間違いなく、彼女は自分の裏本命。めったにライブせず、なかなか拝めないので、あくまで「裏」としておきますが、彼女が頻繁にライブしてたら通うね。それほどの本物だ。
もっとも真面目に連日ライブに取り組むようでは、清家千晶と言えない(笑)きれいななもの、美味しいものの間をフワフワ浮遊する傍ら、時折ライブする姿が似合っている。
調度、玉城ちはるについて書いた(めがねnight)後に、清家千晶のことを書くという巡り合わせも面白い。辻&玉城ならボケとツッコミ、メイコ&玉城ならツッコミバトルなど噛み合うのだが、玉城&清家というツッコミと天然は、噛み合わぬこと著しかった(笑)その2人で、例のFlower Voicesの共同ホストを何とかやっていたのだから不思議。(玉城さんの苦労を多とすべきだねw)あれは面白かったなあ。
さて、「気ままにやりたいことを、やって生きていく」ことを信条とする清家千晶は、庶民の言葉では「ワガママ」と言われることが多いようだが、それでいいんです。彼女は一種の天才であり、音楽の妖精なのだから、ププッ。
今夜もサポートに大きなウッドベース、ギター、ピアノのオジサン達を従えて、ゼンマイ仕掛けのオルゴール音をバックに登場だ。アコースティックな曲構成にしたため、いつもはドラムをたたく(時にはギターも弾く)樽木栄一郎はお休み。姫が心配なのか、ちょっと顔は出していたが。
そして、いきなりの「スミレ」。低音から高音へ駆け上がる冒頭のアカペラ


それにしても、スミレは名曲だよな~。これを彼女が書いた時、まだ高校生だったというから驚き。こんなに陰影があり、人生を知り尽くしたかのような、無比の世界観を持つ曲を、その若さで作ってしまうとは。天才はえてして早熟だ。
自分でも書けそうな曲を歌うアーティストに驚きはないがスミレのような曲は数百年生きられても、逆立ちしたって作れないだろうな。さらに、この難しい曲を歌いこなそうとしたら、さらにどれだけの時間が必要になることか。
続いて「この体。」や「花唄」という珠玉の曲たちを歌い継いでゆく。今日は、サポートの3人のオッサン達がコーラスに入ることが多く、いつもに比べると南国テイスト。本人も「暑いからスカッとしたい」とMC。ま、確かにいつもより南国らしいが、それは決してトロピカルな感じではなく、せいぜい土佐ってところか(笑)あるいはバリのケチャのような、荘厳さをたたえていて、南国の開放感やリラックス感とは違う。清家千晶の持ち味が決して消える事はないのだ。本人はよく南の島に遊びに行ってるようだが(笑)
ラストは、思わず前奏でガッツポーズしてしまった「ユラー」だ。前回のgee-geでも、その前の元住吉POWERSでも歌ってなくて、いったいどれだけ遡れば、生で「ユラー」を聞いたのか覚えてもいない。しかし、初めてあの曲をFABで聞いた時の衝撃は忘れられない。ずっとライブで聞きたいと思い続けていた1曲だ。
その歌唱力で壮大な宇宙空間を作り出す。そして、サビで


Lucy in the Sky with Diamondな状態(笑)を、歌で創造してしまう。そんな限られた人間にのみ与えられた才能を、清家千晶は備えてると思っているのは僕だけではあるまい。彼女のライブを見に、多くのアーティストが集まる事もその証左ではないか?
1)スミレ
2)この体。
3)オルゴール
4)花唄
5)ユラー
これは愚問だが、では清家千晶と玉城ちはるはどちらが偉いか。それは、間違いなく玉城ちはるなんだけどね~(笑)現実の世界にがっしりと足を踏ん張り、理不尽や不合理も受け止めつつ、人々の幸せのために自分が何をできるか、逃げずにとことん向き合っている玉城ちはるを、尊敬さえしてしまう。敢えて口が悪いキャラで、正論派にありがちな嫌味を豪快に消し飛ばす生き方も、実に爽快。
そんな2人の音楽は、どっちも素晴らしい。現実に生きるにしろ、観念に生きるにしろ、突き詰めていけば、高みにたどり着くのだ。凡人を超える、つまり非凡な境地に至ることで、産み出される絶対的な美があるのかな、と思う。
この日は他にも、初めて聞いたChuriStaが、とても良かった。女性ボーカル(時折ピアノも)の佐野安佳里と、ギター中村康太の2人組。彼女はソロの活動で実績があり、半年前にユニットを結成。これから2人で積極的に活動していくという。今後が楽しみだ。
曲名はよく分からなかったが
1)金曜の夜
2)Million×Billion Lover
3)紅色
4)My Sister
5)象の涙
心にひっかかるハスキーで甘い歌声がいい。アップテンポなMillion×Billion Loverまではハンドマイクで、ラメがきらきら光る緑のノースリーブなワンピがおしゃれ。


特に気に入ったのが「My Sister」。大人の雰囲気を漂わせる佐野さんが、せつせつと大切な妹への重いを歌っていく。おしゃれだけど、とても親しみを感じる彼女の素の言葉が心に刺さる。いいアーティストだよねえ。
またギター弾き語りの山口貴大も、大きな体から想像つかぬ柔らかい優しいボーカルで魅せた。彼は、まだまだ伸びそうだね。今後も要チェックです。