29年度税制改正-年収1220万円超で配偶者控除の適用がなくなります | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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29年度の税制改正の話題に触れます。
この話題は、29年4月からの改正予定で、このブログを書いている時点において、まだ改正案であることに注意が必要ですが、国会は、与党に衆参のねじれもないことから、スムースに法案成立するでしょう。

税制改正大綱の概要でも特に取り上げられている、所得税、住民税の配偶者控除の見直しについて。

言わずもがな、女性の働き方改革を政策に掲げる現政権の肝いりの施策です。

メディアでは、この配偶者控除の見直しの概要として、いわゆる103万の壁を引き下げ、給与収入が103万円を超過しても、配偶者控除が受けられる、「配偶者特別控除」の適用拡大に重きをおいて紹介されているように聞こえます。

しかし、この改正を読んでみると、
①大黒柱の合計所得金額が、900万円を超えると、配偶者控除額(38万)が逓減。
1,000万円超過で、控除なし。

②配偶者特別控除の適用幅拡大
このような構成になっていることが分かります。
※いずれも平成30年からの適用予定です。

女性の働き方改革のための施策としての政策論はさておき、
中小事業の経営者には、ままインパクトのある改正であることに間違いありません。

29年から自動的に増税

先の税制改正の前に、過去の税制の改正内容が適用になるお話を。

この1月以降、給与収入から差し引かれる給与所得控除額の上限が引き下げになります。
従来 給与収入 1,200万円超 230万円
29年以降  同 1,000万円超 220万円

このように税制環境が変化することから、
1000万円超の給与収入を得られる方は自動的に給与所得控除額が減り、

その分増税になります。

30年から、配偶者控除が受けられない?!
先に触れた、今年の税制改正の影響で、30年から合計所得金額が900万円を超える方は、配偶者の所得の多寡に関わらず、配偶者控除の縮小の影響を受けます。
合計所得金額金額が、900万円というのを給与年収に直しますと、1,120万円。
1,120万円を超える給与収入がある方は、これまで受けられてきた、配偶者者控除が縮小。
1,220万円を超える給与収入がある方は、配偶者控除の適用がなくなります。
(不動産の賃貸所得がある場合は、合計所得金額の計算に上乗せになることに留意)

役員報酬の見直しと家計のプランニング
役員報酬は、原則として定時株主総会から翌定時総会までの業務執行期間の

報酬として設計されます。
30年からの税制改正を見込み、順次迎える決算期から、次の役員報酬の決定に

動き出す必要があります。

ところで、配偶者をめぐる制度は、世帯としての社会保険料の負担と密接に関わります。

今回の改正を踏まえ、税と社会保険の制度を加味すると、
大黒柱の給与年収が、1,120万円を超えると、その配偶者の給与年収を103万円に抑えることによる、家計へのメリットが乏しくなる。ならば配偶者はもっと働こうかとなるかもしれません。

しかし一方で、配偶者の働き方は、社会保険の負担の点で、106万の壁、130万の壁など、複数の壁を意識したプランニングを気にせざるを得ないでしょう。むしろ、社会保険のほうがインパクトが大きい場合が多い。
税だけでは、世の中は変わらないわけですね。  

我々中小企業の参謀役は、会社のタックスプランニングと併せ、会社の代表者の手取りを

最大化する支援も重要な役割だと考えます。
会社に万が一のことがあった場合に、会社を救うのは、やはり代表者ですから。

 

納得感のある報酬設計のお手伝いができればと思います。


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税理士、行政書士 星川 望