伊勢神宮にみる集客の戦略ストーリー | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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先日、社内のビジョン合宿を兼ねて、伊勢神宮を参拝してきました。

教養の乏しさを露呈しお恥ずかしい限りですが、伊勢神宮について、
天照大御神をお祀りしているということくらいしか知らず、
個人的には、修学旅行の中学生が、京都・奈良に行くかの如く、何を見たら、何を感じたらよいのかを深く考えずに参道を歩くことになりました。
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(内宮、宇治橋)

移動距離、ものすごい数の人、そして暑さ…
祈祷の際には、偶然にも、とても豪華な神楽を見られたのはよかったですが、
神様が大きいだけに、
「世界平和や日本の安泰」などをお祈りすることに、個人的な満足が今一つ…
という気持ちで参拝後の手ごね寿司を頬張りました。

その気持ちがぐっと変わったのは、
帰宅後NHKのテレビ番組を観ていた時でした。
偶然にも伊勢参りの番組で、
何気なく歩いた参道、門前町を何とも興味深く紹介していました。

一生に一度は伊勢参り
江戸時代から多くの日本人が参拝して来た伊勢神宮。その背景には何があるのか?という特集でした。

古く活躍したのは、御師(おんし)という営業マン。鎌倉時代から室町時代初期に誕生し、江戸時代にはその制度が発達。全国に伊勢参りを広報して練り歩き、参拝客が来たら、ガイドや宿、食事の世話もするコンシェルジェの役割も果たしたそうです。
伊勢のお札や特産物を持参して伊勢参りの魅力を伝え歩くことで、伊勢参りは庶民の憧れへとなったことでしょう。顧客への価値提案。教育ですね。

彼らの活躍で江戸時代に伊勢参りは大流行。
多くの日本人が伊勢参りを行ったということです。

しかし、明治に入ると、御師制度が廃止され集客力が低下したようです。

そこで伊勢が取ったのは、インフラの整備。
明治天皇の伊勢参拝を機に、道路を整え、東海道から分岐し伊勢神宮内宮までの国道を作ったとのこと。これが東京から伊勢神宮までの道路として、国道1号と認定されたとのこと。(現在は国道23号)

アクセスが良くなり、再び多くの人を集めるようになったようです。

さらに時代が進むと、鉄道が整備されました。
実際に目にした時には、深い洞察もできず、「レトロで違和感がある」と感じた宇治山田駅の駅舎。
大阪から伊勢参りをスムーズにするために轢かれた鉄道は、伊勢参りの玄関口として宇治山田駅を開業します。
神聖な場所、多くの人を集めるのに相応しく、豪華な高架ターミナル、近代的デザインの駅舎を設計し当時羨望を集めたようです。
いわゆるモダンなデザインが、現代の私の目には違和感と映った訳ですが、教養のなさは実に勿体無いと反省した次第です。

この高架ターミナルの駅ホームには、観光バスが乗り入れられる仕組みになっていて、多くのバスが伊勢参りをする人の足として、おもてなしをしていたようです。(現在は、廃止)

日本一滞在時間の短い観光地の奮起
伊勢神宮へのアクセスを改善し続けた結果、ある弊害が生まれたということ。
それは、観光バスツアーが流行したため、門前町の商店街に立ち寄る観光客が減り、伊勢参りに来る人はたくさんいるのに、商店街に滞在する人が激減したということ。

「日本一滞在時間の短い観光地」と揶揄されることもあったとか。
そのためにどうしたか。
観光客に立ち寄ってもらえるよう、楽しんでもらえるよう、切妻、入母屋など昔ながらの建築様式の建物や、歴史的建造物を移築したり景観を江戸時代さながらにし、色調も落ち着いたこげ茶系に統一し、辟易するありふれた土産物屋から情緒ある街並みへと一変させたそうです。(仕掛け人は赤福の社長さんだとか。)
観光客の目線で「どうしたらいいだろうか」と議論重ねたのでしょう。

我々が歩いた際にも、
「やっぱり伊勢はすごいなぁ、川越とはスケールが違う」と感想を述べたものもいました。
完全に観光客目線で、何が求められているかをけとうする
観光客で賑わう伊勢の背景には、街全体で「一生に一度はお伊勢参り」を呼び込むための努力があったのですね。

そして、NHKの番組は、上記のような街全体の取り組みが、伊勢神宮の社殿を移す遷宮とか変わっていると分析していました。

20年に一度の一大イベントに向けて、街全体が成長するために新しい取り組みをしているとのこと。

栄え続ける観光地には、成長のためのたゆまぬ努力があったのですね。

ストーリーに触れると、それに触れたくなる、確かめたくなる、語りたくなる。
ストーリーが人を引き寄せるという自分の持論をここでも確認できました。

今度は古事記や神道を勉強して、また次の遷宮の時にでもお伊勢参りをしてみたいという気持ちになりました。

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