昨年、タワーレコードが主催した新人アーティスト発掘コンテスト『Knockin' on TOWER's Door 』で何百組の中から予選を勝ち上がり、最終審査では全国のタワレコでだれのCD(100円)が一番売れるかという単純明快なマッチレースで準優勝。晴れてタワレコからこの3月2日にシングルデビューを飾ったばかり。
シングル発売後、北村瞳さんのレコ発売ライブに6日出演したが、そこは瞳さんのレコ発ということで、見田村千晴自身では、この日のLOOPライブを発売記念ライブとしていた。ただ、今夜はワンマンや彼女主催企画ではなくLOOPのブッキングライブなので持ち時間は30分程度と短かめ。ただ、シングル収録の3曲を含め全5曲、しっかり持ち味だして魅せてくれました。
ギター弾き語りの彼女だが、今夜はさらにカホンとベースを加えたスリーピースで。リズムが入ると
彼女の歌がさらにいきいきとしてくるねえ。
セットリスト
1)寄り道
2)歩いて
3)神とペンだけこの手にあれば
4)night
5)始まり
彼女の歌は、ひとつひとつの言葉がズーンと心に響いてくる。とても、とても言葉を大切に、伝えることを意識して彼女が歌っているのだ。しかも、その深みのある艶やかな声が魅力てきなのだ。
よく声の形容で「透き通る」という言葉が使われ、彼女の声をそう形容する人がいるが、彼女の声は透き通っていないと思う。しっかりした色が付いてて、その色が情景となって迫ってくるのだ。ホイットニー・ヒューストンとかディオンヌ・ワーウィックとかのあれですよ。
日本人女性の声帯はそのDNAによる形状や、日本語という言語に適した筋肉の付き方の結果、欧米人に比べて軽く透き通った声になりがち。逆に欧米人に日本人のアニメ声とかは出そうと思ってもなかなか出せないもの。それは先天的でしょうがないのだが、稀に素晴らしい声のシンガーが登場してくる。それがSuperflyや吉田美和だ。そして見田村千晴の声も、やわではない芯の強さがあるのだ。
彼女の歌を一度でも聞けばよく分かる。その声にしっかり緊張感を持たせ、ひとつひとつの言葉を丁寧に彼女が歌いあげるとき、けっして声を張り上げなくても、圧倒的な存在感を発揮する。まさに歌姫の風格だ。
「始まり」は、まさにそんな曲。冒頭はほぼアカペラ。ポツン、ポツンと彼女がつまびくギターの一音一音が効果音のように、彼女の声の緊張感を高めていくが、その音が徐々に増えていく。やがてカホンも加わり、じわじわっと音が豊かになり、その歌詞にもあるように世界が広がっていく感覚に。
とても骨太な歌だが、実は繊細な計算もあるのだ。どの曲も構成が素晴らしく、惹きつけられる。とても頭の良いアーティストなのだろう。それを険しい表情で力強く歌い、言葉をたたきつけながら、時折見せる笑顔に参る。
「始まり」の歌詞にこんなくだりがある。


そんな歌詞に腕を取られて、自分の視界が広がっていく。そして、僕が一番好きなのが


目の前で未知の世界が「始まる」光景に直面し、心細くなる自分に対して、優しく「大丈夫」と声をかけてくれたような錯覚に。ぜひぜひ、この「大丈夫」でキュンとしてください(笑)
CDはタワレコ限定で絶賛発売中。いや本当にタワレコインディーズチャートで上位爆走中らしいよ。
これからどれだけ世間から注目を集め、メジャーな存在になっていくのか予想はつかない。でもきっと、きっと……