「Gibara Attack vol.17」@高田馬場・四谷天窓
出演:嶋雄大 →The Sing2You →ヒグチアイ →小玉哲也 →五十嵐伸治
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久し振りにThe Sing2Youが東京にやってきた

しかも、今夜の対バンはヒグチアイに小玉哲也、五十嵐伸治だ。これはかなり興奮もののブッキング。さすが代々木原シゲル。楽しみ、楽しみ。
ということで、高田馬場へ。昼飯抜きだったので、久し振りに栄通りですた丼。いつも米が多すぎるのだが、今夜はかるーく完食。飢えてたねー


さて今夜の天窓、急遽決まったオープニングアクトが。名前は分からなかったが、日本全国を歌いながら回ってるという男性ギター弾き語り。「幸せになろう」という1曲だけだったが、若さとエネルギーと優しさを感じる良い歌手だった。
トップバッターは嶋雄大。彼もギター弾き語り。日本語の歌詞を英語のように響かせる歌いかたが印象的。といっても、桑田佳祐とかとは違うやり方。最初の曲のサビ「上に上に」が「wainy,wainy」って聞こえる。それが、ちょっと格好よい。
自信ないがセットリストはこんな感じ
1)上に上に
2)Chicken Soul
3)四畳半
4)ハナウタ
5)3秒フューチャー
6)さよならByeBye
さあ、そして2番手が、今夜の目的の「The Sing2You」だ。
彼らの演奏が始まると、もうそこは異次元の森の中。下草を踏みつつ進んでいくと、そこはSing2Youにしか作れない音楽に満ち溢れ、耳だけでなく、鼻からも、目からも、口からも、手や足からも、森の息吹がしのび込み体中を幸せで充たしていく。興奮と恍惚と幸福の3重奏に、無心に手をたたき声を出したくなる。音楽が芸術であり、無限の可能性を秘めていることを、ポピュラーのジャンルでここまで表現できるアーティストを、僕は知らない。
しかし、ステージの上にいるのは、ボーカルのくるみさんと、ギター(時々一五一会)&ボーカルのさとし君の2人だけなのだ。その二人がここまでの世界を作り出せるのだからすごい。並外れた音楽センスの塊であるくるみさんのソウルフルな声と、人柄を現したような温かいさとし君の声が、それぞれが主旋律を歌いながら、絡み合い、追いかけあい、時々ハモり、絶妙のバランスで深ーい陰影を描いていく。
特にくるみさんの声は、素晴らしく魅力的。この次に出たヒグチアイの声も迫力と魅力たっぷりの際立つ個性なのだが、くるみさんの声には音楽の神様が宿っているんじゃなかろうか、ってほど神がかってる。何か違う次元、違う空間から響いてくるのだ。ただ頭の中を真っ白にして、彼女の声に身を任せれば、解放される。それも、彼女が歌いだした途端に。お膳立てさえ不要なのだ。
彼女は歌うだけでなく、鳥のさえずりや流れる風の音なども模写し、歌声も掠れさせたり、地声を力強く響かせたり、細く軽やかにファルセットしたり、高音から低音まで自由自在。神だよねー。しかし、楽曲の軸を貫くのは、地面にしっかり足をつけた、人間味豊かなさとし君の歌声。あたかも神と人間が交わっている様子を無意識にイメージさせるのだ。紅天女か(笑)
それにその神は、至って庶民派

1)森?
2)森
3)ハシノシタ
4)七色サンドイッチ
5)デジャブ
ちょっと1曲目の題名を失念。静かな出だしから、森の中に誘われていく。
定番の「ハシノシタ」で、一転、俺たちは格好よいミュージシャンだぜー!ってのを見せつけて、「七色サンドイッチ」はお客さん交えて大合唱。みんな、これ歌いたくて彼らのライブに来てるんだよね。目覚ましに「七色サンドイッチ」を入れてるので、僕は毎朝、この曲で起きてるよ~

最後は新曲という「デジャブ」。うーん、音源欲しい。次の東京ライブまでこの曲が聴けないなんて。またまた、今夜もSing2Youに楽しませてもらったー。充実!これで帰っても十分なほど堪能したのだが、今夜はまだこの後も粒揃いだ。
3番手が話題のSinGirl(笑)、ヒグチアイだ。
でも、さすがのヒグチアイでも、Sing2Youの後はやりづらいと思うよ。一方でそういう時こそ、相乗効果で実力以上のものが引き出されたりもする。本当にその場、その場でまったく違う展開になるからライブは面白い。
今夜のヒグチアイはというと、マイペース!前がSing2Youだろうが、誰だろうが「私はわたし」とばかりに、逆にいつもより抑え目の演奏を聞かせてくれた。多分、彼女の中で確固たるライフプランがあり、そのゴールに向けて、それぞれのライブに課題を課しているかのようだ。
そして、今夜は一人で弾き語りということもあり、しっとりと演奏するプランだったのだろう。前回の彼女のライブ評でも書いたが、最近我が物にしつつある大人の女の魅力を歌で出す、その完成度を高めるステージだったように思う。
1)唯一のもの
2)ココロジェリーフィッシュ
3)合鍵
4)東京
5)メグルキオク
その音楽が、それぞれの楽曲がどれだけ素晴らしいかは、前回書いたので今回や割愛。でも鉄平さんではないが、間違いなく彼女は現在の若手女性弾き語りシンガーの中で、傑出した存在になりつつあると思うね。今夜も、とっても良かった。
さあ、そしてノリノリのステージを期待していた4番手の小玉哲也 from 大阪が登場だ。
きっと今夜も、腹にたまったすた丼を一気に消化してくれるような、熱いステージになるだろうと思いきや、ちょっと赴きが違うぞ。新アルバム『HeyBelieveMe』を引っさげて、全国ツアー中の彼は、また新しい一面を見せてくれたなあ。彼の優しく感受性豊かなところが、どの曲にも溢れていて、「小玉っていい奴じゃん」って感じてしまう。
勿論、根っからのグルーヴとかは健在なのだが、なんか若さと勢いだけじゃない今の小玉哲也を見てってくれーって、彼のステージ全体が叫んでいた。好っきやなあ。
1)?記憶
2)?小玉哲也と申します
3)No No No
4)Not Fiction
5)Hey,Believe Me
ライブ後に是非CDをゲットしようと、彼のところに行くと違うお客さんと話し中。ヒグチアイと話して、また小玉っちを見ると別のお客さんと話し中。くるみちゃんと話して、小玉君みるとミュージシャン仲間と盛りあがっとる。で、ちょっと機会を逃して彼が今夜巻いてくれた種を拾えず、うっかり帰宅してしまったよ。後からCD買ってなかったと後悔。まあ、まだまだ彼のライブを聞く機会はあるさ。
そして今夜の四谷天窓、トリをしめたのは五十嵐伸治。
ギター弾き語り。弾きまくり。ギターテクが飛びぬけてすごいのだが、単なる技術でなくて、彼が彼自身の音楽を存分に楽しむための、あくまで手段なのだなあと。演奏している姿が、すごい楽しそうなのだ。そして、魅力的な柔らかい声で歌詞を大切に歌っていて、言葉が頭に入ってくる。
1曲目はそんなギターのテクを余すところなく出しながら、ブルーズな代表曲「ブルージーンズ」をグルーヴたっぷりに。格好いいねえ。これぞミュージシャン、という決めっぷり。惚れる。


1)ブルージーンズ
2)正しい人
3)帰り道
4)JUMP
5)ビールを飲もう
それに、最後に歌った「ビールを飲もう」が、むひょむひょっと楽しくて、一緒に乾杯したくなります。なんていうか、王道の男性POPで、ミスチルやゆずにさえ繋がっていきそう。ギターも炸裂して、手拍子いっぱいで、大盛り上がりでしめてくれた。こだわりの世界に陥ってしまう歌手は多いけど、彼は広い視界を確保して、まっとうに楽しみながら音楽で進んでいきそうだね。いがらしのぶはる、いい歌手だ。また聞きたいね。
そんなこんなで、この日は最高のブッキングで盛り沢山。チケット代はかるーく元を取ってお釣りがきた感じ。すごい楽しいライブだったよ。