恵比寿天窓.switchで、大黒美和子企画「猫レストランvol.2」だ。前回は昨年10月、ゲストに玉城ちはるらを迎えて赤坂グラフィティで開催したが、それから半年。vol.2はないのかと思った頃に、告知があった。
第2回の今夜のゲストは、前回に引き続き村上通と、前回アンケートにあった猫レストランに今後、登場してもらいたいアーティストを尋ねる設問に僕が回答した渋谷めぐみが登場。記入しなくても、いずれ渋谷めぐみは美和子ちゃんに呼ばれるとは思ってたが。
そしてもう1人。美和子ちゃんが幼少の頃から「お姉ちゃん」と慕ってきた福本美貴が大阪から駆け付けた。彼女は現在、日韓をまたにかけてライブ活動しているという。
今夜もハングルで数曲を、しぶいハスキーボイスで披露。彼女はジャズシンガーなのかも。声と歌い方が一致している感じ。ハングルで声援も飛び、国境を越えて多くの人に愛されてる様子。
ただ、いきなり1曲目に尾崎豊「I Love You」をカバーしたのはびっくり。声も嗄れていて、この歌はちょっとどうかな。もう1つ、「Story」のカバーは、まだ良かったが。
とまれ、やや大柄でステージ上でも余裕で、笑顔は魅力的。人によっては、かなり好きになるだろう。
続いて村上通。
前に見た時と同じく、アコギのサポートと。やや声が掠れる。ハスキーというより、鼻腔を使わず喉から声を絞りだしている感じ。慢性鼻炎持ちなのかな。
自ずとのびのび高い音は出ないから、ファルセットを多用するのが彼の特徴。もっと地声が強く出るとよいのだけど、ファルセットもそれほど悪くない。曲調も前向きで、どこか昔の学園ドラマの主題歌になりそうな感じ。嫌いじゃない。
1)
2)次へ続く歌
3)旅路
4)会いに行けwith大黒美和子
5)笑おうよ歌おうよ?
3番手は渋谷めぐみ。サポート5人という大所帯で、しかも初めての編成だ。
ベース坂下さん、pf.安部さんに加え、gt.川村さん、ドラムにサックスまで加わった賑やかなもの。それでいながら、このメンバーがそろって演奏するのも初めてなら、渋谷めぐみのサポートをするのも初めてのメンバーが3人もいて、なかなかまとめるのが大変。それは音にも現れた。
まず冒頭の「ユメオチ」のドラムインから、あれっという感じ。ユメオチのドンドンドドドンというバスドラから入るところが格好良いのだが、え、そこタム?みたいな軽さと、強い拍をとるところのずれが気になってしかたない。ドラムが難しい曲とのことで、初めてだから恐る恐る叩いたのだろうが、やはり、決然と強気に叩いて欲しかったなあ。
サックスも、少し後追い気味。多分演奏したことない曲なので耳で聞きながら吹いていたのだろうが、どちらかというとサックスにリードして貰いたいパーツも多く、もっと走って欲しかった。それは、いきなりでは無理な要求というものだが。
ただ、アコギの彼女は初めてといいながら、口をみていると彼女の曲を歌っている。聞くところによると、相当聞きまくって今夜に備えたということだから、体で渋谷めぐみの音楽を理解していたのだと思う。そして、それが如実にギターの演奏に現れて、極めて効果的で良い伴奏をしていて頭が下がる。うーん、プロ魂!
ba坂下&pf安部の二人だけは、何度もやっているのでこなれていた。それだけにこの2人には、もっと演奏を引っ張って欲しかったが。まあ、致し方なかったが準備不足だったね。
おっと、サポートの演奏の話ばかりになってしまったが、今夜の渋谷めぐみは、決して悪くはなかった。やや声は嗄れていたけど、隠し事とか、Day After Dayでは、その力の入った歌いっぷりに会場の中も聞き入っていた感じ。天窓スイッチは初めての会場ということだったが、それなりのパフォーマンスは見せられたのではないか。もっともっと普段は良いのだけどねえ。
まあ、ケチつけついでに指摘するなら、大黒美和子と二人でカバーしたSuperfly。歌唱力では堂々と美和子ちゃんと違う持ち味で渡り合って、甲乙つくようなものでは無かったし、彼女のハスキーなジャズっぽさと力強さは十分発揮していたと思う。ただ、ステージングはねぇ。さすが美和子ちゃん、余裕で笑顔をしっかり浮かべてお客さんを楽しませようという姿勢を見せた一方で、渋谷めぐみは緊張していたのかやや無表情。そこら辺は改善の余地が大いにあるよなあ。渋谷めぐみファンからの苦言・お願いですが。
1)ユメオチ
2)隠し事
3)Day After Day
4)恋する瞳は美しいwith大黒美和子(Superflyカバー)
5)涙
さてオオトリ。今回の大黒美和子もバンドをバックに大いにはっちゃけた。
サポート”イケ”メンバーは、gt.原田博史、dr.ドラム勝竜人、pf.ピアノモチヅキヤスノリ、ba.ベース北村雄太という面々。全体的に若く、意欲にあふれているし、結構格好よい面構え。それだけに、彼ら自身にもファンがいるようで、メンバー紹介では黄色い声援が。そして、彼らの音も若々しく、バンドらしく揃った音で盛り上げてくれ楽しかった。渋谷めぐみバンドのバラバラ感が少々際立ってしまい、ちょっと痛かったね(笑)
そんなバンドサウンドにのって、美和子ちゃんが持ち歌の中で一番明るいという「初恋」から。バックバンドが陽性だからか、彼女の今夜の歌は初恋に限らず、それほど暗く感じない。彼女自身も楽しそうに歌っているから、こちらもニコニコしてしまう。
いやあ、これがサポートがヨッシーのピアノだけとかになると、「行方知レズ」や「透明な私」は身の毛もよだつような怖さささえ感じる暗い迫力に満ちた、それはそれは凄みのある曲になる。また、ヨッシーがでかい体して、繊細でドラマティックなピアノを弾くから、美和子ちゃんの抜群の歌唱力が描くドラマが迫真のものになる。
ところが、今夜はバンドだったので、その暗い曲もどこか歌謡曲のような安心感を持って聞けた。もちろん、素晴らしい迫力で、さすがだな。
1)初恋
2)コール
3)行方知レズ
4)透明な私
5)愛してるって言って(堀江淳からもらった曲)
en.君に歌う
コラボ 「仲間かな」~猫レストラン用コラボ曲(詩・大黒美和子、曲・村上通)
アンコールを1曲歌ったあとは、出演者みんなを呼び込んでコラボ曲。唯一の男性、村上通が結構よい声で自分のパーツを歌い目立っておりました。
そして楽しい夜は、その後も会場を変えて続くのでした(笑)