昨日に続き代官山。今夜はnapで、渋谷めぐみのライブだ。彼女のような、バンド従えてロックするアーティストに、アコースティック専門のnapはやや小さいかなとも思うが、napは好きな箱だ。
彼女にしても、napのお客さんにどう聞かせるか、サポートミュージシャンと箱に合った音をどう作るか、しっかり課題持って挑むことで、どこでも修行の場になる。また、どんな状況でもプロのクオリティを維持できるよう、常に万全にして、全力を尽くすことができないなら、お金を取ってステージに上がる資格はない。駆け出しのアーティストたったら、そうもいかないだろうが。
今夜の渋谷めぐみは、サポートにアコギ高田さん、サックス白坂さんのお馴染みの顔触れに、初参戦のキーボード草鹿さんの3人編成。それだけで、napのステージはいっぱい。中央にサックス白坂さんと、ツインボーカルのように渋谷めぐみが並んで、演奏スタート。
彼女の楽曲は、ジャズやソウルのテイストがあり、大人っぽい。napに出演しているアーティストではあまり似ているタイプはいない。その独自の音楽世界で今夜も聞かせる。
対バン組むならスモポとか、最近やってないがVIVA ROSSA、FUZZY、Epochol辺りが面白いか。木下直子や戸城佳南江、吉村かおり辺りとは、食い合わせが悪いかもな。詩ちゃんや小林未郁さまなら、いいかなあ…などつらつら考えさせられた夜だったが、今夜トリで歌った前田絢子はサプライズ。彼女ははまってた。
おっと話を戻そう。今夜の渋谷めぐみは、実は声が掠れていて、いつものようなパンチがない。アコースティックを意識して抑えてるのかと最初は思ったが、実は風邪だったよう。うーん、残念。
サックスの白坂さんも、彼女のこうしたアコースティックライブは初めてだったよう。バラード系の曲で、いまいち上手くボーカルにサックスの音を絡められてない感じ。
さらに、ほとんど初見で演奏したという草鹿さんのキーボード。プロだけあってメロはすごくうまい弾き方するが、間奏の楽器の掛け合いや曲の終わらせ方などで、みなで息を合わせられず苦戦。
まとめると、リハ不足なんだよなあ。サポート陣を固定できないことの負の側面が出たかな。
ただ、楽曲のセンスやその歌唱力はさすが。やはり、彼女のライブは面白い。
セットリスト
1)秘密
2)愛ことば
3)えんぴつ
4)magic
5)ユメオチ
今夜、もうひとつ嬉しかったのは、前田絢子という新たな発見があったことだ。。トリで登場した彼女は雰囲気がある。何か持っている匂いがプンプンしてくるのだ。マキシ丈の黒のスカートにサンダル、色黒の小顔に黒い髪。足の爪の深い緑のペディキュアが、彼女の世界観を物語るように目立つ。
見た目から感じた直感は、彼女の詩を聞いて確信になった。いや、素晴らしいボーカリストなのだ。やや低くハスキーな地声が魅力ある。その声で素晴らしい歌唱力で、ソウルフルにパンチのあるボーカルで聞かせる。
1)Who Knew (by Pink)
2)恋はリズム~Believe My Way (by福原美穂)
3)Blue Days (by絢香)
4)Smile(唯一のオリジナル曲)
5)Black Horse and the Cherry Tree (by KT Tunstall)
セットリストを見れば分かるように、カバー曲が中心。しかも洋楽と、邦楽でもソウルフルな強いボーカルの福原美穂と歌唱力がなければ恰好悪い絢香。そんな曲たちを、いとも自然に飼いならし、自分の歌にしてしまっている。かなりの実力がないとできる技ではない。
特に洋楽を歌う際の、発音がきれいで、発声も洋楽向き。渋いハスキーな声で、グルーブたっぷりに、時にうなり、時にささやき、強く弱くアクセントをつけて格好良く歌いあげる。うーん、すごい歌唱力、とうなる。
サポートはアコギのみ。ARK君のそのギターが弾み、ガットも入り、時に泣くように鳴り、ボーカルときっちり息を合わせてくる。このコンビ、今日初めて合わせたというが一体感があり、音楽の楽しさが伝わってくる。いいねえ。
そして、何より最後の曲で見せた、ループをいくつも重ねた演奏がうまい。ギターのリズムに加え、彼女が吹き込んだ2重のコーラスが、まるで黒人のコーラス隊のようだ。やるなあ。
MCで「実は前日が誕生日でした。19歳になりました」とのコメントにのけぞる。これだけの歌をあの低いハスキーな声で歌いこなし、しかも大人の雰囲気を醸し出すには、それなりの人生経験が必要。てっきり20代半ばぐらいかと思って聞いていた。
この年でこれだけ完成しているとは、すごい才能だ。今後、ライブ活動に力を入れ、たくさんの経験を積んでいけば、遠からず大きなステージに引き上げられることは間違いないのではないか。うーん、彼女の未来が楽しみだ。