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「Cafe de アンプラグド」
@銀座 カフェ・アンダパンダンテ
出演:高野千恵、ヒグチアイ、井上侑、倉沢桃子、いいくぼさおり、ううじん
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日曜日の昼下り。雨もあがり、銀座をぶらぶらしてから、6丁目の風月堂向かいの2階にある、銀座にしては若々しいカジュアルなカフェへ。今日の会場だ。
トップバッターは高野千恵。キーボード、ギター、カホンをバックに、きれいなお姉さんがハンドマイクで明るく楽しげに歌い、アッパーな1曲目で会場を瞬時に暖めた。
本日のイベント紹介の紙が各テーブルに置かれていたが、そこにあった彼女の紹介文句は「彼女の歌には笑顔が詰まっています。誰もがきっと元気になれるはず」。主催のふわさんか、保坂さんによる文かな。その通り、彼女が元気を振り撒いていく。
1)Summer Parade
2)4月の風
3)あなたに会いたい
4)希望の扉
5)With
持田香織に声や雰囲気が似ている、と言ったら誉めすぎか。声量があるタイプではないが、明るくてオープンな性格がいい。
4曲目には、まだ元気なお客さんが盛大な手拍子を送ると、ボーカルが聞き取りずらく。声がまろやかなので、カーンと通りずらいか。まあ、カフェなのでPAがイマイチという問題の方が目に(耳に?)ついた。これは致し方なし。保坂さんも大変そうだったし。
2番手にヒグチアイ。紹介文句は「孤高のアーティスト。激情の鍵盤弾き。吐き出す息が彼女の音楽になる」
PAの問題は、ヒグチアイの方がより影響を受けていたか。特に迫力ある彼女のボーカルパワーのMAX値を切らざるえなかったのか、聞こえてくるその声は弱められた感じでやや物足りず。まあ、前の方で見ていたので生声で楽しめたが。それでも、ヒグチ節は健在。迫力はダントツだ。
その中で、ヒグチアイでは珍しいラブソング「合鍵」が光った。迫力ではなく、優しい歌声で聞かせるこの曲は、合鍵をポストに入れて出て行ってしまう男を想う女性目線の曲。抑えて、感情の微妙な機微を丁寧に表現する。あのヒグチアイが(笑)
逆に抑えて歌うからこそ、怒りや悲しみをぐっと呑み込んでいる女性の姿がくっきり浮かび上がる。いいじゃないか。
今日は「東京」も良かった。いろいろな思いを、ぐっと詰め込んで、東京のビルはきれいだったんだと改めて気付く。迫力がカットされても、表現力で勝負できるようになった彼女の成長に注目だったね。
<セットリスト>
1)青い春
2)黒い影
3)合鍵
4)ココロジェリーフィッシュ
5)東京
6)巡る記憶
3番手の井上侑は「キュートで切ないマジカルPOP。不思議いっぱいの独創的な世界観」まさに不思議ちゃん。でも、キラキラしている。天性の持ち味で狙って出せるものではない。よしあしは別にして。
曲名で分かったのは、「東口で」「グリーディ」「君のシチュー」「タピオカミルクティー」など。ポップで楽しげで、これはこれで好きな人はいると思われる。
4番手は倉沢桃子。椅子に座って、薄幸そうで、物憂げな表情で一人ギター弾き語り。華やかに歌う歌手に混じっても、場所が銀座でも、不変の倉沢桃子スタイル。こんな時代に、ぶれることなく軽薄にも堕さない、それが彼女の魅力だ。フォーク、かくあるべし。それでいて、幼いころから女優として活躍する美形でもある。
紹介文は「心を震わせ生きてきた彼女の歌だからこそ、こんなにも心を揺さぶるのだろう」。ちょっと説明的だなあ(笑)しかし突いている。
彼女の内省的な音楽は、とてもシンプルなフォークだが、深く、説得力を持つ。とつとつと、焦らず、静かに、きれいな声で歌う。会場は静まりかえり、お客さんが彼女の歌に集中していくのが分かる。聞く者は、歌を媒介に彼女とシンクロしてしまう。曲調は暗いけど、とってもほっとするのだ。
自分の中の晒せない部分を、彼女が歌ってくれているよう。深い部分で、自分以外の誰かとつながれる瞬間がそこにある。そして、日常の中の小さなことを暖かく見つめる視線。彼女に幸せとな何か気付かされ、多くを望み過ぎている自らを省みる。
1)未完成
2)奇跡
3)他愛のない話
3曲終わった時点で18:40。桃子さん、保坂P、さおりちゃんには申し訳ないが、こそっと抜け出し先約の19:00開演ライブへ。o.a.の最後には滑り込めるだろう。次回はしっかり、いいくぼさおりを聞きに行きます。