2011/7/12 見田村千晴 @TowerRecords渋谷店 | 音楽偏遊

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タワレコが昨年開催した新人発掘オーディション「Knockin'on TOWER's Door」で2位。上位3組に与えられた特典でこの春、シングル「始まり」を全国発売したのが見田村千晴だ。そしてオーディション上位アーティストを自らプロデュースするため、この春タワレコが立ちあげたのが「Knock up!」レーベルだ。

6月22日に初アルバム「いつかのように」を発売し、見田村千晴はこのレーベルのトップランナーとなった。前からずっと応援してるのだが、最近の彼女はその成長の勢いが止まらない感じ。聞くたびにすごくなっている。器が与えられ、自覚が芽生えた時、本物の才能が一気に花開く。見田村千晴はまさに、いまこの瞬間、そのステージにいるのだろう。

タワレコもそういうアーティストと共にレーベルを立ち上げられて、きっと喜んでいるはず。この日、新レーベル発足のお披露目の意味も込めた、Knock up!ショーケース・ライブのVol.1が、タワレコ渋谷店地下ステージ「STAGE ONE」で開かれたが、見田村千晴はそのトリを見事に努めた。

出演したのは3組。オーディションで1位だったTHE PINBALLSと、次点だったが同レーベルからこの秋にCD発売が決まったYumeiroecho、そして見田村千晴だ。

トップバッターのTHE PINBALLSは、紹介にもあったがまさに古典的なガレージロック的なサウンドが魅力のロックバンド。その音は、自分が中高生のころに毎日聞いていた音楽に通じていて、サイケやパンク以前のわかりやすいコード進行で、若者らしいストレートなエネルギーを発散している音作りがいい。

個人的には、Huey Lewisが高校時代にランドリーハウスでギターを弾きまくっていた頃の骨太なロックンロールに通じる気がした。そのころの彼は知らないけどね(笑)

特にギターとベースが、いいグルーヴを作っていて、ボーカル抜きで楽しめる。後は、ボーカルが歌唱力を身に付ければ、いい所行くんじゃないかな。8月3日にミニ・アルバム「ten bear」をKnock Upから発売するそうだから、楽しみだね。

1)サイコ
2)I know you
3)ten bear
4)299792458
5)アンテナ
6)ニューイングランドの王たち
7)ダンスパーティーの夜


2番手がyumeiroecho。echoプラスアルファの音楽家たちが集って作り出す実験的な音楽はなかなか楽しいのだが、今夜は彼女一人でギター弾き語り。ちょっとcharaを思わせる不思議な魅力がある。

Knockin'on TOWER's Doorの最終オーディションで、選ばれた10組程度のミュージシャンがそれぞれ100円CDを全国のタワレコで発売、その売り上げを競った。発売日に渋谷店に見田村千晴のCDを買いにいったが、ついでにエントリーアーティストの音源を全て試聴したが、もう1組、気に入ってCDを購入してしまった。それがyumeiroechoだった。その「スミレノヒドケイ」は、今でも結構お気に入りの曲になっている。見田村千晴と差がつかなくなるので、彼女の「始まり」は2枚買ったけど(笑)

今夜も「スミレノヒドケイ」を歌ってくれて、個人的には楽しかった。ただ今回は1人きりで音が寂しげだったので、今度はぜひバンドで聞いてみたい。彼女もKnock Upから今秋にCDをリリースするそうだ。だからこのショーケースに出ることになったのだけどね。

1)スミレノヒドケイ
2)ナスカ
3)カレイドスコープ
4)カラーグラフ


さあ、そして最後に登場したのが見田村千晴バンドだ。とっておきの夜ということで、もしかしたら初めてのフルバンド編成。いつものベースやパーカッションだけでなく、キーボードにエレキギターまでつけて、おいおいどんな音楽やるんだ?とちょっと驚く。しかし演奏したのは、当たり前だがアルバム「いつかのように」の収録曲ばかりでしたが(笑)

このバンドバージョンで聞く「歩いて」や「始まり」がとってもドラマティック。アコースティックな感じで歌い始め、徐々に楽器が入ってきて、サビをドーンと盛り上げる。彼女の声も徐々に声量を上げ、ビシッと締める。バンドもいいね。

セットリスト
1)渋谷駅東口歩道橋
2)日当たりの悪い部屋で君と
3)青
4)歩いて
5)始まり

基本的には、ギター弾き語りの彼女の持ち味は、なんといってもその声。深みがあって、よく通り、力強くもあり、切なくもある。魅力的なオーラを発散するのだ。その声で歌われた楽曲は心に沁み入り、何かを突き動かす。声を張り上げたり、会場に手拍子を求めることなく、じわじわっと打ちのめされるような迫力で迫ってくるのだ。「静かなる情熱」ってキャッチコピーが最近使われているが、言い得手妙。まさにそんな感じなのだ。

その「物語の始まり」といえるこのアルバム「いつかのように」のことは発売当日6月22日のブログで書いた通り。彼女の現在に至るこれまでが、彼女の楽曲を通して浮かび上がってくる。そして、今、スタート地点に立った彼女の決意が感じられる渾身の1枚だ。

こうして、Knock Upのショーケースライブを見ていると、まさに彼女がここからスタートして駆け上がっていくのだろう、とひしひしと感じる。その能力は十分ある。

個人的にはアンジェラ・アキと並ぶようなアーティストにはなると思ってる。アンジェラ・アキを始めて知ったのは、2006年2月ごろから流れたFFXIIの宣伝映像からだったが、あの時に彼女の歌に感じた感動と、見田村千晴と出会って感じた衝動はかなり似ているのだ。見田村千晴がこのタワレコKnock Upを起点にどこまで伸びていくか、楽しみだ。






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