アパレルコンサル  -阿倍野のキューズモール- | ファッション業界転職 販売職専門人材会社インター・ビュー

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山口 芳明 の奮闘記

4月26日に開業して1ヶ月をむかえた、阿倍野のキューズモール。

1ヶ月で56億円も売ったというから、初年度予算の400億円を3割ほど上回るハイペース。

このまま行けば500億円の大台に乗るかもという勢いだが、デベの東急不動産は440億円と1割りの上方修正に留めている。

キューズモールの商業施設面積は6万9000平米とラゾーナ川崎(6万6300平米/ビックカメラを除く)とほぼ同規模で立地的にも似ており、ラゾーナは595億円も売り上げているからキューズモールの500億円乗せもありうるという見方がある一方、あんなに酷い構成ではラゾーナとは似ても似つかず開業景気が引けば初期目標の400億円がせいぜいという見方もある。

実際、キューズモールは計画段階から「イトーヨーカ堂核の郊外SC+渋谷109村」というチグハグな構成が危ぶまれていた施設で、「天王寺ターミナルの準駅ビル」という性格はまったくなかった。

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実際に開業したキューズモールも「イトーヨーカ堂核の郊外SC+渋谷109村」そのもので、東急ハンズやユニクロ、ABCクラフトやミドリ(家電量販店)といった大型テナントに依存する面積が極めて大きいばかりか、出店テナントの顔ぶれも郊外SCと大差なく、駅ビル系テナントはほとんど見られない。

事前の予想通り「渋谷109村」だけが突出しているというのが実態だった。


それでいて予算を3割も上回るペースは奇跡としか言いようない。

実際にキューズモールを一周した印象も大型店依存の強い「イトーヨーカ堂核の郊外SC+渋谷109村」でしかないのに加え、テナント業種業態の偏りと欠落が酷く、ファッションテナントでは類似テイスト店舗があからさまに重複してバラエティがなく、テナントミックスの稚拙さが露呈していた。

肝心の「渋谷109村」もトゥイーンズからお姉さんOLまで分散してコアがなく、二軍級三軍級ブランドが目立っている。

それでもモールには中高校生や家族連れなど人混みが溢れフードコートも混雑していたから好調振りは実感出来たが、イトーヨーカ堂やユニクロは閑散としていた。
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キューズモールの実勢商圏はターミナルとしては例外的に狭いが、それでも約40万人、2600億円の市場規模があり、7万平米級の郊外SCなら十分である。

加えて、阿倍野周辺は中高校が異様に多く、「渋谷109村」の大成功に繋がったと推察される。


とは言え、ラゾーナ川崎のように駅ビル系テナント群を加えなかった事や稚拙なテナントミックスを考えると、今の好調振りは奇跡としか言いようがない。

奇跡なのだから、この勢いが続くかどうか疑問が残ってしまいます。