2012/1/27 郁彩@赤坂 ~ 清家千晶@新宿 | 音楽偏遊

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今夜は待望の清家千晶。月1回やるか、やらないかというレアなライブだけに見逃せない。ただ、箱(新宿RUIDO K4)が、清家千晶に似合わないが……どんなパフォーマンスになるか、見守りに参るか。

RUIDOには、開演から行くつもりだったが、聞けば千晶ちゃんはトリの21:30から。それならと、まず赤坂見附のGraffitiへ。

今夜のGraffitiは21歳の郁彩と××歳wのあずままどかの初のマッチアップ。ギター弾き語りで成り上がろうと意欲的な郁彩には、まあかは間違いなく格好のお手本のひとりだ。そのステージングを、テクを、郁彩はきっと吸収するだろう。その姿を見たくて。最近、あずままどかにも不義理していて(義理ないけどw)申し訳ない。

ところが、Graffitiに行ってみたら、まあかの出番は21時からで、それを見ていたら清家千晶に間に合わない。またまた聞けなくなって、申し訳ない状況。会わす顔ないのだが、開演前の物販席にいたまどかちゃんとしばし雑談。いつもと変わらず、今夜もチャーミング。あの元気いっぱいで、すごいテクニックとLoop駆使したライブも魅力的なのだが惜しい。

今夜はスリーマンで、郁彩は2番手の出番だ。

ギターの弾き語り。一人で上がったステージを、彼女はその歌声で完全に支配した。本当にいい声。頑固な強さと、耳を傾けずにはいられない艶がその声に同居していて、ぐっと振り向かされる。そして、歌唱力もいい。まだ21歳。これからの伸びシロの大きさは、すごいものがありそうなのだ。

今夜は新曲中心。「赤い糸」と「free」以外はみな比較的新しく、ブランニューな郁彩だった。なんか新鮮!でも、やはり「赤い糸」が一番良かったかなー。歌い慣れているってこともあるけど、それ以上に完成度が高い曲だなって思う。

ワンマン後に発表してきた新曲は、どれも違う彩りで、新たな郁彩らしさを出そうと挑んでいることがよく分かる。まさに曲作りは彼女の今後の課題だね。そのなかで、年上の彼に釣り合うよう努力する女心を描いた今夜初披露の「背伸び」は、結構気に入ったかな。

そういえば先日、ギタリストの三井真一さんと話をしていたら郁彩が話題になり、彼もベタぼめ。もっとああしたらいい、こうしたらいい、と色々と提案したい様子。郁彩も斉藤麻里をサポートしている三井さんのギターに惚れたようで、今後、三井さんが彼女のサポートにつくライブも見られそう。これは、楽しみだ。

1)赤い糸
2)srcret
3)白黒世界
4)夢のなか?
5)背伸び(新曲)
6)このままじゃ
7)free

最後の「free」も充実。歌いこなしている曲って、やはり違うもの。しっかり、彼女の血肉となっていて、訴える力もとても強かった。

次回、この赤坂graffitiで歌うのは3月29日の「歌女-utaime-act.28」とのこと。この日のブッキングは、個人的にやばい!なんと、郁彩のほか、詩~uta~、マリエ、渋谷めぐみという4人。これは強烈な個性のバトルだ!

たぶん、この日の渋谷めぐみバンドは三井さんが入るだろうから、そこで郁彩とまた交錯する事になるね。しかも、強烈なマリエと郁彩のギター弾き語り対決も楽しみだし、前回のグラフィティでいっくん、マリアちゃんを引き連れてきた詩ちゃんの目立ちまくりステージが忘れられない!あれ再現しないかなあ。

時間がないので、郁彩にはあずままどかのステージは前の方に行ってでも、しっかり見て盗むよう勧めてしまった(笑)そして、まどかちゃんには見れないこと謝って、一路、新宿へ。


新宿RUIDOのライブは「Hime Hime Rock vol.1」というタイトル。女性ボーカリスト6組が共演。かなり押していたようで、時間ぎりぎりかと思ったら、トリの清家千晶が始まるまで15分ほどあった。

彼女の前に出ていた「No Life Negotiator」というロックバンドを暫し楽しむ。庶民的で親しみやすそうな女の子がボーカルで、ボンデージスタイルで思いっきりへそを出して歌っていた。嫌いじゃない。でも、これだったらあずままどかを3曲聞けたな。残念。

この日はほかに、あのゴシックロリータロック?の「スキルアップ」や、プーさんのかぶり物とチアリーダーの取り合わせという「みつあなぐま」などが出演。物販は、かなーり異様な光景で笑えた。それにしても、このメンバーの中に清家千晶を放り込んだブッキング担当者の頭はどうなってるのだろう(笑)一応、清家千晶もロックと紹介されることあるが、その時はオルタナティブとつくのだが。

さあ、そして清家千晶の出番だ。

今夜はいつものウッドベースと、ギターだけというサポート構成。ギンギンのロックバンドの後だけに、物足りなさがないか心配だったが、前のバンド目当ての客はすっと消え、変わって清家千秋を目当てに来た客が続々と入ってくる。しかも、女性が多く、その女性の水準が高いぞ!何があったんだ?

見ていると、次々やってくるお客さんの中を挨拶して回っているのは、あきさんだ。どうやら、彼が清家千晶のライブを皆に薦めて、たくさん招いた様子。あきさん、グッドジョブ!さすがです。

で、彼がいるということは、多分、清家千晶がパーソナリティをしているFM-FUJIつながりと推察。毎週月~金、25:00~放送している「SPACE TRIAL on FUJI」という番組があって、その中で毎週月曜日が清家千秋の「幻想Radio」だ。ちなみに毎週木曜日は神山みさの「ドリーム☆騎士(ナイト)」で、火曜が上野まなの「愛せますRadio」だった。

ちなみに神山みさとあずままどかは親友関係。なんだかんだ、今夜は所変われどつながっているのだな。2月19日には清家千晶と神山みさは、渋谷Milkywayで対バンするし、これは見に行かねば。

さて、目当ての清家千晶ステージはというと、もう、相も変わらず圧巻。シースルーのシルクワンピ姿そのままに、ふわふわっと音符の海にたゆたう歌姫のよう。といっても、今夜はいつもの天然色ではなくて、白と緑が明暗する木々の中を泳ぐ妖精のような風情だ。

そのこころは、まず音が弦2本だけでシンプルなこと。そして、ライブの回数が少ないためか、彼女の声量も抑え気味なこと。そのため、少しあっさりした印象のライブだった。それでも、その声、その空気感は他の誰よりも、何段階も上だと明らかに判る風格。彼女が歌の神さまに愛されている才能であることに変わりはない。

今夜も、ネジをまく効果音からオルゴールの音色が始まり、3人がステージに入ってくる定番のオープニングから1曲目の「オルゴール」へと続くスタート。彼女が歌い出した途端に、RUIDOが夢の中の世界になったように見えてくるから不思議だ。

そして、もう言葉では語り尽くせない感動の「すみれ」。といっても、この日は控えめなスミレで、すこーし物足りなかったけどね。その代わり、今夜の「花唄」は良かった!もともと、アコースティックな演奏でやっていた曲だけに、弦2本だけでも違和感ない。彼女が一言ひとことを慈しむように歌う声を聞いているうちに、重力がなくなり、ゆるゆると花唄の世界に沈下していくような錯覚。知らずに涙が滲む。

また、これも彼女がこよなく愛し、ライブで度々カバーしているスコットランド民謡「The Water Is Wide」が、空間に沁みわたる。よく、ありましのも歌っていて、家族や故郷の情景が浮かんだものだが、清家千晶版ではこの曲を歌っている女性の姿がありありと浮かぶ。何にひき付け、何をイメージして本人たちが歌っているかの違いなのだろうか。

最後は、体ごともっていかれる「ユラー」だ。この曲はやはりバンドで聞いた方がインパクトあるのだが、ユラーを日々渇望している僕としては、こうして生で聞けるだけで幸せを覚える。最初に「ユラー」を聞いたのは、2年ぐらい前の表参道FAB「flower voices」での事だったと思うが、あのときにインパクトはとてつもなかったから中毒になってしまった。また、あんな感じのユラーを聞きたい
ものだ。

1)オルゴール
2)すみれ
3)花唄
4)The Water is wide
5)ユラー

それにしても、やはり清家千晶は素晴らしい!アルバムは全部持っているが、最後に「Sensiteive doll」をリリースしたのが2006年。そろそろ、新しい音源期待したのだが、今の彼女の感じではまだ機は熟してないのかな。こうして時折、ライブを聴けることだけでも、幸せなのかもしれない。