2011/9/13 ヒグチアイ、斉藤麻里、やもとなおこ、郁彩、吉村かおり@Nomad | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「十人十色~ノマコレvol.2」@代官山Nomad
出演:吉村かおり(o.a.)→Annu→郁彩→やもとなおこ→斉藤麻里→ヒグチアイ
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この1週間、沢山ライブはいってるのだがアメブロは完全にお休み。時間と体力がなく、開いていなかった。この間のライブについてはおいおい上げていくとしよう。

さて、今日はよくこれだけのメンツが集まったなあ、と驚くほど充実したブッキング。見逃せません。それでいながら、チケット代が1500円というお得さ。当然のように満員御礼、客席は隙間なくお客さんで埋まった。99%が男という異様さだが(笑)

まずはオープニングアクトの吉村かおり。10月1日の天窓スイッチでのワンマンを控え、宣伝活動に余念がない今日この頃。14日の大阪ワンマンはほぼsold outしたのに、東京でのワンマンがまだ6割程度らしいから、がんばれ。

1)メガナイト
2)ネオ白昼夢
3)あなたの中で目が覚める

個人的には、やはり「あなたの中で~」が好きだな。曲もユニークで広がりがあって、吉村かおりの可能性を感じる1曲。ネオ白昼夢は、別の曲と区別がつかん。


1番手は初めて聞く、あんぱんと牛乳を掛け合わせて生まれたというあんにゅ(Annu)笑。その設定がよく分からないが、本日はあんぱんの差し入れを貰って「あんぱん、要りませんから」と笑ってMC。ほのぼのしていて、かわいらしく、スリムな18歳。

楽曲は試行錯誤中の様子。不思議な曲を作る。才能なのか、単に作曲をよく分かっていないのかが分かりかねる。その不思議なところが意外と魅力あったりして面白い。「ほっほっほっ」とか、「リンロン」とか。

高校時代は軽音楽部の部長だったそうで、楽器もやるのだろうが、今夜はハンドマイクでアコギのサポート(カナミネケイタロウ)付き。声は出ないのかと思ったらサビではしっかり出していたし、なんかつかみどころがないなあ。そのうち、また聞いてみることにしよう。


さて、ここからは自分が好きなアーティストばかり、怒涛の4連発。贅沢じゃ。

まず登場したのは、若きギター弾き語り、郁彩だ。

声の太さ、力強さ、ロックな魂、グルーヴ。いずれも個人的にはすごく評価していて、これでまだ21歳なのだから、将来が本当に楽しみ。

1)赤い糸
2)free
3)Like a cat
4)デッドライン
5)書きかけのラブレター
6)カケラ

特に今夜、初めて聞いた「カケラ」が心を打った。「一言一言丁寧に気持こめます」とアルペジオで静かに歌いだしたバラードは、失った者への思いが募るレクイエムのよう。震災の後に作ったそうで、応援歌というより、悲しみを共に分かち合う、そんな歌詞だ。

音譜あなたの瞳も 温かいまなざしも 抱きしめるぬくもりも 名前を呼ぶ声も ~ わがままな私でも 強がりな私でも 泣き虫な私でも やさしく包んでくれた優しさ ~ どれか一つでもいい どんな形でもいい あなたのカケラ 私に置いていってよ音譜

この曲は、まだまだ良くなる。きっと、彼女のここぞというライブの決めに歌うような代表曲に育っていきそうだ。


3番手はやもとなおこ。歌心を持つ、魅力的な本物のミュージシャン。一人でギター弾き語りが多いのだが、今夜はパーカッションとさらに、エレキギターに今村航を迎え3ピースでスタート。

今村航って、そうなんとノマドの店長。そのギターが妖しく、キュインキィンと曲を盛り上げる。さすが、店長!やりますな。

吾輩もやもなお音楽団の会員番号2番なのだが、最近はさっぱり活動のお呼びがかかりません。招集があれば、プチパーカスを持参して盛り上げるのだが(笑)

1)僕らの3万ピース
2)Go The Long Way
3)千日紅
4)新曲(タイトル不明)
5)カオス理論
6)君と見たい空

今日の「カオス理論」もまた見事。恰好よく、緩めた弦で激しいベース音をインサートして、ブルージーに盛り上げる。3万ピースやLong Wayでもブルースハープを響かせて、本当に音楽の楽しさを知っている。聞いていて嬉しくなってくる。

そして今日は新曲も披露。この歌詞がやもとなおこ、やるじゃん!といった内容。音譜頭からついたウソ やがて心までがんじがらめ音譜というくだりが、結構気に入った。「やがて」とか「がんじがらめ」とかの言葉のチョイスが秀逸で、何よりその言葉が音符にのって強い存在感を放つのだ。さすがだ。


ラス前は同じくギター弾き語りの斉藤麻里。9月21日の渋谷O-Crestワンマンライブを控え、今ノリにのっている。

230枚のワンマンチケット販売を半年ほど前から始め、事あるごとにアピールしてきた結果、現在、残りわずか25枚!すごい、ついに200枚越え。麻里ちゃんのひたむきな努力が、そのノリノリなステージが、明るい性格が、間違いなくお客さんを惹きつけている。

今夜も、存在感たっぷりなやもなおの後ながら、出てきた途端に一気にハイテンションに会場を盛り上げる。もはや、斉藤麻里ワールドにどっぷり。元気よく1曲目から会場中が「いぇーえ、いぇーえ、いぇー」とコール&レスポンス。楽しい!!


2曲目にはさらに代表曲の「夕焼けセンチメンタル」。いつもと違う構成は終盤を新しい曲で盛り上げられるという自信の現れか。彼女も日々成長しているのだ。

1)ダイブ
2)夕焼けセンチメンタル
3)君は曇りがよく似あう(月刊ノマド8月の新曲)
4)魔法のバンドエイド(月刊ノマド 6?月の新曲)
5)ハレルヤ (月刊ノマド 今月の新曲)

今月の新曲「ハレルヤ」がいい。がーっと盛り上げて、また新しい斉藤麻里の魅力をみせてくれる。これはワンマンが益々楽しみだ。思わず2枚目のチケットも購入。麻里ちゃんのライブを見せたい某シンガーソングライターをお連れすることにする。


そしてオオトリは、ピアノ弾き語りのヒグチアイ。この日は下北沢で一本ライブをやってから、はしごで駆け付けトリの演奏。相も変わらずパワフルな演奏だった。

ただ、すでに始まる時点で10時過ぎ、30分押しの状態。転換にそれほど時間はかかっていないのだが、さすがに詰め込みすぎか。みな、ライブ達者ですぐ30分くらい過ぎてしまうからね。

ヒグチアイは、相変わらずのローテンショントーク。「前の方が盛り上げましたが、自分は…」みたいな(笑)それでも、予定を変更して歌った先月の月刊ノマドの新曲は、その意表をついた歌詞が受けていた。そりゃ、いきなり僕はムラタナオキと申します、と歌われると。誰それっ、みたいな突っ込みをみなが心の中でやってたと思う。

1)ムラタナオキと申します(月刊ノマド 8月の新曲)
2)希望の光
3)新曲(タイトル未定)(月刊ノマド 9月の新曲)
4)黒い影
5)ココロジェリーフィッシュ
en. メグルキオク

相変わらずのパワフルボイス。それでも病み上がりということもあり抑えて歌っている。それが、逆に良い。ただでさえ強い声で最初から最後までガンガン歌われると、聞くほうも辛い。逆に抑えるところを抑えることで、より効果的な表現が可能になる。彼女も最近、その極意をつかんだようで、本当にステージがよくなってきた。全力全開はバンドライブで、と住み分けしていくのだろうな。

彼女も今夜は新曲を持ってきたがこのバラードの歌詞がまた、なかなかいい。まるで倦怠期の夫婦のような(笑)だんだんと冷めていく自覚、素っ気ない態度。昔のように戻りたい主人公の女性は、そんな「小さなピースを集めてできたのは、ただの不安でした」と嘆く。そして「あすになれば、あの日のようになっているなら、朝を願うよ」と叶いそうにない希望にすがり、眠れぬ夜をすごす。僕の感想は、「離婚まであと少しだな」(笑)

この曲を聞いていて思うのは、ヒグチアイの恋愛に対する妄想や感覚が、中年めいているということ。平成元年生まれ、もっと若々しくいこうぜ(笑)フェロモン発揮してね。かっかっかっ(水戸黄門風に)

それでも、30分押しといいながら今村さんが認めてくれたアンコールで披露した「メグルキオク」が良かった。「マキで」と言われて、出だしからテンポがいつもより早い!どしっと重たいことが多いこの曲が、軽やかで疾走感溢れる曲調に。これは有りだな。

それにしても、これだけのアーティストをまとめて聞けるとは、充実した楽しい一夜だった。