2011/5/17 ヒグチアイ@四谷天窓 | 音楽偏遊

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四谷天窓@高田馬場へヒグチアイを聞きに。ということは、案の定の雨。ジェリーフィッシュもお喜びか(笑)予報外れの雨ではなかったけどね。

分かる人しか分からないネタはさておき、今夜のヒグチアイは一番手ということだったが、その前にオープニングアクト。同じく鍵盤弾き語りの吉田和代だ。

彼女を聞くのは初めて。若そうだけど、飾り気ないおかっぱで年齢不詳な感じ。意外にのれるアップテンポな前奏から、しっかりした声、ピッチ、リズム。2曲目も、転調する難しそうなバラードを、音をしっかり当てながら歌っていく。なかなか安定している。個人的にはもっと歌に表情がある方が好きだが。

続いてヒグチアイ登場。全体に抑えめな演奏から、じわっと感動を広げ、サビでガツーンと迫る好演。そのパワフルな声は、暗い曲調でも、暗い印象は与えない。むしろ凄味を感じさせて、やはり好きだなあ。

前回のコンフォートに引き続き、優しい静かな前奏でスタート。優しく小さな声でも聞かせる表現力の習得を課題にしているかのよう。そこからグィーンと、持ち味の迫力あるサビへ。いかにスムーズ、かつ劇的にドラマを作れるか模索は続く。

弱いところほど緊張を、強いパッセージほど柔らかく。そんな風に声帯を使えると、ヒグチアイは益々良くなりそう。弱いところを力抜いて歌うとだれて、元気なく聞こえてしまう。難しいのだ。静かに歌いながら緊張の中に客を放り込むのに卓越しているのが、ヒグチアイの後に歌った倉沢桃子。その歌唱力、というか滲み出す想いを表現する技量はすごい。きっとヒグチアイもそこから学び取るものがあったことだろう。

でも、進化するヒグチアイの最終形態はやはり、迫力で並ぶものない鍵盤系ボーカリストであって欲しい。今はその過程なのだと思ってる。

セットリスト
1)ジャーニー
2)ココロジェリーフィッシュ
3)さよなら愛しき人
4)ポケット
5)巡る記憶
6)大人
7)東京
8)小さな願い

久しぶりに聞くポケットと大人に感動。どちらもいい曲だよなあ。ナリカケ発売前後はよく歌ってたけど、改めて聞くとじわーっと心に迫ってくる。

特に「大人」は最近のヒグチアイのキーワードになってる気がする。今日もライブ中に「ああ、私もう大人ですが…」なんてコメントしていたし、前のライブで「私、大人の女になれるかな」なんて話してた。

ヒグチアイを始め平成元年生まれの彼女たちは今、女として脱皮の季節を迎えつつあるのだろう。変わる女の子は、驚く程変わることがある。気付けば少女ではなくなっている。そんな年頃ならではのドラマや成長の痕跡が、また楽曲に反映されていく。その過程をこうして目撃できることが、とても興味深い。

音楽という道に没頭することで、実は人間的にも成長できるのではと思う。何もしないでバイトと酒に明け暮れ、遊んでいる学生よりもね。

さて、彼女のライブ終了後、倉沢桃子にはおおいに未練を感じつつも六本木へ急ぐ。渋谷めぐみのワンマンが六本木club EDGEであるからだ。詳しくは次の日記で