時代からエンターテイメントなジャンルだし、金庸先生も政治とか歴史とか民族の問題を作中へ内包していたにせよ、やっぱり面白さの追求が念頭にあったと思う。人種も国も超える面白さ、世界のどんな人でも楽しめる作品を生んだというのが、金庸小説の成功なんじゃないのかと。
中国という国が嫌いでも、金庸作品は面白い。そう言わせてしまうようなパワーがあると思うし、実際に金庸作品を読んで中国を好きになった日本人も大勢いると信じてる。
 
先生は亡くなりましたが、作品は不滅です。
微力ながら、これからも金庸作品の面白さを、色んな人達に伝えていければいいな、と思います。
 

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1994年の大陸古装ドラマ。全19集。元ネタは古典劇の「王魁負桂英」。もっとも、ドラマ化にあたってストーリーは色々改変されている。本作と「帝女花」「状元花」のドラマはいずれも赵雅芝・叶童の主演コンビが共通しており、三作合わせて「三花系列」とも呼ばれる。
 
舞台は南宋。名家の王師松は陰謀により敵国と通じた罪を着せられ、一族もろとも処刑されてしまう。唯一難を逃れた王家の子息・王仲平は妓女・焦桂英に窮地を救われ、相思相愛の仲になる。彼は名を王魁と改め、桂英の助けを得ながら王家を陥れた敵への復讐に奔走。しかし、その前には幾多の困難と、因縁が待ち受けているのだった…。
 
地に足着いた作風の薄命佳人劇かと思えば、唐突に地獄や天界の描写が出てくるので驚く(チープなビジュアルと特殊効果が泣かせる)。ファンタジーがやりたいんだか人間ドラマがやりたいんだか、イマイチはっきりしない。
最近のドラマに比べ、登場人物たちがしょっちゅう典故を口にするのが印象深い。古典小説のお約束もあっちこっちに出てくる。六月の雪→王家は無実なんだわ!の流れには笑った。わかりやすすぎ。
ちなみに要所要所で「ガンダム」とか「ドラゴンボール」のBGMがしれっと流れる。絶対使用許可取ってないだろ…。
オープニングの「諾言」はなかなかの名曲。というか、これで興味が湧いたので見てみたというのが正直なところ。

登場人物
王仲平(王魁)/叶童
主人公にして王家の生き残り。仇討ちのために奔走するが、やがて手段を択ばなくなっていく。
演じているのは女優さん。違和感はそんなにないけど、あえて女優が演じる意味はあるのか?といえばそんなことは無い気がする。あと、泣いている時とかの表情が割と顔面崩壊気味で怖い。
 
焦桂英/赵雅芝
都の売れっ子妓女。役人に追われていた王仲平を助け、お互いの不幸な境遇から相思相愛に。後半では钟馗の導きでなんか凄いことになってしまった。演じる赵雅芝は有名な古装美女。
 
春香/陈孝萱
桂英の妹分。義侠心に厚いものの口が悪く、仲平と桂英の仲がこじれるきっかけを作ってしまう。
 
丁宝柱/黄文豪
春香の恋人。天然だが情に厚い。
 
崔婉儿/梅嫦芬
都の名家・崔家の令嬢。ふとしたきっかけで知り合った王魁に惚れ、彼が勉学を積んで受験するのを助ける。箱入りお嬢様だが、父親と違い性根は善良。後、仲平と夫婦になるが、それは彼女にとって不幸の始まりでもあった。
 
小铃子/王德仪
崔婉儿の侍女。かわゆす。
 
洪洛/彭伟华
崔婉儿の許嫁。ヘタレで病弱。
 
崔贵/乾德门
崔家の主人。王家を陥れた張本人。娘と恋仲になった男が王家の生き残りだと知るが、娘のことを考えるあまり手が下せず、最終的に王仲平の策略で一家全滅の憂き目に。
 
钟馗/江明
ご存じ道教の神サマ。普段は天界にいるが、時折道士として王仲平の前に現れ、彼を導く…のだがその導き方は割とテキトーで、気がついたら王仲平はあっという間にダークサイドに落ちていた。で、王仲平がすっかり堕ちきったところに現れて説教。理不尽じゃないか…。
 
碧玉/孟庭丽
桂英の侍女。野心家で、桂英を蹴落として廓の売れっ子になる。凄く意地の悪い悪女っぷりを見せてくれてなかなか好きなキャラ。あっさり退場してしまったのが悲しい。
 
夏震/杨升
都の統制官。王家の処刑を実行し、生き残った王仲平を探し求める。前半のボスキャラ。

 

百度リンク

https://baike.baidu.com/item/孽海花/15085495

 

 

 


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金庸作品「天龍八部」に登場する主人公の一人。かつて滅んだ燕国の末裔であり、復興の野心に燃えている。作中では「北の喬峰 南の慕容」と称される二大武術家の片割れだが、その実態は(慕容復本人にとって)実に残酷なものだった…。

劇中の活躍
序盤の段誉編においてその存在は語られていたものの、本格的な登場は物語中盤以降になる。しかし、従姉妹の王語嫣が段誉と共に西夏一品堂の争いに巻き込まれた際、正体を偽って二人の前に姿を現していた。従姉妹といちゃつくストーカー王子を成敗しようとするが、相手の妙ちきりんな武功に振り回され、決着はつかず。またこの時、相手が慕容復だと気がつかなかった従姉妹から、自分の武芸をボロクソに言われてしまう。思えば始まりからして悲惨な扱いであった。
中盤、逍遙派の珍瓏大会において素顔で再登場。が、登場早々鳩摩智から囲碁の腕をこき下ろされ、そのうえ珍瓏に惑わされて自害しかけるハメに。せっかくの出番なのに何一ついいところを見せず終わった。その後、自分の臣下を痛めつけた星宿派のボス・丁春秋と一戦交え、実質的な勝ちをおさめる。恐らく、これが慕容復の一番華々しい瞬間だったのではなかろうか。行方不明になっていた侍女の阿朱を探す道中、天山童婆とそれに反抗する豪傑達に遭遇。豪傑達を味方につければ復国の役に立つはずと、天山童婆の討伐に加わる。が、乱入してきた虎竹によって一連の反乱はあっさり終結、何も得るところなく無く終わった。
天山を去った慕容復一行は、丐幇の少林寺襲撃騒動の現場に赴く。そこで出くわした星宿派と戦っている間に、武林の豪傑が次々と集結、最後には簫峰までが姿を現した。慕容復の家臣達はかつて簫峰に救われた経歴があったので彼を助けるべきだと進言。しかし慕容復は中原武林共通の敵である簫峰を倒せば、武林の声望を集め、ひいては復興の足がかりになると考え、自ら喬峰に挑む。が、実態は丐幇の新リーダー・荘集賢との二人がかりだった。しかも自身は体力温存のため持久戦に徹するセコイ戦いぶり。その後、なんやかんやで乱入してきた段誉と一騎打ちになる。従姉妹につきまとうストーカー王子を押さえ込み、さらに南海鱷神や段正淳も寄せ付けぬ強さを見せた。が、父親の負傷にぶち切れたストーカー王子がチート技の六脈神剣を発動したことで形勢は逆転。一方的に追いつめられたうえ、思わず卑怯な手段を使ったところを、喬峰に僅か一手で押さえ込まれてしまう。
もはやこれまでと自害しかけた矢先、死んでいたはずの父親が突如出現。慕容復に復興の志を説いた。武林に関する様々な謎が解き明かされる中、時を同じくして現れた簫遠山・簫峰コンビとの戦いにもつれ込む。ところが、不意に現れた少林僧によって父親は出家。散々燕国復興を口にしていた父にあっさり去られてしまった慕容復の心境はいかなるものであったろうか。
それでも諦めない彼は西夏国の嫁取り合戦に参加。が、姫を得たのはひょっこり参加していた虎竹だった。しかも慕容復自身は愛していた従姉妹をストーカー王子に奪われてしまう。
それでも諦めない彼は、奇策を用いて段誉をとらえ、四大悪人と共に大理国乗っ取りを画策。あくまで帝位を譲らない段正淳とその愛人を次々に殺害する。騒動のさなか、はずみで家臣を殺してしまい、ぼっちになる慕容復。そのうえ両親の死に激怒した段誉から猛烈な攻撃を受け、ほうほうの体で逃げ延びる。
物語のラスト、遼と宋の戦いから帰還する段誉達は、道中ですっかり狂ってしまった慕容復の姿を見かけたのであった…。
 
人物
天龍八部が複数主人公の群像劇で進行するためか、段誉・喬峰・虚竹らの人物造形は、金庸小説のセオリーから外れている部分が多い(最初から強い喬峰、まったく武芸が出来ない段誉など)。そんなわけで慕容復も何かしら特徴があるのかと思いきや、まるっきりいつものパターンを踏襲していたりする。すなわち、射雕英雄伝の楊康や倚天屠龍記の宋青書と同じ、転落エリートタイプである。この手の金庸キャラは優れた初期ステータスを与えられながら、作中での扱いは悪役的であり、最終的には何もかも奪われて落ちぶれてしまう。特に慕容復の場合、イケメン・リア充・武功抜群・良い家柄など爆強のステータスを持っていたぶん、転落ぶりが金庸作品でも屈指の酷さになってしまった感がある。
そもそも、読んでいて作者の愛が微塵も感じられない。祖国復興に燃える野心家ライバルキャラという、素材としては最高の設定があるのに、作中ではそれが全然活きてこない。反面、意図的に慕容復をこき下ろすような場面は大量に出てくるので、これは明らかなキャラ差別ではあるまいかと思う。別に金庸先生は悪役を書くのが下手というわけではない。悲惨な過去を持ち、体を損ないながらも圧倒的な武功を持つ段延慶、毒技のせいで体に触れることすら困難、そのうえ狡猾さも持ち合わせる武術の大家ながら、おべっか好きという一面もある丁春秋など、本作だけでも魅力的な悪役を多数登場させている。慕容復にしたって、設定を見る限りいくらでもかっこよく出来たはずなのだ。多分、金庸先生はこういうエリートキャラが心底嫌いなのだろう。でなければこんな勿体ない使い方はしなかったと思う。作者からの見放され具合といい、劇中の扱いといい、とにかく可哀想なキャラである。

武功
その優れた武術から、江湖では広く名を知られている。が、現実には
・「北の喬峰 南の慕容」→いざ戦ってみたら互角どころか明らかに劣っている。
・家伝の斗転星移は相手の武功を跳ね返せるぞ!→跳ね返せない例多数。
・多数の門派の技を使えるぞ!→広く浅くで完璧に精通しておらず、従姉妹にこき下ろされる。

と全然いい印象がない。一体誰なんだ「北の喬峰 南の慕容」とか言い出したヤツは。所詮江湖の噂はあてにならない、ということか。
もちろん、彼が達人なのは間違いではない。ただ、個性的な強さを持った達人キャラが多数登場する天龍八部という作品内では、彼の中途半端な強さはかなり霞んで見えてしまっている。
 
斗転星移…家伝の武術。敵の繰り出した武功を相手に跳ね返す。「彼の道をもって彼に施す」という、カッコいいキャッチコピーつき。修練を積めば毒や内功など、無形のものすら跳ね返すことも出来るらしい。慕容復自身もある程度極めているが、最高の境地には達しておらず、作中では何かと跳ね返せない攻撃も少なくなかった。とはいえ、崖から落下してきた虎竹&天山童婆の体を弾き飛ばす、丁春秋の毒技を息を吹きかけるだけでやり過ごすなど、何気に凄いことをやってたりもする。
 
各門派の武功…斗転星移を使うにあたっては天下の武術にある程度習熟していることが求められるため、慕容復も刀術・槍術、様々な武芸を学んでいる。少林寺における段誉戦では、その技をあますところなく披露し、その場にいた群雄を驚嘆させたが、六脈神剣の威力の前にはまったく通用しなかった。
 
 
人間関係
簫峰…前述の通り。立場上はライバルなのだろうが、現実は慕容復にとって厳しかった。少林寺で降龍十八掌に挑んだ際は威力が強すぎてまともに受けることが出来ない有様、しょうがないので共闘していた游坦之に攻撃を振り向けるという、実に悲しい戦いぶりを読者の前にさらす。一対一で戦っていたら確実にヤラれていただろう。

段誉…大理の王子。王語嫣を挟んで対立する。作中では三度戦うがいずれも勝てず。そもそも序盤の時点で凌波微歩を操る段誉に攻撃を当てられない有様だった。
 
虚竹…少林僧。直接戦ってはいないが、天山童婆討伐や西夏嫁取りはじめ、慕容復の企みを一番潰しているのは彼である。実際戦っても、逍遥派三大達人の内功を備え、生死符などのえげつない武功を持つ虚竹に勝てるとは思えない。
 
王語嫣…従姉妹。慕容復を愛しているという割には彼の燕国復興の意志を尊重してないし、無理に慕容復の道中につきまとっては人質にされたり(慕容復は危険だからついてこないように、と事前にちゃんと警告している)と、はっきり言って思慮が足りない気がする。膨大な武術知識を蓄えたことも、「従兄の役に立ちたい」というより「従兄の気をひいて好かれたい」という動機が見え隠れしている。慕容復の立場をきちんと理解していれば「自分の身くらい守れるように武術も学んでおこう」という考えくらい持ってもいいはずだし、あるいは足手まといにならぬよう旅へ同行しない選択肢もあっただろう。本編の描写を見るだけでも、自分の恋愛事情がまずあって、慕容復の気持ちや志への理解が不足している感は否めない。多分、段誉が現れないでずっとつき合っていても、いずれ二人は破綻したんじゃなかろうか。
 
鄧百川・公冶乾・包不同・風波悪…慕容家の臣下達。それぞれ癖のある人物だが、慕容復には忠実。終盤の一件で慕容復が包不同を殺してしまい、残り三人は彼と袂を分かった。
 
阿朱・阿碧…慕容家の侍女。二人とも慕容復を慕っており、阿碧は狂ってしまった慕容復に最期まで付き添っていた。
 
段延慶…終盤で大理国を奪うため手を組む。ちなみに出会いがしらに手を交えた時は、臣下と五人がかりでも勝てなかった。慕容復、明らかに弱体化させられてるだろ…。
 
天山童婆…李愁水のもとから逃げ出して崖から落下した時に、慕容復の斗転星移に助けられる。なにげに作中で慕容復の武功を評価した数少ない人物。
 
慕容博…父親。死んだと思われたが生きており、武林で何十年も暗躍していた。それなのにあっさり出家。復興の夢は何だったんだ。
 
鳩摩智…吐蕃の高僧。慕容博とは協力関係にあった。が、息子の慕容復に対しては何かと意地悪。
 
丁春秋…毒の大家にして星宿派のボス。一対一で戦い、勝ちをおさめる。もっとも、運が悪ければ負けてた可能性も。

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清末・韓邦慶による長編小説。上海における妓女達と、それを取り巻く社会の実態を描いた作品。当時の花柳界は闇商売や阿片・賭博といった退廃的な文化、そこに集まる富豪や悪徳官僚など、社会の暗黒面が凝縮されており、これは作家達にとってまたとない題材だった。「九尾狐」「海上繁花夢」「海天雪鴻記」など多数の作品が生まれ、これは今日花柳小説として一つのジャンルを築いている。本作、海上花列伝はその花柳小説における代表的な作品。

 

ストーリーは上海にやってきた青年・趙撲斎を案内役に、次々と人物が入れ替わっていく群像劇の形で展開されていく。これは儒林外史以来、様々な中国小説で用いられているスタイルでもある。

人物が入れ替わる度話の内容もがらりと変わってしまうので、読み進めるのに苦労するが、実は小説としての構成はかなり優れていて、独立していたように見える話同士が思わぬところで繋がっていたりする。二、三読してみると、作者の綿密な構成力がわかって唸らされること間違いなし。

また、バラエティ溢れる登場人物たちの描写も楽しい。花柳界のお話なので、やっぱり本作の顔役は妓女。ヒステリックで理不尽にキレたりする沈小虹、何かにつけて酷い目にあう生真面目な張蕙貞、商売上手な黄翠鳳などいずれも個性。特に黄翠鳳のしたたかさは、他の中国小説には見られない魅力があってかなり好き

そんな妓女達の店に通う客もなかなか一筋縄ではいかない連中であり(カモ同然にされている輩もいるけど)いるけど)、その駆け引きがまた面白い。

ちなみに、物語の導入役である趙樸斎は登場頻度も少なく、華麗な上海文化に魅了され、あっという間に金を使い果たして没落してしまう。彼を心配して妹と母親も上海にやってくるが樸斎は彼らを引き込んで芸者屋を開業、あまつさえ妹を妓女にしてしまう。都会に餌食にされる田舎者を地でやってしまってるのが笑える。

 

さて、ストーリーとキャラ以上に、本作を名作たらしめているのは上海花柳界の実態を細かく描写していることではないか。清末の小説というのは、ジャーナリズム要素を多分に含んでいて、国際情勢や政治問題、世を騒がせた事件などタイムリーなネタを使って作品を書くことが多い(清末作家の中に、記者業を営んでいる者が少なくなかったことも理由の一つだろう)。彼らの作品は、一種のメディアとしての役割もあった。花柳界には華やかな表の顔と醜い裏の顔があり、人々の興味を否応なしに惹きつける魅力があったのだ。まあ、現代人が芸能界の裏側とかに興味をそそられたりするのと似たようなもんである。そういうわけで、作家達もこぞって花柳界を書いたわけ。彼らの小説は、その世界を知らない大衆にとっては一種の指南本にすらなった。

本作、海上花列伝にも当時の妓女文化があますことなく記されている。妓女に対する接し方や、面子の立て方など、登場人物同士のやり取りを見れば自然とわかるようになっている。初めての妓楼遊びについても、始めの方で趙樸斎の視点で詳しい解説アリ。なるほど指南本になるわけだ。清末妓楼における遊びは、芝居鑑賞や宴席ゲームなど従来のものもある一方、客と一緒に阿片を吸うといった新しいものも加わっている。場末の妓楼など阿片の温床だったと言われるが、本作を読んでいるとまさにその通りだという感じがする。
そのほか、花柳界に出入りする様々な相の人間を描くことで、一見華麗な妓楼が、実は賄賂や裏取引の密談場所に使われているという、社会の邪悪な面を暴露していたりもする(まあ、妓楼がいかがわしい人間の集まる場所なのは清末に限ったことでもないけれど)。花柳界を描くことは、そのまま中国という国の闇を描くことにも繋がり、当時の譴責小説と同様、政府や社会を批判し改革を訴える力にもなっていた。

 

花柳という特殊な世界、そのうえ日本人にはいまいち馴染みの無い清末が舞台だが、中国小説好きなら読んで損のない作品。是非ご一読を。

 

 

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