「紅楼夢」侍女会議! 第十回前編 | 千紫万紅

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毎度おなじみ紅楼夢侍女の集い。
会議はめでたく十回目となりましたが、はたして今回の一幕は…。
 
花襲人「皆様こんにちわ。紅楼夢侍女会議の時間です。司会はおなじみ花襲人がつとめます。今回のゲストを紹介しましょう。王煕鳳様のお部屋より平児さん。林黛玉様のお部屋より紫鵑さん。薛宝釵お嬢様のお部屋より鶯児さん。ご隠居様のお部屋からは鴛鴦さん。そして迎春お嬢様のお部屋より司棋さんがお見えです!」
 
鴛鴦・平児・紫鵑・司棋・鶯児「こんにちは~」
 
襲人「まずはおめでたいお知らせです。この度、侍女会議は開催十回目を迎えました!」
 
鶯児「めでたい…ことなのかな?」
 
司棋「さあ…。まあ、よく続いてるとは思うけどさ」
 
紫鵑「私は、おめでたいと思います」
 
平児「ところで、節目ってことは何かイベントでも用意してるのかしら?」
 
襲人「はい! 今回は、過去にお越しいただいた特別ゲストの方々を再びお招きしております!」
 
鴛鴦「ええっ? 過去の特別ゲストってアレとかアレとかアレでしょう! 誰一人まともなのいなかったじゃないの!」
 
春梅「ちょっとぉ、誰がまともじゃないってんだよ」
 
襲人「あ……早速お越しいただきました再登場一人目は「金瓶梅」より春梅さんです。作中ヒロイン・藩金連の侍女であり――」
 
春梅「んなこといちいち説明するなっつーの。前にも来てんだからさ!」
 
襲人「えっと…ハイ。すみません」
 
紅娘「こんにちわ~。あ、もう皆様お揃いですね」
 
襲人「いらっしゃいませ。お二人目は紅娘さん。「西廂記」のヒロイン・崔鶯鶯の侍女であり、縁結びの神様です」
 
司棋「お、比較的まともだったゲストの人じゃん」
 
平児「その言い方は失礼よ…」
 
小青「遅くなりました~」
 
襲人「いえいえ、ようこそおいでくださいました! 三人目は「白蛇伝」のヒロイン・白素貞の侍女、小青さんです!」
 
鶯児「確か、何でも願い事叶えますって豪語してたけど一切叶えてくれなかった人ですよね…」
 
襲人「さて! 全員が揃ったところで今回のお題です! 年末イベントも近いのでまずはこれ。クリスマスプレゼントに何をあげたいですか?」
 
司棋「ええ~そういうのアリなんだ? もう中国の文化じゃないじゃん」
 
平児「まあ、大分前からネタ切れ感があるものね、この会議も」
 
襲人「では、まずはゲストの皆さんに答えていただきましょう。春梅さんからどうぞ!」
 
春梅「ハァ? そもそもあたしは貰う側専門だし。なんで人にものをあげなくちゃならないわけ?」
 
司棋「相変わらずだよこの人!」
 
襲人「そ……そうでしたか。じゃあ、紅娘さんはどうですか?」
 
紅娘「私なら、世の奥ゆかしい恋人達の仲を進展させられるような贈り物をしたいですね」
 
紫鵑「例えば、何を贈るのでしょうか?」
 
紅娘「ん~。偽造したラブレターをカップル達の寝床に潜ませておくとか、ですかね。これで一気に気持ちは燃え上がり、恋愛進展間違いなしです」
 
鴛鴦「何よその不純なプレゼントは! そんなのがうまくいくの?」
 
紅娘「いきますよぉ。とりあえずその気にさせてくっつけちゃえば、後のことはどーにでもなるんですって!」
 
平児「納得出来るような出来ないような…」
 
襲人「では次。小青さんはいかがでしょう?」
 
小青「私はそりゃあ何といっても仙界の住人ですから、別に特別なイベントなんか無くったって、普段から下界の愚民どもへ施しまくりですよ、ええ」
 
司棋「なんちゅー上から目線…。ちなみに、具体的には何をしてくれんの?」
 
小青「そうですね。世の悪を綺麗サッパリ洗い流すため、洪水を引き起こすとか」
 
鶯児「それは施しじゃなくて災害じゃないですか…」
 
襲人「えー、とりあえずゲストの皆さんはこんな感じで。次は紅楼夢メンバーにいきましょう。じゃあ鴛鴦さんから」
 
鴛鴦「そうねえ。ご隠居様に新しい杖を差し上げたいわ。随分同じものを使っていらっしゃるから」
 
平児「やっぱり、仕えている主人のことを第一に考えるものよね。私も煕鳳奥様に贈り物がしたいけれど、奥様は物なんかじゃなくて、ゆっくり休める時間が必要かも…」
 
紫鵑「私は黛玉様のご病気によくきく薬が欲しいです」
 
鶯児「あたしは何かな。宝釵様、欲しいものとかあんまり無さそう…」
 
司棋「主人に贈り物、ねぇ。そういえば最近、迎春様にお茶すら出してないから、今度やってあげよっかな」
 
平児「いやアナタ、それくらい毎日やりなさいよ…」
 
紫鵑「襲人姉さんは、何を贈りたいですか?」
 
襲人「そうね。私は物を贈ることは出来ないけれど、宝玉様が頑張って勉強できるように、いつも以上に一生懸命お仕えしたいかなぁ」
 
春梅「ハァ? あんたまだそんな善人キャラ装ってんの? いい加減うざいからやめなよ」
 
襲人「え、いや、装ってないですってば。これが本当の私ですから!」
 
紅娘「襲人さん。無理に自分を綺麗に見せなくても、ありのままの姿を見せる方がご主人も気持ちを向けてくれますよ」
 
小青「そうです。人間が被る化けの皮ほど醜いものはないですね」
 
襲人「お二人までひどい! 私はいつもありのままですって! あーもう次! 次のお題いきますよ!」
 
鴛鴦「相変わらず強引な司会ね…」
 
次回へ続く