6日で3回目の渋谷gee-ge(笑)2日に1回ペースで、もう年間パスポート欲しいくらいだがそれはさておき、そんなハイペースで見てきたライブの中でも、今夜は出色。楽しさでは、一昨日の女子の祭典「Flowers vol.2」より上だった。
今宵の音「楽」を演出したのが、西日本からツアーでやってきた名古屋の「The Sing2You」、三重の「あいろに」、京都の「みかとやす」の3組だ。ツアータイトルは「スプリットツアー2011 『ニカケルサン』」――ニカケルサンは2×3、すなわちデュオ3組という意味で、西日本ではその実力に折り紙つきの男女ユニットたちだ。
男女デュオって、なぜか面白い音楽を聞かせてくれるんだよね。そして、多くの場合、女性が「自由」……というか自由過ぎるというか(笑)だから、男がダメだと上手く成立しないのが共通項。つまり、いい男女DUOは、自由な女と、それを泳がせられる寛容さ、あるいは包容力を持ちつつ、音楽ではその自由な女と均衡できる力がある男が居なければ成立しない。今回の3組とも、かっとんだ女たちと、いい男たちが、ご機嫌な音楽を作り出していて最高に面白かった。東京にもいい男女DUOはいるけど、そう考えると西日本の方がDUOには向いているかもしれんな

その3組の中で今夜の目当てはThe Sing2You。オープニングアクトに今一部で話題の岩手在住ピアノ弾き語り、日食なつこに続いて登場した。今宵の3組の中でも取り分けご機嫌な2人組だ。
ボーカルの浦林くるみ、ギター&ボーカルのかとうさとしの音楽は、温かく奔放でご機嫌。ベースはすぐれた歌唱力と、人懐っこいぬくもりある2人の声だ。その2人が絶妙にかけあい、ハモり、素敵な浮遊感とグルーヴを作り出していく。
なんいっても、楽曲がいいんだよねえ。
1)サイダー
2)森
3)Water
4)Hello?チョコレート・ガール
5)ハシノシタ
6)グラディエイション
7)七色サンドイッチ
サイダーは、


森は初めて聞いたが、震えたね。Deep Forrestという十数年前に流行ったアフリカンユーロビートのグループ思い出した。ネイティブアフリカンの描く深い森の域には、勿論シング2が達する訳がないが、魂は通じるものがあった。
ハシノシタでは、その不思議な世界観に包まれた楽曲で、実はとても深刻な内容。命を失いつつある君を想い、あとどれ位あんたに優しくできるかと歌う。決して脳天気ではない。しかし、その想いが闇に溶けていくのかな~、橋の下僕らサンライズ♪という詩は、人もモノも自然もすべて同じ地平線にとらえている彼ららしい。その地平線の上で生きる人間への目線が優しい。だから、彼らの歌の前ではすべて武装を解いて、心の純真さを取り戻せる。
特に大好きなのが、会場全体が大盛り上がりとなって、すごい手拍子に沸いた最後のアゲアゲな「七色サンドイッチ」。


彼らのステージには、心が浄化され、童心に戻される。無邪気に、ピュアに音楽を楽しませてくれる。そう、童謡にはしゃぐ赤ちゃんのように。
彼らが名古屋でなく、東京で活動していたらもう毎回ライブ通ってしまうよ。
2番手に登場したのが「あいろみ」だ。女性ボーカル&ギターのくまがい吏加、パーカッションの橋本ゴウの2人組だが、サポートにアコギの井口ボーイを加えた3人での演奏。これが、またほんわか温かくて、ファンタジックで楽しく、嬉しくなってくる音楽をつづるのだ。
セットリストは全く自信なし。こんな感じだったと思うのだが…
1)はじまり
2)どこへゆくのか
3)一匹の牛
4)?
5)右肩とランデブー
6)生きる音
7)シャンハイニー
8)雨
特にシャンハイニーという新曲がまた、絵本の世界のようにいろんな動物たちが出てきて、なんともいえない不思議な感覚に。10年前はトラで、3年前は鹿だったシャンハイニーと呼ぶ蛇に巻きつかれると幸せになれるそうだ、わははは。そのほかの曲にも動物が沢山登場してくるのだが、それらが愛くるしい人格を持っているかのよう。昔、川村かおりがZOOで動物たちを人間社会の比喩として批判的に歌っていたが、あいろみは様々な個性を肯定して暖かく見守る感じ。優しいんだよね。
そして、ここでもやはり女性ボーカルの吏加さんが、その空気を作り出している。そのおどけたような声と、かわいらしい表情。さすがに自らもう30歳だから目じりに皺があーっなんて話題もふりふり、笑いをとりながら、ほんわりした楽曲で楽しませてくれる。また、パーカス橋本氏が本当に楽しそうに太鼓をたたき、コーラスしていてつられて笑顔になる。いいグループだね。
トリは「みかとやす」だ。女性ボーカル&ピアノのみか、コントラバスのやすという2人組も珍しいが、とにかくみかさんの自由さといったら。いやいや、きれいな顔なのですが、とても気まぐれな頭をお持ちで、芸術家肌がそこかしこから滲み出す。うわー、このタイプ、結構好きなんだよなあ。
間違いなくクラシックピアノで腕を磨いたと思われるみかのピアノの伴奏はかなり高いレベルで、コントラバスの低く深い弦の音が効果的。そこに、意表をつく、というかすっ飛んだ歌詞で独特の世界を紡ぎ出す。これが京都流か(笑)ヤスオバーガーとは全く違うよなあ(笑)蜜とも違うし。というか、もっと身近に似ているアーティストがいた、いた。吉村かおりだ(爆)
セットリスト(こちらも自信ないけど)
1)インストのイントロ~メトロ&ノーム
2)まどろむ
3)春のさ
4)ジュノバ
5)月がない
6)長いウソ
7)スロウ
この後、3組は18日に三重県四日市、24日に京都市でライブをして今回のツアーを終了する予定。とにかく3組自身が今回の企画を心から楽しんでいる様子が、その演奏から伝わってくる。ああ、何てみんな楽しそうに演奏しているんだろう!見ているこちらも、楽しくて仕方なくなる。
そんな彼らの実力を知るのは、同じアーティスト仲間たち。今夜のお客さんにアーティスト関係者が多いことといったら。みんな、どこかで共演して彼らの音楽を好きになってしまったようだ。その気持ちはよーく分かる。みんな、素晴らしく個性的で、それぞれがキャラがあり独特の世界観があり、何より実力があるから、聞いていると嬉しくなってしまうのだ。
今回ゲットした彼らのCDを聞くのが楽しみ。本当にもっともっと聞きたいから東京に来てね。いや、名古屋に移住するか(笑)