2011/10/15 Avaivartika, Violent is Savanna@渋谷 | 音楽偏遊

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「ハロハロハロウィン!」@渋谷Star Lounge
出演:Claddagh Ring →Avaivartika →Rainy UNGLEBUN →Violent is Savanna →JOVO
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女性ボーカルバンドばかり集めたハロウィンイベント。、どのバンドもなかなか良くて、楽しい時間を過ごせた。

勿論、一番がAvaivartikaという評価は何ら変わりはないのだが、4番手に歌った「Violent is Savanna」はさすがメジャー。王道のポップロックで、見事にインディーズの水準をはるかに突き抜けている4人組だ。初めてだったのに聞き心地がとても良くて、聞いていて踊りだしてしまったくらい(笑)

特にボーカルの星花の声や歌いっぷりが、ジュディマリのYUKIやいきものがかりの吉岡聖恵に通じる華があって、とてもキャッチー。いいバンドだね。前向きで明るく、楽しい楽曲ばかり。ファンが沢山ついて、メジャー街道まっしぐらでなきゃおかしい位だ。

事実、昨秋にメジャーデビュー、今年の4月6日に初アルバム「SWING」を発売したところ。間違いなくこれから益々注目されていくだろう。

また1番手の3人組ガールズバンド「Claddagh Ring」のタテノリ全開の軽快なポップロック、3番手の「Rainy UNGLEBUN」はgt.&vocalのRayがmimikaのような幼さとポップさでかわいく、とても頑張っていて好感。彼女たちも、きっと好きな人にはたまらないタイプ。下手なバンドだと、聞いていられずライブハウスを出てしまうが、彼女たちのステージは最後まで楽しめた。

そんな素敵な対バンぞろいだったが、それでも、もう圧倒的にAvaivartikaが素晴らしかった。ファンの個人的な感想ですが(笑)

Avaivartikaは2番目、18:40からとかなり早い時間に登場だ。

ステージ前のスタンディングのお客さんは、アーティスト毎に入れ替わるため、見てると誰のファンが多いか一目瞭然。今夜はトリのJOVOに次いでAvaivartika が多かった。この2組、女性客が多い点が面白いことに共通してたが、違ったのは年齢層。JOVOの客はミッキーの耳をつけた女子高生のような幼さ。一方、Avaivartika の客は20代~アラサーまでの落ち着いたOL層。ファンを見れば、どんなバンドか分かるというが、今夜はそれがあまりに明白で可笑しかった。

JOVOは高校の学祭に出てきそうなノリの軽妙なポップロックバンド。それに対し、Avaivartikaはど本格派。ギター、ベース、ドラム、キー&シンセ、ボーカルの5人組が繰り出す音楽は単純なタテノリなどではない。高い演奏力のロックにエレクトロやラップなどの要素も取り込み、劇的なドラマ性と壮大なメッセージ性を、感動的なレベルの分厚い演奏で聞かせる。まさに大人が興奮できるバンドなのだ。

今夜も、そんな壮大なライブを聞かせてくれた。

最近のライブでは定番となった「止まない拍手のRaining」で幕開け。シンセのうねる様な音の中、ステージに現れた彼らが所定の位置につくと突然途切れるBGM。一瞬の静寂の後にキーボードとギターが走り出し一気にテンションが高まっていく。そのテンションが一定の水準まで高まったところで、宇治田愛のボーカルがはじけ、想像以上の疾走感で一気に音楽が、ボーカルが、リズムが走り出す。体中をアドレナリンが一気に駆け巡る。踊り出さずにはいられない衝動に突き動かされ、足はリズムを刻んでしまう。

その高いテンションのまま2曲目の「ノンフィクション」へ。シンセとギターの切なげな唸り、心臓の鼓動を少しずつ早めていくようなドラムのビート。不安感がじりじり高まっていく。音譜週刊誌開けば数え切れないスキャンダル~音譜出だしから社会性たっぷりの歌詞を抑えた調子で歌うボーカルが、その不安を煽る。そしてサビへ、低音から高音へ徐々にスケールを駆け上がっていき、再び爆発的な疾走感あるサビへ。そこからラップを挟んで、再び鳴き叫ぶギター。一転して音が止まり、キーボードにのって愛ちゃんのボーカルが緊張感を高めて、そしてラストの爆発へ。

そう、Avaivartikaの曲は単純ではないのだ。その息もつかせぬ展開に、緩急に、次第に心を奪われてしまうのだ。その刹那のカタルシスといったら、もはや並みのバンドでは満足できなくなる麻薬のようだ。狙い済ましたその音作りの緻密さに、驚嘆し惚れてしまう。

ギターいく君の作った新曲「イグリース」は、まさにギターとボーカルが競演するアッパーチューン。いやむしろ、ギターがメインのよう。そのギターは、あらゆる音を繰り出し、その音だけで惹きつける。足元に並ぶ10以上のエフェクターと、速弾きもタップもウィープなどのテクを自在に使いこなし、楽曲に多層的な表情をつけていく。

そして、このバンドが一番最初に作った、分かりやすいノリの「NS」で、一気に盛り上げ再びダンスモード。すでに痺れている頭が一段と痺れ、もう何も考えずその音楽に乗ってしまう。だが、それだけで終わらせないのが彼らだ。

ラストは、これも最近の定番の「終末のコンダクター」。現在、Avaivartikaの楽曲の中でもっとも壮大で、わくわくするようなドラマの劇的展開に心を奪われる代表曲だ。バラードのような序盤、愛ちゃんの歌う言葉が頭の中に入り込み、気分は大気圏外から青い地球を見下ろす宇宙飛行士のような気分に。ところがその地球が、途中で一気にスピードアップし激しい調子に変わる曲に突き動かされ、まさに「終末」の危機が迫りくるような切迫感に包まれていく。そして、バンドの醸し出すサウンドがぐいぐいと自分を地表から宇宙へと引っ張り上げ、そして最後は宇宙の果てへ放出されてしまうような錯覚に。ここまで稀有壮大なスケール感を持つバンドを、僕は他に知らない。

<セットリスト>
1)止まない拍手のRainning
2)ノンフィクション
3)イグリース(新曲)
4)NS
5)終末のコンダクター

出番が終わったら、みな仮装して物販へ。男性陣は長身が多い上に被り物。この集団、ひときわ目立ってたね。ベース榎ちゃんの魔女は大ヒット(笑)


昨秋に結成され、今年初から活動を開始。最初のうちはスタジオで自分たちの音を高めることに集中してきたので、本格的なライブを始めたのはこの夏以降だ。それなのに、もう熱狂的な女性ファンが多数。なぜ、男のファンが増えないのかな。ボーカルの愛ちゃんは、カリスマ性さえ感じる魅力ある女性なのだが、男前すぎるか(笑)

彼らは間違いなく世界を狙えるバンド。ますます目が離せないよ。