2011/9/4 ヒメノアキラ、渋谷めぐみ@江古田マーキー | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

池袋駅に着くと、人身事故で西武池袋線が不通に。池袋線なしでどう江古田に行く?今夜のライブに早くも逆風か(笑)

なんて心配は杞憂だった。電車は20分ほど駅で待ったが、無事18時過ぎに運転再開。1830の開演に支障なし。そしてライブも楽しかった。

トップバッターは我らが渋谷めぐみ。

江古田マーキーの週末のツーマン/スリーマンに、彼女も呼ばれるようになったのだなと感慨深い。この1年、ライブの回数を増やし、新しいライブハウスで歌う機会を積極的に広げ、より多くの人に聞いてもらう努力した甲斐があったというもの。マーキーの店長も、最近噂の渋谷めぐみをぜひ聞いてみたかった、と誘ってくれたらしい。あざーすっ。

ラジオのパーソナリティになった件もそうだが、7~8年前から渋谷めぐみを応援していて、ようやく最近、少しずつ音楽関係者からの注目度が高まってきた事を実感する。もちろん、まだまだ。これを、さらに大きな果実につなげるには、今後どれだけ継続して活動していけるかにかかっているとも思う。彼女にはその覚悟があるようだから、楽しみだ。

ただ、今夜対バンさせて頂いたヒメノアキラさんの域に届くかは未知数。ユニクロのCMにまで登場し、一気に駆け昇っている見田村千晴のような勢いもまだない。ここは腰を据えて見守りたいところ。

一方、人気・注目度はこれからの彼女だが、その楽曲とボーカルには他の女性歌手には負けない勢いと力強さがある。他では感じられない夜と酒とディープな恋愛が彩る独特の世界観もある。もっともっと、広く世間に知ってもらいたい存在だ。

今夜も疾走感溢れる大人の音楽で、初めてきたマーキーを彩った。

1)DEEP
2)涙
3)秘密
4)接吻(Original Love カバー)
5)東京
6)eternally
7)ユメオチ

彼女は楽器をやらないので、サポートのメンバーにより、ジャズ風だったり、ボサノバ風だったり、シンプルなフォーク調にしたり、フルバンドでぎんぎんなロックにしたりと、曲調を変えてくる。今夜は達者なギタリスト三井さんと、ベースのサポートを迎え、スローロックといった赴き。

調子は悪くない。ただ、どの曲ももっとアップテンポで聞き慣れてるから、ところどころでオヤッとなる。特に三井さんのリクエストで歌ったオリジナルラブ。初めて歌ったというが、サビは彼女の世界観や声質に近く見せ場を作る。ところが、Aメロなどが遅い!まだるっこしくて、だれる。このテンポで歌いこなせるほど、この曲を自分のものにしてない感じだ。

でも、さすがに自分のオリジナルはどんなテンポでも、格好良く聞かせるツボを心得ている。特に最も古くから歌ってきた「涙」が秀逸。今夜のベストか。


2番手は安東由美子。このライブのすぐ後、9月7日に「平凡ガール」という曲でメジャーデビューだというから驚き。

1年位前に初めて会って、その後2度ほどライヴも見たが、まだまだ歌唱力を磨いていかねば、本人が宣言していたデビューとか無理だと思ってた。それを現実にしてしまうとは、有言実行の人だったのだな。その意欲、上昇志向、そして突破力は、草食系が溢れる現代では逆に凄い。

ただ、バンドサポートで今夜歌っていた「平凡ガール」がどんな曲だったか、記憶に残ってない。印象に残らない曲だったのか、聞く耳を無意識に塞いでいたか。さて、世間はどう受け止めるか。いずれにしろ、へこたれる事なく、全ての事を次のステップに上がるため利用していくだろう。そい思わせる強さは貴重だ。


スリーマンのトリを務めるのはヒメノアキラ。いわずとしれた、歌い手のなかの歌い手と呼べるシンガーの1人だ。前の二人とは格が違う。その歌の表現力はさすがだ。

2000年に妃野アキラとしてメジャーデビュー。それ以来、様々な形で一線で歌い続けるシンガーソングライターだ。歌唱力ばかりでなく、そのソングライターとしてのセンスは、彼女の楽曲を聴けば一目瞭然。じっくり聞いていると、じわじわ感動が広がってくる。ポップだけど物悲しく、そして勇気づけられる。

前の二人は共に楽器を演奏しない(できない)ため、サポート付けてハンドマイクで歌ったが、ヒメノアキラは今夜も1人で弾き語り。それでいて、そのステージから広がる世界は広く、自分の色に染めていく。

「愛はあたしを救う」や「シンガーソングライターをうたう」など、POPさに弾むよう。それでいて、確かなメッセージがあり、しっかり届いてくる。節回しがヒメノ節とでもいうか地声から裏にかえす意図的なかわいさかわ憎い。とても、可愛いのだ。そして決して音を外さない安定感。引き込まれる。

〈セットリスト〉
1)引越しの夜
2)私の一番大事なもの
3)愛はあたしを救う
4)Goodbye Sunshine
5)勇敢な鳥
6)シンガーソングライターを唄う
en. ありがとね。

ずっと大切に歌い続けている「勇敢な鳥」。自分のことを歌ったようでもあり、僕らすべてへの応援歌のようでもあり。この曲を聞いていると「あきらめたら駄目だ!」と強く、強く語りかけてくるよう。彼女が声を絞りだすように音譜あきらめた その時が 終わりなんだ音譜と歌うサビでは、泣きたくなるほど感動する。

「シンガーソングライターを唄う」では軽やかに、自分たちの仲間との連帯感が見えてくる感じ。そして、さらっと歌い始めたアンコールの「ありがとね。」という家族に贈る曲ではかなーり感動。こころの中に暖かいものがあふれるような。

やはり、このクラスのアーティストのライブはいいねえ。絶対に裏切らない。必ず何らかの感動がある。すばらしいです。また聞きにいこう。そんな彼女が今、もっとも集中しているのが、10月22日(土)に渋谷O-Westでやるワンマン。グランドピアノを持ち込み、あの広いステージで一人弾き語りしようというのだから。ちょっと気になるね。