2011/9/22 Avaivartika @渋谷Ruido K2 | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

さあついに、Avaivartikaが世界へ挑む秋の陣が始まった。

ロックバンドとしての彼らの実力、スケールの大きさ、カリスマ性は卓越してる。ステージを見れば一目瞭然。忽然と出現したこのバンドが、その実力をいよいよ世間に知らしめる一連のライブで、何処まで駆け上がるか、いま心底興奮してる。

その秋の陣第一弾が、この日、渋谷Ruido K2ライブ。昨年11月末の結成以来、ライブの本数を絞り、自分達の音を何処まで引き上げられるかスタジオ中心に突き詰めてきた彼らが、いよいよ本格的に動き出したのだ。

実力者ばかりが合流した彼らの音は、結成時点ですでにバンドとしてかなり高いクオリティだった。その後、散発的に出たライブでは、その都度大きな成長を示した。そして今夜のステージ、ボーカル愛ちゃんの喉が万全でなかったと事を差し引いても、鳥肌が立った。まだまだ伸びる必要はあるが、すでに大ステージに立つ準備は万端だ。

彼らの前の出番は3ピースバンド「Noel」。ボーカル&アコギMaricoがちっちゃいけれど、ものすごく存在感と歌心があって聞かせる。彼女を支えるドラムとベースの音もメリハリがあり、グルーヴがあっていい。彼らの熱い演奏に、会場もほどよい熱気に包まれるていく。NOELもファンになりました。

しかし、Avaivartikaは別格。それは、続いて彼らのステージが始まるや否や自明になった。

いつものうねるようなBGMをバックに、スモークの中で5人が配置に付き静かにコンセントレーションを高めている。中央の愛ちゃんは後ろ姿。それなのに、それだけで格好いい!5人は立ち姿だけで、Avaivartika という世界へ見るものを誘う存在感なのだ。

そして、「止まない拍手のレイニング」の前奏が流れ出すと、ぞぞぞっと鳥肌が立つ。もう、演奏の次元が違う。生本くんのギターがキュインキュインと心を奪い、RUY君のドラムがすごいグルーヴで疾走し始めたところに、Ujのキーボードが官能的なリフレインを響かせ、もうその時点で一気に「ウォー」とテンションが上がってしまう自分に気づく。すごい演奏なのだ。

そして、そこに切れ味鋭く愛ちゃんのボーカルが走りだし、ステージの上でパワーを爆発させると、理性もぶっ飛びそうになる。その動き、表情、ポーズが、また決まっていてしびれる。「ないない」と歌うところは一転かわいかったりして、ずるい(笑)

緊迫感を伴った演奏で始まる「ノンフィクション」では、強いメッセージを投げかける。ヤワクナイ。その音楽、その歌詞は硬派だ。ゆるいアイドル歌手を応援にきたファンは、はじき飛ばされるだろう。Avaivartikaを聞くには、彼らについていくだけの心の準備が必要なのだ。そして一たび、心を解放して圧倒的な音圧に身を任せると、迸るアドレナリンに眩暈がするような快感を味わうのだ。

新曲「グラデーション」は一転、朝焼けのイメージが鮮烈。自在に世界の彩りを変えていく。数日前にUstreamでこの曲を初披露したが、その時より演奏にメリハリがあり、より劇的に。とにかくレベルの高いバンドサウンドが音の強弱や速遅、明暗を自在に描き分けていく。ジェットコースターに乗っているように、次々と襲ってくる展開に思考がマヒしていくのだ。

〈セットリスト〉
1)止まない拍手のレイニング
2)ノンフィクション
3)グラデーション
4)NS
5)終末のコンダクター

ラストの「終末のコンダクター」が、現在のAvaivartikaの実力が存分に発揮される極致。もう涙が出そうなほどの壮大なドラマが次々と展開されていき、ぐいぐいと引っ張られていく。やばい。何よりすごいのが、1曲の中で色合いの違うドラマが高速に展開していく変化を、見事に表現しきるボーカル、宇治田愛の実力だ。

彼女を見て、来ていた女性のお客さんが「あんなにきれいで、あんなに細いのに、どうしてあんなパワフルな声が出るの?」と話していたが、確かにスリムで格好良い。だが、そのしなやかな芯の強さ、にじみ出る野心、そして情熱が、そのステージからほとばしる。そして、圧倒的な歌力。もはやこの言葉を使うことにためらいはない――「カリスマ」。ぐいぐいと惹きこんで欲しい。

そんなAvaivartika、なぜか今夜応援に来ていたお客さんを見ると女性30人、男性10人ぐらいの比率。なんで?男が飛び付くだろーと思うのだが、どうも女性ファンが間違いなく先行して急速に増殖している様子。元々、愛ちゃんが宝塚的に女性ファンの心をつかんでいたのだが、益々磨きがかかったか。

それに、Avaivartikaメンバーで魅力的なのは、愛ちゃんだけではない。男の自分が言うのもなんだが(笑)、ギター生本君は色気たっぷりに格好良いし、ドラムRUY君のかわいさは母性をくすぐる。ベース榎本くんの渋さはからり通好みwだし、キーボードUjの好青年ぶりは好感度大だ。キャラが見事にかぶってなくて、それぞれが演奏もスタイルも自立しているのだ。5人が5人とも頼もしさを醸し出す。女性ファンが増えるのも当然の流れだろう。

これだけの奴らが集まったら、ちょっと無敵では?今夜の演奏が最高に盛り上がったことは言うまでもない。


そんな彼らは2日後の9月24日、インディーズロックバンドの世界一を決めようという壮大なコンテスト「エマージャンザ」の東京一次予選に挑む。場所は渋谷Aubeで、その場にいたお客さんの挙手制で出演バンドを順位づけてしまおう、っていう予選本番だ。それぞれのバンドが当然、ファンを動員してくれば動員数勝負になるやもしれない。みな、Avaivartikaの応援に行こう!

そう言いながら、自分は仕事で行けないんだよな。遠くオフィスから、Avaivartikaの予選通過を祈っております。でも、一抹の不安もない。だって今の彼らの演奏を他のバンドと聞き比べれば「こいつらちょっと次元が違うぞ」と誰でも思わされるはず。それほど、今の彼らの演奏力はすごい。いろいろなバンドのライブも聞いているけど、この数年でこれほどのインパクトを覚えるバンドと出会ったことはない。メジャーも含めて。

彼らの勝利に疑いなし!


<追伸>
そして、24日の渋谷Aubeでの予選。見に行けなかったが、仕事しながらチラチラ、twitterを見ていたらベース榎ちゃんから真っ先に「1位通過」のつぶやきが~。やったー!!信じてました。自分が行けなかったのが懸念材料だったが(笑)、彼らの今の神がかった演奏が、その場にいた客に評価されない訳がない。それにしても「1位」とはさすがやー!その場にいたファンのみんなと感動を共有したかった。

少し後に各自が呟き、公式アカウントからも以下のメッセージが。
「本日のエマージャンザ一次予選、おかげさまで一位通過することが出来ました。応援しに来てくれたみなさん、会場に来れなくても応援していてくれたみなさんのおかげで思い切りパフォーマンスすることが出来ました。ありがとうございました!!!これからも引き続き応援よろしくお願いします!」

もちろん、応援するさ。というか、もうがっつりこのバンドにはまってしまってる。これからの彼らの活躍は楽しみでしょうがないぜ。