2011/9/30 渋谷めぐみ ←ByeByeBoy@代官山 | 音楽偏遊

音楽偏遊

最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

渋谷めぐみのライブを見に代官山へ。ノマド2130~の出番までかなり時間があるので、Loopへ。前から一度、きちんとライブ見たかったByeByeBoyが出てるし、こちらの音圧の方が楽しげだなと。

一番手のLoversSoulに間に合う。北海道出身のChihiroをフィーチャーするこのバンド、あなどりがたし。まっすぐな、まっすぐな王道POP。メジャー一直線てのも分かるねえ。同じ北海道のRihwaが同じ路線をひた走っているが、北の大地固有の音楽文化がやはりあるのだろうか。

そして2番手が目当てのBye Bye Boy

これまで、よく知りもせず、アイドル系女の子が組んだ速成ガールズバンドだと思ってた。ただ、食わず嫌いはいかんと、せっかくの機会だから見に行くことにしたのだ。案の定、あやのさんもお見かけしたし。

演奏を聞いて、見事に先入観は崩れ去った。まず、コーラスは入るがインスト中心。リード役はテナーサックスビックリマークそして音楽はポップではなく、フュージョン!!そして何より、アイドル系ではなく軽音系!?(笑)全く違うじゃないか。

という驚き、テナーサックスの艶やかで力強い響き、チャラチャラ感がない感激。トーク面はギターの子が頑張ってる。けっこう楽しめるのだ。

曲名は聞き取れた所で「一番星」「らりるレイン」「ひとり世界」「New York」「It is time(新曲)」など。演奏がこなれてたニューヨークが良かった。メインを努めるサックスの子は、曲によりクラリネットに持ち替え、軽妙な道化師のような音を響かせるなど、管楽器で多才ぶりを発揮。可能性を感じさせてくれた。こんな感じ↓


もう少し色気がでてきて、ステージングを磨き、パワフルになったら、ピストルバルブとの対バンが楽しそう。その時は是非見てみたいものだ。

3組目のSAWAは、秋葉系アイドル?アニソン声をちょっと聞いて、すぐ退出し夜の散歩だ。いざノマドへ。

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「この日は1組の持ち時間が40分になります day89」@代官山nomad
出演:稲山亜紀→北村綾子→槌谷知佳→是方貴美子→渋谷めぐみ
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で、向かったノマド定例の1組40分イベント。槌谷知佳の終盤から聞けた。きれいな声、魅力的なルックス。大阪出身で楽しげ。ふむふむ、もしかしたらいい歌手かもしれないが、いずれどこかでしっかり聞くとしよう。

続いて是方貴美子。すらっと長身、そのスタイルが印象的。前にも確かノマドで聞いてるのだが、なぜかそのルックス以外は印象に残ってなかった。外見に似合わず、優しい声で、ふわふわした歌。こんなだっけかなあ。

すらっと背が高すぎるのか、キーボードの位置が低いのか、どうも俯き加減で歌う。軸をしっかりして前向きに歌った方が、いい声出るだろうになあ。ちょっと惜しい感じ。それと、とっつきにくさがあって話さなかったが、まあいいか。


さあ、本日の締めは、お待ちかねの渋谷めぐみだ

この日はサポートにアコギで三井さん、ベースに堀野さんの2人。あれ、開演まで物販のソファで飲んだくれてたあのおじさんは…(笑)それは後に判明。まずは、二人のサポートで、この日はアコースティックらしくギターアルペジオで「奇跡」。なんか、こうしてしんみりと「奇跡」を聞くのは久し振りな気がする。実際に、いつもより少し遅めのテンポ。それでいながら、全くだれない。このテンポもありだと思える。

歌うことへかけた一人の女性シンガーが、辛さや苦しさも受け止めて、ひたすらに奇跡を夢見て歌い続ける。駆け出しのシンガーソングライターが沢山出演する、ここノマドのような箱でこの曲を聴くと感動もひとしお。ありありと、そんな女性シンガーの姿が浮かんでくる。しかも、たくさんの実顔で。そうしたイメージを、しみじみと歌いながら浮かび上がらせる渋谷めぐみがいいのだ。

彼女が歌いだした途端に、ここが立派なライブハウスに見えてくる。歌い手次第で箱の雰囲気がこんなに変わるものか。そのややハスキーだが色気のある声、高い歌唱力、リズム感、そんな彼女のボーカルを的確に支える三井さんたちの伴奏。ステージのクオリティがグンとあがった感じ。これなら金取ってよし!(笑)

続いて一転して暗らーい、マイナーな曲調で、世の中には希望も夢もあったもんじゃないよ、と街をさまよい続けるという「trap」。あえて、この明暗がくっきり分かれる2曲を続け、その対比を楽しませようという狙いが面白い。

3曲目、いきなりベースをジャンジャンジャンと鳴らして始まる。アコースティックな感じなのだが、こんな前奏の曲は聴いたことがないぞ???すると、渋谷めぐみの顔に「分からないでしょ~」といういたずら笑いが浮かぶ。ちょっとかわいいじゃないか(笑)

三井さんがギターでメロディーラインを思わせる前奏を弾きはじめる。うーん、アレンジしているが、ぼやっとしていた像がだんだん一点に収束してくる。お、これは、と思ったところで彼女が歌い始めたのが、やはり「Day After Day」。彼女のバラードで一番好きな曲なのに、なぜすぐ分からないんだー、自分(笑)

渋谷めぐみのレギュラーサポートギタリストといえば高田さんだが、今日は彼は橋幸夫のライブサポート@静岡県。しかも昼&夕のダブルヘッダー。Day After Dayのアレンジをした彼がいないということで、今夜は三井さんがオリジナルの前奏をつけてくれたのだ。しかも、あえてメロディラインをそのまま取らないという意地悪さ。われわれ常連ファンへの挑戦だったようで、こういう趣向は好きだなグッド!

この曲の好きなところは、その歌詞。
音譜昨日発売した雑誌見てネイル、明日は何着ていこう、やっぱりワンピース、そう久し振りの待ち合わせ、彼からのメール嬉しすぎて、晴れますように子供みたいに夜空に願いかけた、何気ない普通の毎日が、どれだけ楽しくすごしてゆけるのか、つまずいたり嘆いたりすることもあるけど、私の今は2度とないんだから~音譜

なんか、かわいい。そんな彼女がいたら、抱きしめたくなるだろうな。しぶめぐは、どっちかというとワガママなS体質だと思うが(とか書いたら殴られそうだがw)、話させたら気弱で奥手な感じ。しかも、こんな歌詞をまたうまく歌っちゃう。そのギャップに惹かれるんだよなあ。今日はまた、一段とかわいさを上手く表現していて、聞き入ってしまった。

さあ、ここまではアコースティックなステージだったが、ここから一気に持ち味のロックな楽曲に。静から動へ転じる劇的なセットリストだ。その合図となったのが、スペシャルゲストの登場。そう、ギターの高田さんだ。夕方の焼津でのライブを終えてすぐ新幹線に乗り、ノマドにやってきたそう。早くからここでビール飲んでたので、みんな彼が演奏すると思ってましたが(笑)

そのスペシャルギタリスト高田さんと三井さんのツインギターになったことで、二人とも安心してアコギをかき鳴らし始め、一気に演奏のテンションも上昇アップ速いテンポの演奏にのって「秘密」。渋谷めぐみのボーカルを躍動しはじめる。

続いて「Deep」。今年は4月からFM世田谷で「BIGTIME plus-sum 渋谷めぐみのDeepな夜」という音楽番組を持ち、パーソナリティをやってきた。そのテーマソングに選んだのがこの「Deep」だ。今年はこの曲を一番力を入れて、ライブのたびに歌ってきたと紹介も。確かに毎月6、7回のライブでほぼ必ず入れていたので、春先からライブで歌った総数はかなりのもの。それだけ、歌いっぷりの完成度も高い。

そこに、高田さんと三井さんという腕の達者なギタリスト二人が揃って、二人でバトルするように激しくかき鳴らす。堀野さんのベースがしっかりリズムを刻み、下支えするといった展開。以前、ノマドでやったDeep(以下のyoutube参照、gt.高田、ba.坂下)より、さらに伴奏が技巧的で、グルーヴたっぷり。しぶめぐも、気持ちよくエンジンを全開にして、アッパーに格好よく歌っていあげる。サビの声の伸びがすばらしい。


そしてラストは「ユメオチ」。ムーディーに夜の酒場の猥雑さを描きだす代表曲。今日は声がよく出ていて、サビの力強さがいつにも増していい。高田+三井のツインギターが咆哮し、彷徨し、妖しい退廃さを醸し出す。そこに酒嗄れしたような(いやその通りなのか?)渋谷めぐみの声が、パワフルに響く。今晩はいい演奏だ。

そして、アンコールに「magic」。最近、サビの部分の歌い方がレコーディング時と変わっていて、ちょっと気になっていたのだが、今夜は修正されている。ちょっと探り探りな感じはあったが、ノマドでこれだけロックなライブを聞けるとはという驚きも。すばらしい夜になった。

<セットリスト>
1)奇跡
2)trap
3)Day After Day
4)秘密
5)Deep
6)ユメオチ
en. magic

上の「Deep」と同じ日にノマドで歌った「ユメオチ」のYoutube映像もあったので、よろしければこちらも。でも、今夜のノマドのユメオチも、これに負けず劣らず良かったよー。やはり、ライブを見ないとこの楽しさは分からない。ライブの渋谷めぐみ、本当にいいよ。