2011/5/15 吉村かおり 斉藤麻里 小林未郁@nomad | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

(書きかけだけど、アップしちゃいます)

これだけのメンバーが揃ったスリーマンは見逃せません。西日本ツアーを終えて帰ってきたばかりのかおりちゃん、勢いにのってるマッペ、さらにオープニングアクトに詩~uta~が出るという重たさ(笑)

とりわけ小林未郁は先日レコ発ワンマンもあり、新アルバム「糸車」を発売したばかり。ワンマン行けなかったので、今夜は是非見たかったのです。

会場の代官山ノマドは開場前から行列。予め混雑を予想していたのだろう、テーブル無し、椅子のみ5列の会場セッティングだったが開演15分前にはほぼ満席。その後も立ち見客が続々と増えていく中、オープニングアクトの詩~uta~ちゃんの演奏スタート。

ノマドに出入りしてる客は当然ご存じの詩ちゃんは、決してOAクラスではない、堂々のメインイベンター。近くある自分の企画ワンマン@O-Crestの前宣もあって登場だ。

といってもこの日の出演者全員と仲良し。特に吉村かおり、斉藤麻里に木下直子を加えた4人はツイッターで盛り上がって、最近この四人組で「ハイ4」と称している。そのハイ4で7月には、渋谷gee-geでライブもやってしまうというノリだ。未郁さんも前回の詩ちゃん企画ライブ@O-Crestで歌った仲。未郁さんと木下直子も友達で、その事が最後に予想外の展開につながる訳だが、その話は後で。

まずは詩ちゃんのキーボード弾き語り2曲。昨夜は志津でライブがあり、打ち上げで遅くなり、東京に戻れなくなった共演の木下直子を家に泊めたとか。声も掠れ気味。このライブ後に寝込んだようで体調悪かったのかも。しかし、歌では微塵もそんな素振り見せず「空白未来?」「人間だもの」の2曲を熱唱。本当に歌力あるアーティストです。


さあ、今夜のスリーマンのトップバッターは吉村かおりだ。

1)海月
2)あざやか世界
3)チョコレートが止まらない
4)捧げる
5)あなたの中で目が覚める
6)風
7)野うさぎかける
8)砂嵐



2番手は斉藤麻里。

1)
2)Happy Night
3)アマレットジンジャー
4)モンスター(新曲)
5)前髪の記憶
6)夕焼けセンチメンタル
7)ダイブ



そして、3人のトリは文句無しで小林未郁さまだ(笑)
かおりちゃん、麻里ちゃんほかノマドに出てる若いアーティストが共に「未郁さま」と呼ぶなど、最近なぜか未郁さまブーム。一過性かも知れないがw、あの日本人形のような優しい端正な微笑みの後ろに、怖いくらいの毒を持っていることを隠そうともしなくなった最近の未郁さんは、敬意と恐れを込めて様付けが似合う。名は体を表すで、最早ニックネームのようなものだ(笑)

そんなんだから、彼女が糸車のアーティスティックなアー写を、ブロマイド風に販売する絵葉書は、かおりちゃんに「魔よけのお札」と言われる。かおりちゃんの無邪気な毒も時に辛辣だ(笑)ただ未郁さまも魔除けが気に入ったよう。自らを禍々しい者と認める事から、彼女の自由と音楽は始まっているようだしね。魔除けになる存在と認められた事が勲章だとさえ思っているだろう。

セットリスト
1)歯車
2)はんぶんこ
3)焙煎珈琲、挽き立てドリップ
4)毒
5)臆病者のうた
6)つまみぐい
7)透明な青
8)剥製と散歩
9)一輪刺し
10)僕の葬式

アンコール
1)生きとし生けるもの
(by木下直子 as ending act、なぜ?笑)
2)飼育小屋 (by未郁さま)
木下直子はおいといて(笑)、今夜のセットのうち毒、はんぶんこ、アンコールの飼育小屋以外は全て新アルバム「糸車」から。この「糸車」は傑作だ。

かなり好き嫌いあるとは思う。が、そのことについては、未郁さんは間違いなく確信犯。それどころか、自らの構想に強いこだわりを持って、このアルバムを作りあげた過程は、彼女自身がブログに何回にもわたって書いてある通り。あそこまでブログで手の内を晒したということは、この作品が彼女にとって渾身の自信作であるからに違いない。

部屋を暗くして、嵐の夜とかに1人で聴いてみて欲しい。恐ろしくて、美しいほど芸術的で、ゾクゾク震え、鳥肌がたつよ。できるだけ静かな環境で聞いた方がいい作品だね。個人的には藁人形売りより断然好み(笑)

その世界観は耽美。だって「剥製と散歩」しちゃうんだぜ。どんな想像力をもっているというんだ。これまでは、せいぜいが男に毒を盛って、飼育小屋に閉じ込めるぐらいだった(それだけでも、とんでもないが、笑)。それが今回は症状がさらに進行し、自分のものにしたいがために男を剥製にして散歩するというのだから。これだから、小林未郁は止められないのだ。

ところで、昨夜の志津ライブで帰宅できなくなり、詩ちゃんの家に泊まった木下直子さんは、なんとそのまま詩ちゃんについてノマドまで来たらしい。前髪を作って、なんか若返った感じ。似合っています。そして、ずっとライブを事務所やバーカウンターの中から見ていたのでした。

未郁さんが「僕の葬式」を歌う前に、「今日来ている木下直子がこの後、アンコールがあったら出てきて歌うことで話がついている。だから、みんな大いにアンコールして。直ちゃんは準備よろしく」と有無を言わせぬ突然のフリ。まあ、普通、だからといって出てこないと思うが、ばっちりアンコールで登場。「未郁さまに命じられたら…」といいつつ、力を込めて「生きとし生けるもの」を熱唱して大喝采を浴びた。突然の指名でもこのクオリティーの高さ。やはり、木下直子は素晴らしい。

歌い終えたところで、「やっぱり出演者が閉めないとおかしいよね」と小林未郁さま再登場(笑)直子姉にもっていかれたままではまずいと思ったのかどうか。「木下直子はエンディング・アクトという新しいロールを作ったね~」と朗らか、笑。悪魔だね。そして最後に「飼育小屋」で、再びおどろおどろしい世界を描き出した。さすがです。