「Kiss!Hug!!Love!!!」@渋谷Milkyway
出演:スキルアップ→ヒグチアイ→Jigenn→矢沢洋子
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今夜は矢沢洋子&Milkyway企画、毎月恒例の「Kiss!Hug!!Love!!!」だ。毎回、矢沢洋子がホストとなって、勢いにのってるロックバンドを3組を招いて計4組でガンガンとロックしちゃうこのイベント。
矢沢洋子ファンの自分は彼女だけでも聞く価値ありなのだが、対バンがいつも実力派ばかりで、新たなバンドとの出会いも楽しみの1つ。それだけに、このイベントには予定がなければ、いつも来たいと思っている。いるのだが…
そこに先月、ふとキスハグの予定を見てたら出演者にヒグチアイの名前が。それに気付いた時の興奮といったら!矢沢洋子と、ヒグチアイが対バンする、しかもロックなイベントで。考えただけでも、ニタニタ笑いが止まらない(笑)ヒグチアイもついにここまで昇ってきたかー。感慨深し。
会場のMilkywayはオールスタンディング。ロックだから、それも当然。ただ、ピアノ弾き語り中心に着席の客を相手に歌っているヒグチアイが、百戦錬磨のロッカーに挟まって、場を盛り下げないか、親心で心配だった。
が、それは杞憂に。ガツーンとかましてくれた!彼女の音楽は文法的には、彼女の後に出たJigennや矢沢洋子のようないわゆる「ロック」ではないが、ただでさえパワフルなヒグチアイのボーカルが、バンドが作り出す劇的なグルーヴで、ぐんと前に押し出された時の迫力といったら!彼女の前に出たスキルアップも耽美的でかつ骨格しっかりしたバンドで魅力的だったが、ヒグチアイは全くひけをとらず。
ステージの向かって左手前にキーボードとヒグチアイ、その彼女から衛星のように距離をおいてギター、ベース、ドラムが右奥に並ぶという、明らかにヒグチアイを際立たせるシフト。以前のバンドライブより、その傾向が顕著に。これはもしやサインなのかなw
暗いステージから、おもむろにキーボードだけがキラキラ鳴り初め、「ココロジェリーフィッシュ」の前奏が。そこにガツンとバンドサウンドが入り、音圧がドンと高くなる中に、彼女の強い歌声が会場を圧するように響く。PA さんも、よく心得た音作りで、彼女のロックな部分をうまく引き出す。
サビにかけて、テンポが速い!ぐいぐいと、聴衆を引っ張る牽引力がいつにも増して強く、体を持っていかれる。やるねー。どの曲も勢いがちがう。
さらにMCにも張りがある。いつもの「MCの声が小さいキャラ」はそこになく、ハキハキとトークもアッパーな感じ。アドレナリンが出ているのだろう。
今日、特に出色だったのは「巡るキオク」。いつもよりかなり速いテンポで言葉を叩きつける。が、雑ではなく、一言ひとことを大切に歌っていて、歌詞が頭に入ってくる。演奏がタイトで、聞く側の集中力も上がっているためか、よそ見させない。このときの映像はないけど、代わりに前回、Milkywayでバンドでやった時の映像がこれ。今回は、このときより激しく、テンポもよく、演奏がより凝縮していて熱かったけどー!
今回は、ピアノ弾き語りの時でも難しそうなサビの導入部を、パワフルに怒涛のようにかけあがりながら乱れない。そして、最後のフレーズに入るところで、前回のバンドライブと変えて、あえて入らずバンドの音でさらにテンションを高めていくアレンジ。こっちの方が良いかも!
〈セットリスト〉
1)ココロジェリーフィッシュ
2)君とそのまま
3)巡るキオク
4)東京
5)永遠のウオーカー
いつものように「東京」の前に出身地で音楽を始めた長野の話題でMC 。ただし今夜は同じ長野のライブでも、ツアーの一環。これから関西巡って、さらに沖縄へ飛ぶと話すと、オォーとどよめく。彼女は全国区の歌手なんだという目でみているお客さんがいる。
ちなみに、彼女にとり本格的なツアーは初めて。ツアータイトルは「ヒグチアイと申します」ーーストレート過ぎて、意表をつかれる(笑) まさに、全国に自分の存在を紹介しよう、って魂胆だ。バンドツアーではなく、ピアノ弾き語りの旅だが、今の彼女の実力なら間違いなく、行く先々でお客さんの心を鷲掴みしてくるだろう。
そして、ラストに歌ったのが「永遠のウオーカー」。最近は歌う機会減っていたが、今夜のウオーカーはキレキレ!跳ね上がりたい衝動も。スタンディングでのれて良かった。ツアー真っ最中の彼女にとっても、ぴったりの内容の曲。一歩一歩、止まることなく歩き続けよう!自分自身への応援歌だね。
ツアー先の各地でどれだけファンを増やし、名前を売ってこれるか。歌で食っていくことができるか占う試金石となるだろう。ガンバレー!関西や沖縄へは行けないが、東京から応援してます。
さあ、そしてキスハグだ。ヒグチアイだけに気を取られてる場合ではない。他の出演者も魅力的だった。
まず1番手のスキルアップから意表をつかれた。
ゴスロリ風な衣裳やメイク、ステージに置かれたシャンデリア。オープニングBGMの耽美な調べ。後ろ向きでカラクリ人形のようなポーズのシルエットで姿を現す演出。 ああ、あれね、と先入観をもって期待せずに聞き始めたらオドロキ。すごく、しっかりした骨格ある音楽じゃないか。演奏の技量もコーラスワークも、何よりひーちゃんの歌唱力のしっかりしていることといったら。絶対音感を持っているのかもしれない。1曲目の「流心」でもう虜に。
vocal>時々keyのひーちゃん、chorus&baseのひなの女性2人で、この日はサポートのドラムも。実はベースの方が女性だと物販で話すまで気付かなかった。道化師のようなメイクで、長身で、動きが男っぽいから。ごめんなさい。で、ググってみたら、彼女たちは「ゴシックガールズロック」なる分野を自分たちで切り拓こうと活動しているらしい。それは、聞いていてよく分かった。その完成度もかなり高い。見事にゴシロリの世界観を音に落とし込んでいるのだ。ロックだが、耽美的で、それでいてグルーヴもしっかりあってノレるし。
全体的には暗めの曲(マイナー調?)な曲が多いが、結構好きなタイプだ。素顔はよく分からないが(笑)
そして何より調べて興味を惹かれたのが、彼女たちがSecondlifeで活動していたこと。あそこは、先鋭的なファッションをやろうと思ったらうってつけ。僕も3~4年前にデジハリの杉山さんや三淵先生、シャ乱Qハタケさんらとセカンドライフを通じて交流させてもらい、どっぷりSecondlifeにはまっていた時期があった。あの頃よくM2J Coreやソラさん、Uri Kuriさんなどのライブをセカンドライフで見たなあ。Infinityなんてイベントも会って、そういえば六本木のどこかのライブハウスに行ったなあ………なんて、遠い記憶を思い出してしまった。
スキルアップも、Edo吉原でライブやっていて、その映像が検索すると出てくる。なんと衣装はBare Rose!羨ましい!
てか、知っている人は知っているが、たぶんこれ読んでくれる人は全く知らないだろう固有名詞の連発すみません(笑)地球上には、リアルライフと違う世界が厳然と存在していて、そこにすごい文化が発達しつつあるということなんだけどね。一度ははまってみることをオススメしたい。
ただ注意が必要。仮想空間で流れる時間は、リアルライフで流れる時間と実は同じ。うっかり仮想空間に生み出された無限の奇想天外、想像力極まる建築物や世界の「観光」を楽しんだり、多くの人と交遊し始めると、長い長い時間をそこで過ごすことになって、実生活に影響が出ます。魅力あふれるファッションやインテリア、乗り物などで溢れるショップを巡ると物欲が刺激され、購入し始めるとお金もかかります。だから自分、最近やってないのですが(笑)
まあ、世界にいまや100以上ある仮想空間の中で、アメーバピグのような初心者向けの2次元の小さい世界なら安全そのもの。ところがSecond Lifeのように広大無辺な3次元仮想空間にはまると、もはや何年間でも遊び倒せるほど。サイバーエージェントという会社が遊び場を作っているピグとは違い、SecondLifeは世界中の何百万という参加者自身が、次々と新たな世界を構築し続けているからね。広がり続ける宇宙の果てを追いかけて旅をするようなもの。スペックの高いPCと、高速通信環境が必要という点が相変わらずネックだけどね。
と、大きく脱線したが、話をライブに戻そう。スキルアップ、ヒグチアイに続いて登場したのがJIGENNだ。さっきまで、客席の前方でスキルアップやヒグチアイの音楽に合わせてほとんど踊っていたワイルドなお姉さんが、気づくととステージに。ヒュー、格好いい。
JIGENNは現在、3ピースバンドとか。ボーカル、ギター、ベースの3人というが、今夜はドラムサポートを加えて爆音演奏。ヘビメタやパンクに近い自称「オルタナティブ・ガレージ・ロックバンド」。ボーカル、アヤの爆走する歌がものすごいパワー。ギンギンに盛りあげていく。
しかし、何がすごいって彼女の爆発力。しかも、そう若くはない。実は35歳とか。そのしゃがれ声はもう少し上にも聞こえるが、ステージではシャウトしまくり。吠えている。すごいなー。すごい、気のいいお姉ちゃんって感じで、飲み友にいたら面白そうだ。
もはや、JIGENNのステージでは曲名をひかえる余裕などはなく、客席は跳ねていた。ヒグチアイまでの2組では、その余裕があったんだけどねー。その勢いは、そのまま矢沢洋子にも続いて、もう自分自身、前列に加わり手をたたき、振り上げ、のってたからねー。生粋のロッカーのステージはやはり違うねー。
ということで、本日の真打、矢沢洋子の出番だ。
サポートには熟練のギター、ベース、ドラムらを迎え、初っ端から激しくビート利かせて全開モード。
今日は革ジャンではなく、緑のタータンチェックのシャツをざくっと。その姿で激しく歌う姿がまた格好いいー!身長167cmもあるのだがかわいく、それでいてクール。時に見せる表情があどけなくコケティッシュでさえある。さまざま的な顔が同居し、単なる美形ではなく、野性味が跳ねている感じ。魅力的なのだ。
そして、矢沢洋子に力を抜くとか、リラックスとかいう言葉はない。バラードもあるけど、その疾走感、ジャンピングフィールな勢いは、けっして止まらない。所狭しと動き回り攻めに攻めるのだが、そのステージはすべてエンターテイメント。計算もあるだろうが、どう魅せたらお客さんも喜ぶか肌で知っているのだ。これは真似しようったって、簡単ではない。ここまで魅せるロックなボーカルは、あまりいないのではないか。さすが鷹の子。
ヒグチアイとかに見習えっていっても真似できるもんじゃないし、そもそも個性が違う。自分の路線で突き詰めればいいのだが、盗めるところは盗んでいい。例えば、人間、マックスパワーでステージの最初から突っ込んでも、気合や自覚次第で最後まで行けるという所。矢沢洋子のステージは本当に最初から最後まで全開バリバリ。それでいて息切れしない。すごい体力、すごい気合い、そして完ぺき主義!ここまでやるからプロなのだ。これがメジャークオリティなのだ。見習うべきところだ。
今日のステージもすごかった。曲順はまったく覚えてないが、8月3日にリリースしたアルバムの曲を中心にぐいぐいもっていく。「GIVE ME」や「アドレナリン」「アゲハ」などの激しいロックに「羅針盤」などのバラードを織り交ぜ、まったく飽きさせない構成。彼女のパフォーマンスがすごくて目が釘付けだ。
当然のようにアンコールの手拍子も。本日唯一、1stアルバム「YOKO YAZAWA」から「Honey Bunny」で勢いよくのせていく。


ライブ後には、ポスターやTシャツ、自分の革ジャン、携帯ケースなどありとあらゆるものにサインを求めるファンの行列が。写真のリクエストにも気さくに応じ、決め顔?で答えてくれるサービス精神。プロだねv
キスハグ、やっぱり今夜も素晴しくエキサイティングなイベントだった。次が楽しみだ