2011/5/10 飯田舞 ヒグチアイ 斉藤麻里 松岡里果 | 音楽偏遊

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飯田舞の企画ライブ「Five Colors」@四谷天窓.comfortはこの日、主宰の強力な雨女ぶり(笑)で案の定の雨天にも関わらず、大入りの超満員。20人以上の立ち見と合わせ70~80人の客ですごい熱気に包まれた。

それもそのはず。出演者が飯田舞、斉藤麻里、松岡里果、ヒグチアイ、Retro Noteという面々。メジャー未満の女性シンガーソングライターファンが、他に強力なラインナップのライブが無かったこともあり、ごっそり集まったようだ。

Retro Noteは初だったが、他の4人は何度もライブを見ており、その魅力は知っている。この4人を一度に見られるこのライブ、ちょっと楽しみに高田馬場栄通りを傘をさして向かった。

オープニングアクトはヒグチアイ。もったいないような。あれほど力強く、ドラマを作れる彼女に最初の3曲しか歌わせないなんて(笑)

彼女自身もOAということで、今日は一味違う優しいヒグチアイで攻める方針にした模様。彼女が全開パワーで歌ったら、今日まだ歌を聴いていないお客さん、心の準備が整わないしね(笑)

ということで、静かなピアノのアルペジオ(pfではそう言わないかな)から始まるというヒグチアイらしからぬ(?)オープニング。でも音符は雨の日定番のあのパワフルなクラゲの歌。これは、何か考えてるなとワクワクしてくる。

案の定、あの勢いで歌い倒すような力強さは抑制され、細部を丁寧に丁寧に歌っていく。細かい表現力や声の使い方を試行錯誤している様子。一つ上へ階段を上がるため、きっと挑んでいるのだ。

1)ココロジェリーフィッシュ
2)巡る季節
3)東京

2曲目で徐々にエンジンをかけ強弱を際立たせ、こないだから歌い始めた最後の「東京」を一番力強くフィニッシュ。ああ、もっと聞きたいぞ。


ヒグチアイの後に登場したのが、これも20歳のボーカル、岩村沙希子とピアノの西尾明弘の2人組み、Retro Note。初めて聞いたけど、柔らかい音楽とボーカルが心地よい。その若さが良くもあり、物足りなさにもなっていたが。

1)ずっと
2)群青色の空
3)雨
4)歌うことにした
5)東京


3番目になんと斉藤麻里。彼女は飯田舞の前にやって終盤を盛り上げるものだと思っていたが、この順番。盛り上げてきてね、と舞ちゃんから頼まれたとのこと。その期待通り、一気にダイブで会場を熱くした。

1)ダイブ
2)タイムカプセル
3)アマレットジンジャー
4)前髪の記憶(with 飯田舞on pf)
5)夕焼けセンチメンタル

そのステージングはさすが。どんなライブでも、彼女が登場した途端にお客さんも一緒になって沸き上がる。こういうイケイケな曲って、なかなか作るのが難しいと思うのだが、彼女にはぴったり合っている。斉藤麻里の強気で元気な性格が、やはり曲に現れるのだろう。抗しがたい魅力だ。

最後の定番、夕焼けセンチメンタルはもはや頭にこびりついている。これはいい曲だよね。


続いて4番手が松岡里果だ。

ギターの高田さんがステージ前に色々セッティングしていたのに、ステージが始まると里果ちゃんだけしか現れず。??とみなが見ていると、ステージ中央の席に座り、おもむろに高田さんが置いていったギターを手に。客席から一様に「えーっ?」との声が。里果ちゃんといえばボーカル&フルート。最近は少しピアノ弾き語りもするが、いまだギターを自分で演奏したところ見たことない。受け狙い?(笑)

ところが、そのままアルペジオを始めるではないか。高田さんは引っ込んだままだし。びっくり。そのまま、配られたフライヤーの中に歌詞カードが入っていた「春に生まれし君へ」。「あたし、ギター初めてだから、うまくいかなかったら、みんなが歌って支えてね」って、おいおい誰もこの歌しらないんじゃないか?すごい強引なフリ。さすがりかちゃん(笑)でも、その笑顔でみんなを引きずり込むところはさすが。

1)春に生まれし君へ
2)涙の行方
3)雨のにおい
4)水彩
5)君へ続け

声がかすれ声量はそうある方ではないけれど、とにかく里果ちゃんのステージはいつも見ていて楽しい。彼女は毎回いろいろな仕掛けを繰り出してきて、お客さんに楽しんでもらいたいという誠実な気持ちが伝わってきて、とても好感。マッペや舞ちゃんより年上だが、すぐに打ち解けて誰とでも仲良くできるのは才能だね。


ラストは事実上の主催者である飯田舞。相変わらず正当派の美声、王道のポップス。クオリティ高いピアノ弾き語りで、会場を優しい空気に包んでいく。特に友達や家族の大切さを思って作ったという「仲間」は、心にじわり響いてくる歌詞とメロディで印象深い。この曲は、これからも彼女が歌い継いでいく曲になるのだろうな。この日のクライマックスだった。

先ほど、斉藤麻里のステージで「前髪の記憶」のピアノ伴奏をしたが、今度は斉藤麻里がギターコーラスで参加。二人の演奏は、きれいなハーモニーや装飾があり、聞き応えあった。

1)そばにいて
2)君の隣で
3)仲間
4)大切なもの
5)Color きれいなバラード
6)   (with 斉藤麻里on gt&cho)
7)深呼吸

アンコールは全員でセッション「上を向いて歩こう」。ヒグチアイのこぶしの効いたジャズっぽい歌い方が目をひく。彼女は、学校でジャズボーカルもやっていたというが、ジャズ歌ったら面白いだろうと考えていた。この女性ボーカル4人そろい踏みの昭和の名曲は、みな若いながら聞くものに希望を伝えようとする姿勢があって、気持ち良いエンディングだった。