2011/8/26 木下直子誕生日前夜祭 BlueBlue 戸城佳南江 ヒグチアイ 斎藤麻里 | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「コラボしょ2011 木下直子誕生日前夜祭編」@恵比寿・天窓Switch
出演:吉崎硝子(oa)→斎藤麻里→戸城佳南江→ヒグチアイ→Blue Blue→木下直子
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今夜は超豪華な顔ぶれ。聞きたいアーティストがずらりと勢揃いした観さえありだ。みな、木下直子の誕生日を一緒に祝いたいと集ったのだ。解散したグループを復活させたり、それも彼女の人徳というもの。素晴らしいね。戸城佳南江やヒグチアイ、斎藤麻里と現在、ライブを選ぶ際に優先順位が高い面々がみごとにそろった。

なかでも今夜、特に待ち焦がれていたのが、久しぶりに再結成したBlue Blueだ。昨年11月末のO-crestワンマンで、衝撃的な突然の解散宣言、そしてAvaivartikaというバンド結成宣言とお披露目があり、それ以来、事実上封印されていたBlue Blue。素晴らしい楽曲が沢山あり、ファンとして何度もこの2人組のライブに足を運んだものだった。勿論、3人を加えてAvaivartikaになった今でもBlueBlueの曲は大好きで、聞きたい曲だらけ。その歌が久しぶりに聞けるとあっては、駆けつけないわけにはいかない。Avaivartikaのライブもかよってるけどね。

そんな大きな期待を胸に、さすが雨女の誕生日前夜祭、大嵐となり雷雨がすさまじい天気の中、恵比寿・天窓Switch.へ。入るとファンの方が色紙を用意しており、お祝いのメッセージを集めている。いいね、こういうアットホームなの。皆が直子姉さんを愛している。

色紙に一言書き込んでいると、会場が暗くなりビデオ上映が。今夜の出演者から、直子ちゃんへのメッセージ映像が流れる。斎藤麻里の「彼女は私を愛してる」はいまや知る人ぞ知る(笑)そのなかで、一番衝撃的な発言は、彼女をひとことで言うと?という質問に対するヒグチアイの回答。「ハイテンションばばあですね」って、おいおい。これには、斎藤麻里とのコラボで直子ちゃんから「ヒグチ、あとで締めないとな」発言も飛び出して、大爆笑。ヒグチアイも「怖いんで、ライブやらないで帰ろうかと思いましたよ」と自分の出番で話していた(笑)

さて、そんなほんわか(?)ムードの中、オープニングアクトで吉崎硝子が登場。生真面目な歌いっぷりで、会場を音楽へ導く。「そらみろ」「夏の日」と歌って3曲目に木下直子が登場しコラボ。出演者全員とコラボするのが、「コラボしよ」の趣旨だがオープニングアクトとまでやるとは、さすが出たがり直子(笑)「ナイトトレイン」を一緒に歌う。もっぱら、直子ちゃんがコーラスをするのだが、それがまた上手すぎる。いつも「コラボしよ」で、そのコーラスワークの素晴らしさには感心する。


で、1番手の斎藤麻里が登場。「私、最近こういうイベントでよく1番手任されるのは、盛り上げろってことだよねー」と話して一気にテンションを引き上げていく。

はやばやと2曲目でコール&レスポンスを求めて「メロディ」。音譜ヘーイ、ヘイヘイ、ヘーイヘイ音譜。お客さんもまだエンジンが温まっていないから、そのテンションに追いつけずにいると、「ちょっとみんな覇気がないんじゃない?できるまでやるよ~」と延々とコール&レスポンス。2曲目にして(笑)これ長くやり過ぎ、1曲省くことになったのはご愛嬌だ。

そして、最近定番の「映画を見に行こう」を、木下直子とコラボ。「コラボしたい曲がもう1曲あったが、それは飯田舞に取られてしまった」みたいな発言で笑いを誘う。今夜のお客さんは、斎藤麻里が飯田舞ともラブラブなことをよく知っていて、説明なくても笑いが広がる。

<セットリスト>
1)夕焼けセンチメンタル
2)メロディ
3)魔法のバンドエイド(木下直子リクエスト)
4)明日映画を見に行こう(コラボ)
5)ダイブ


2番手が素敵ゲスト、戸城佳南江。素敵ゲストというのは、持ち時間が15分くらいのショートアクトのこと。それでも、彼女が木下直子と一緒に歌うとなれば、これは当然、花粉症姉妹でしょう。ということで、なんと2曲も花粉症姉妹の曲が。久しぶりに2人の「南風と太陽」が聞けてうれしい。やはり、ふたりのハーモニーは素晴らしい。

さらにラストには「スピロデザイン」か「四つ葉のクローバー」あるいは「あいのうた」辺りが聞けるものと期待していたら、なんと明後日28日に結成ライブを開くアルコリカの曲をフライングで歌ってくれた。これが、聞かせるバラードなのだ。アルコリカへの期待がいっそう高まる。

それにしても、彼女の声はいつも僕のツボを刺激する。初恋の味がしてドキドキする。もっと、違う曲も聞きたかった。

1)あなたがいて私がいる
2)おかえり  (花粉症姉妹)
3)南風と太陽 (同上)
4)古傷 (フライイング・アルコリカw)


3番手がヒグチアイ。そういえばこないだ彼女には似つかわしくないディズニーランドへ行った話をしていたが、実は木下直子と斎藤麻里の3人で行ったのだとか。その際にシンデレラ城を背景に「コラボしよ2011 始まるよ~」と案内する映像を撮っていた。それが、オープニングで流れた映像の最後に挿入されていた。

1)希望の光
2)ココロジェリーフィッシュ(コラボ)
3)合鍵
4)東京
5)巡る記憶

1曲目に、一時は封印していたはずだが、最近歌うようになった「希望の光」。もう長野時代へのこだわりは変質したのかな。そもそも4曲目に歌った「東京」も、かなり心境の変化があってこそ生まれた曲だろう。東京に出てきて、時間がたち、音楽活動では着実に歩みを進めている現在、振り返ってそこに道ができていた事に気付いたのだ。その道を今の彼女だからこそ歌えたのが「東京」や「青い春」であり、かつて長野で歌った「希望の光」なのかと思う。

そのヒグチアイと木下直子のコラボが、ココロジェリーフィッシュ。当初、直子姐はコーラスやるつもりだったらしいが、当日リハでワンコーラス全部主戦歌ってください、とヒグチアイが申し出たとか。それで木下直子が歌ったのだが、これがすごい。この難しい曲をいきなり歌って、歌いこなす彼女の実力はやはり半端ない。前に見田村千晴もこの曲をヒグチハル企画で嬉々として歌っていたが、その見田村版より木下版の方が、聞き応えがあった。さすが。まあ、ヒグチハルは遊び企画だったけどね。

今夜のヒグチアイの凄みを感じたのは、この後だ。最近、僕も気に入っている「合鍵」から「巡る記憶」へのラスト3曲。これが、これまで見てきた彼女のライブの中でも最高の安定感で、声も割れることなくきれいに歌いあげ、かつてなく感動的だった。「合鍵」ばかりか「東京」に、これほど心を動かされたことはなかった。

丁寧に、発声に注意してメリハリを利かせる。その効果で感動もひとしおに。ただ、本人に言わせると、抑えて歌った方がお客さんに受けることは分かっていても、思いっきり歌った方が自分的には楽しいとのこと。うん、それはよく分かる。カラオケで歌うときは、まさにそんな感じだから。でも、歌手としては、ヒグチアイも若いな(笑)まあ、実際、ふてぶてしいようでいて、まだ21歳だからね(驚)

しかし、抑えて効果的に音韻を響かせる術を、実はすでに身に付けていることに驚き。あえてそう歌ってなかったのだね。若いな、ふふふ。


さあ、そして待ちに待ったBlue Blueの出番だ。

通称ブルブルは、ボーカルの愛ちゃんとピアノのUJの2人組。大阪時代はIce Cubeというバンドだったが、東京に出てきて次々とメンバーが脱退。しばらく2人で活動を続けていた。でも彼らのDNAには、やはりバンドがあったのだろうね。

現在は、全力でAvaivartikaでビッグになろうと奮闘中。だから、ブルブル活動は本当に大切な人から頼まれた時ぐらいしかやらない方針という。うーん、かなり残念。しかし、Avaivartikaファンとしては、そっちに専念してもっともっと力をつけて大活躍して欲しいし、複雑だな。

ブルブルは佳南江ちゃんと同様に素敵ゲスト枠。ということで、歌ったのはわずか3曲にとどまった。

1)光
2)虹の街(コラボ)
3)ハッピーバースデー

「光」は木下直子が大好きな1曲。ブルブルとして活動を始めた当初に歌っていた、しみじみとしたいい曲。個人的には一文字シリーズなら「窓」聞きたかったが。直子ちゃんも楽屋で泣きそうになったとか。

2曲目が去年の「コラボしよ」で木下直子とブルブルで作った共作曲。この場でしか聞けないだけに貴重な曲だ。そして3曲目は、これも誕生祝いでしかブルブルも歌ってこなかったオリジナルの「ハッピーバースデー」。これも貴重。音譜ハッピーバースデー音譜というサビのスケールの大きいこと。そして、直子ちゃんへの気持ちを込めた歌いっぷりに感動も広がる。本人の登場の前をブルブルに任せて大正解だ。

どの歌でも、愛ちゃんの艶やかで力強い声と、おしゃれなファッション、ステージ狭しと動きまわるアクションが際立つ。うーん、ほれぼれ。やはり、愛ちゃんの格好良さは格別。個人的に好きなアーティストの中では、SHUUBIと双璧だ。

それだけに、もっともっともっとBlue Blueには歌って欲しかった。せっかくの再結成だし、「キキトドケタリ」「もしもキミが笑ったら」「少年時代」「限界ライン」「夜に咲く太陽」……聞きたい曲がなんと沢山あることか。ああ、またブルブルで歌って欲しいなあ。


そして、オオトリは今夜の主役、木下直子だ。パーカッションにまあびぃ、ギターにイフィを連れてスリーピースで演奏だ。

その力強く、グルーヴたっぷりの歌は風格十分。これだけ歌えるアーティストはそんなにいるものではない。本当に素晴らしい歌い手。その木下直子ワールドに会場も心地よく染まる。

1)?
2)私を守るもの
3)赤い靴のワルツ
4)ツヨガリ、ヨワムシ
5)最後の音符
6)ハローHERO!

やはり、誕生日(前夜)のらいぶ。ここは、生み育ててくれた母へ感謝を込めて歌う「私を守るもの」が沁みる。

そして生まれたばかりの新曲「ハローHERO」で締めくくった。先日、ノマドで初披露した時は「HERO 」だけだったが、それにハローがついて、曲調もまあびぃらのサポートもあり、よりポップに。「最後は盛り上がろう」との掛け声に、お客さんも手拍子で応え、最後は会場全体が温かい拍手に包まれた。

アンコールに応えて、木下直子が出演者全員を呼び込む。すると、斎藤麻里の音頭と、イフィのギター伴奏で会場の皆で音譜ハッピーバースデーNAOKO音譜と合唱。

すると、客席後方から吉村かおりとシミズリエがバースデーケーキを持って登場。思わず感極まる直子姉。進行ができなくなり、斎藤麻里が代わって話を進める場面もあった。最後は出演者全員で「愛の大きさ」を歌って大団円に。

素晴らしいライブだった。満員のスイッチのお客さんも心から祝福の拍手。うらやましいくらい素敵なバースデーパーティになったろう。

ライブ後の物販で、木下直子がプレゼント攻めにあったのは、言うまでもない。一番多かったのは、日本酒だったとか。美味しいお酒をご堪能ください。