神戸市垂水区で英語リトミック教室と
英語絵本の広場を主宰しています
講師のキディ先生 こと 木戸あきこです
子供に読み聞かせする絵本ではなく
こちらは大人向けの絵本です
※青文字、画像クリックでAmazonに飛びます
世界で話されている言語は約7,000ほどあるそうですが、
少数民族の話す絶滅に瀕している言語から
(その言語の専門家が選んだ)
その言葉らしい魅力的な「一語」が載っています
たった一語と、少しの説明文だけ
なのに、なぜかものすごく興味が湧きます
本の画像を一部載せましたが、
こちらのバスク語(話者数 71万4000人)
ONDDOKA オンデョカ
「キノコを採りながら」を一語で表す言葉があるなんて
キノコがよく採れる土地に住む
キノコが好きな民族なんだなーと分かりますね
この本では、右側にある赤色の数字が話者数になっていて、
ページをめくる度に話者数が減っていきます
(話者数の少ない言語になっている)
こちらはワヒー語(話者数 3万人)
PURDUYUY_N プルデュユーヴン
「家畜に乳を出す気にさせる」
家畜の機嫌を取るって(笑)、家畜をモノではなく
ちゃんと大事に扱ってるのが分かりますね~
主に遊牧生活を行っている民族のようなので
家畜は生活の糧ですね。
中央アジアについての知識がないので勉強になります
今まで知らなかった民族、文化や言語たち
それぞれを自分なりにイメージして思いを馳せてみる
そんな楽しみがあります
世界にはまだまだ知らないことがたくさんあります
いや、知らんことだらけかも
1ページの情報量は決して多くなく、
詳しく知りたい人には物足りない内容かもしれませんが、
厳選されたその「一語」はインパクトがあります
そして、もっと知りたくなって
その言葉や民族のことを調べちゃいます
知的好奇心をそそられる本なのです
(言語が好きな人は特に!)
こちらはハワイ語(話者数 2千人)
MAKAI マカイ
「海側」
ハワイは好きな人が多いので、私が大阪から神戸に来て不思議だったことが
「海側」「山側」と
百貨店に表示があったこと
地形を見てすぐ方角が分かるのは便利です
国立民族博物館から画像をお借りしました
何枚もの魚皮を上手く繋いで連続した模様になっています
技術が要りそうです
そして、次はアイヌ語(話者数 5人)
IYOMANTE イヨマンテ
「熊祭り 熊送り儀礼」
北海道のアイヌですね
アイヌの人口は10万ほどなのに
アイヌ語ネイティブはたった5人なんですね
明治以降、日本語の教育による同化政策で
アイヌ語は親から子へ引き継がれなかったんですね
私は5年前に北海道1週旅行をして、
アイヌコタンにも寄ったり、アイヌの話を聞いたりして
自然と共に暮らしたアイヌの文化に興味を持ちました
イヨマンテ(イオマンテ)は
ヒグマの子供を一定期間家族として大切に飼って、
神の国に送る(殺す)儀式ですが、
アイヌでは熊自身が、肉と毛皮を持って
神の国から人間の国へ来た「神」と考えられていて、
熊を殺すのは神(熊)が元々いる場所、神の国へ送る行為なんだそうです。
野蛮な行為だと一時は日本政府に禁止されたようですが、
儀式の日までは熊を家族同然に大切に育て、
儀式の後、残った肉や毛皮は感謝しながらいただく、
熊に対する敬意を感じます
この絵本では
もっとたくさんの民族や言葉が載っています
それぞれの言葉に独自の文化があります
一冊の絵本から自分の知らない世界を
ほんの少し知ることができるので
なかなか興味深いです
そしてまた、ちょっと考えさせられ絵本でもありました
経済的価値や社会的価値を考えると
話者の多い言語を学ぶ方がメリットがあるので、
少数派の言語はだんだん引き継がれなくなるのかもしれませんが
言葉自体が文化そのものなので、
文化が消えてしまうのは悲しいことです
(第三者がとやかく言うことではないですが)
でも、そんな少数派の言語があることを知り
ほんの少しでも興味を持ってみることで
何かが変わることがあるかもしれませんね