関東を直撃した台風15号で地下鉄を除くあらゆる鉄道が運行休止するなか、斉藤麻里が苦渋の決断をした。半年以上前から、着々と準備を進め、チケット230枚SOLD OUTを目指し、日夜頑張ってきた渋谷O-Crestのワンマンだったが、中止のやむなきに至った。開場時間直前の決断だった。
台風の進行がもうほんの少し遅いか、もうちょっと早ければ、中止する必要はなかったろう。しかし、19時の開園直前の渋谷はすさまじい嵐だった。鉄道が止まっていただけではない。道玄坂のど真ん中で、街路樹がばたばたと倒壊、タクシーをペシャンコにして、渋谷の街の交通の動脈を寸断したほどだ。
東海道線・横須賀線・京浜東北線・東横線・田園都市線と神奈川県から東京へ向かうほぼすべての鉄道も運行を止め、今夜、彼女のライブにコーラスで参加するはずだった盟友、飯田舞も渋谷に到達できなかった。山手線も止まり、新宿から渋谷に来ることさえ適わない人も。中止という苦渋の決断に誰も文句は言えない。
しかし、このワンマンを成功させるため、ひたむきに全力投球してきた彼女のことを思うと涙が出る。半年以上前から、ライブのたびに「このワンマンに来てね」とあらゆるお客さんに暖かく声をかけてきた。初めての接したお客さんの名前もしっかり覚え、一人ひとりと握手し、決して嫌な顔をせず、明るく元気よくステージを盛り上げ続けてきた。
本番が近づき、頻繁にオープニングアクトとして様々なライブに出て、ストリートもやって全力の歌でアピールしてきた。頑張って、頑張って、より多くの人に聞いてほしいから、とワンマンへの来場を訴え続けてきた。そんな彼女の姿に打たれた多くの音楽好きがチケットを購入し、当初200枚余だったチケットの残りが、やがて150枚を切り、100枚を切り、ついに先週30枚をきって販売累計が200枚を突破。そして、ついに今日この日までに完売にこぎつけたのだ。それなのに…
幸い地下鉄圏や近隣にいて、渋谷O-Crestに開場時間までに辿り着けたファンは僅か30人ほど。みな傘を壊すか、傘はあきらめずぶ濡れで来場するような状況。O-Crestのある5階まで、えっちらえっちら階段を昇ったところで中止と聞き、さすがにその時はがくっと脱力した。
しかし物販だけは開いていて、麻里ちゃん自身がそこで一人ひとりに頭を下げている姿を見て、ちょっとこみ上げてくるものがあった。けなげだー。皆と同じようにびしょ濡れの頭を拭くのに丁度よいタオルと、本日がレコ発だった新譜「メロディ」を購入。
その先で待っていた麻里ちゃんを力づけたいと、月並みだけど「気を落とさず、また次にこれ以上のライブをやろうじゃないか」と声をかける。そんなファンばかりで、長い行列に並んだファンの一人ひとりが彼女に長い言葉をかけていく。丁寧に応じて、CDやタオルにサインを書く彼女の姿が印象的だった。悔しかったろうな。
その後、次のワンマンが12月7日@四谷天窓に決まっていて、今日発表予定だったんだと本人が思い出し、再びチケット販売に長い列が(笑)少し元気になってきた麻里ちゃんがきれいだったので、瞬きでシャッター切った、あ、いやケータイカメラですが(笑)
結局、電車がぼちぼち動き出した21時まで物販していたそう。偉い!
そして、決定しました。O-Crest振り替えワンマンが。ツイッターで彼女が発表したその内容は…
「@mappeneko斉藤麻里9/21ワンマン
振り返え公演決定しました!!!! 2012.01.26(木)渋谷O-Crest!!! 絶対、最高のライブにする! みんなよろしくね(>_<)!!!」
おおー、みんなで行きましょう、1月26日の彼女のワンマンへ!!!
間違いなく、今回の悔しさや無念のすべてをぶつけ、何倍もパワフルに、何乗にも輝いた姿を見せてくれると思う。というか、その意気込みに燃えている彼女の姿がありありと浮かぶ。今、手を握り締めながら「新しいドアを開くのは誰でもない このわたしの両手だから」と力を込めている姿が。