10/11/16 hinaco 瓜生明希葉 SOLT @渋谷O-West | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

今日は、見たいライブが目白押し。その中で、最近惚れ込んでるSHUUBIと、短期間に一歩ずつ着実に階段をあがっていく姿が眩しいhinacoの2人が共にステージに立つ渋谷O-Westへ。

「Girls Pop Collection」というイベントで、計5組が登場。hinaco、瓜生明希葉、SOLT、Jiminy Cricket、SHUUBIの順にステージに上がったが、驚くべきことに、5組全てが素晴らしいパフォーマンス。トリを飾ったSHUUBIもMCで「最初から2階で見てたけど、自分が出ることも忘れて見入ってました」と話すほどで、まさに最後まで目が離せない好ライブだった。

今回初めてライブを見た瓜生明希葉、SOLT、Jiminy Cricketの3組もそれぞれの持ち味をしっかり出した、感動もののパフォーマンスで書きたいこと沢山。なので前3組と後ろ2組分けて書こうと思う。

まずはトップバッター、hinacoだ。

僕が彼女を初めて見たのが2年ちょっと前、7th Floorというライブハウスでだった。当時はまったくのインディーズ。ギター弾き語りでフォークっぽい曲を歌っていたが、その郷愁を感じる素敵な歌声と、一途に突き進もうとしているひた向きさ、スリムでスタイリッシュな雰囲気など、すでに魅力的な素材だった。

その当時からバンドをバックにもっとアップな曲をガンガンやりたいんだ、と語っていたが、ほどなくそれを実現した。eggmanやO-nestのステージに、アコギを白いエレキギターに持ち替えたhinacoの姿があった。サポートにエレキギターやドラムを加え、「満月キラリ」「ジグゾーパズル」など今日も歌ったアップな曲を楽しげに歌っていた。わずか1年余り前のこと。

ただ、この頃は色々な曲風が混在し、まだ方向性に迷いがあった感じ。本人も紆余曲折で心が揺れていたのではないかな。

また、現在の彼女をプロデュースするイワツボコーダイ氏との出会いと、音楽でのタッグを組んだのもこのころ。彼女の新しい一面に、彼が光を当てたのだろう。楽曲も彼との共同制作の色合いが強くなった。

そんな中で、水面下でavexが彼女のサポートを始め、突如、テレビドラマ「Mother」のエンディングテーマ曲で彼女のメジャーデビューが決定。最初の数週間は、ドラマのタイトルロールなどにまったくhinacoの文字が出てこなかったが、彼女自身の部ログなどでこの曲「泣き顔スマイル」でメジャーデビューする情報がすでに出ていた。彼女が興奮と感激でMotherを見ている日記がつづられていて、僕も欠かさずMotherは見たなあ。あれ、最近のドラマでは1、2を争う名作だったと思うな。

そして、今年6月にメジャーデビュー。ベッキーが司会を務める深夜の音楽番組にも出演、TBSにその公開録画を見に行ったが、そこで新曲「101年後」を披露した。ベッキーと対話している姿を見て、あのhinacoが本当にメジャーになったのだなあ、とつくづく感動したものだった。

今日のライブの会場O-Westと同じビルの6階にあるのがO-nest、7階にあるのが7th Floorだ。MCで「2年前に7th Floorでギター弾き語りをしていて、1年前に一階降りてO-nestでバンドでやって、そして今日、2階にあるこのO-Westで演奏できるなんて夢のよう。でも、来年は1階のコンビニでバイトしてるかもしれないから、その時はおにぎり買いに来て」。

さらっと話したけど、その過程をずっと見てきただけに、ちょっと感慨深いコメント。大丈夫、次はコンビニではなく、もっと大きな箱になってますよ。直近では郡山ビックパレットだ。あそこはコンベンションセンターで、1000人規模が軽く入るスペースだけに楽しみだね。

そんなシンデレラストーリーのようなステップアップではあったが、その実力はしっかりしたもの。スリムな体ながら、今日のステージではその存在がとても大きく見えた。昔なかったようなスケール感をしっかり身につけ、大きな舞台にまったく負けていない勢いのある演奏で聞かせた。

特に満月キラリから泣き顔スマイル、101年後と続く流れは感慨でちょっと泣けた。泣き顔スマイルは僕のカラオケの持ち歌にさせて頂いているが、やはり生で聞くといいよね。さすがのドラマッティックな構成で、高揚させてくれた。

少し変わったなあ、と思うのは歌い方の癖が無くなってきたとこかな。節々で少しためて、絞るように声を出すところ結構、好きだったんだけどなあ。メジャーになると修正されてしまうんかな。

いずれにしろ、彼女は今後、ますます活躍できるアーティストだと思うね。Mother後、少し停滞しているようだけど、ぜひぜひavexももっと力入れて売り出してほしいなあ。


さて、2番手は瓜生明希葉。

優しさがにじむ上品な人柄と、透明感ある歌声、理知的な語りが、まるで北欧の有機素材のブランケットのように、心地よく体を包み込んでくれる。キーボード弾き語りで、サポートにバイオリンとアコースティックギター。音楽もどこかカントリー風でもあり、北欧風でもある自然派ポップか。

とにかく気に入った一番の理由は、彼女がステージに上がり演奏するまでのBGMに、20年来自分がもっとも敬愛し続けているアーティストFairgroud Attractionの曲をかけてくれたこと。さすがに遊園地のボーカル、Eddie Readerに比べると、瓜生さんは優しすぎて心をわしづかみされないけど、ほのぼの暖かい気持ちにしてくれた。

曲は「Gift」「Escape on Monday」「Loveholic」と続いて、4曲目と5曲目はタイトルがわからないのだが、特に最後の2曲が気に入ったなあ。ラストは懇親のバラードで、感動的だった。

ホームページ見ると、すごい凝りよう。トータルにすごく才能ある人だなあと思う。ブログを読むと、ちょっとした紀行文に。すべてが美しい。美意識の高さ、知性、才能を兼ね備えた魅力的な方だなあと改めて実感。彼女は今後もマルチに活躍していくのだろうな。



さあ、続いて3番手にSOLT。がらっと雰囲気が変わって、思いっきりロックな空気が登場しただけで広がる。うーん、格好いいぞ。ネットで調べたらこんな解説が。

「3ピースのロックバンド。メンバーは小柳裕美(ヴォーカル・ベース)、大島信彦(ギター)。1999年結成。当初は4人編成だったが、数度のメンバーチェンジを経て現在に至る。裕美のパワフルでリリカルなヴォーカルを中心にレベルの高い演奏を聴かせてくれる。サポートに@nija(dr.&per)を迎え、自主企画small loveを展開中。また、セッション形式のレコーディング、memorandum projectを進行中。


この最後に出てきたmemorandumというシリーズのCD、1と2が発売中で両方ともライブ後に即ゲット。あまりにも僕の心の琴線に触れてきて、これはもう買わずにはいられないというほど。音楽は80年代ロックのテースト。ミドルバラードの曲が多く、とにかく裕美のボーカルがキャッチーでいい声しているのだわ。それをボンボンボンボンとベースを弾きながら、ステージ狭しと動き回り、パワフルに歌う。いいよお。

特に気に入ったのが多分「LOVE SONG」という曲。また、この日のために新曲も2曲「Door」と「天の川」だ。ギターの大島さんがまた格好いい。長身で、おしゃれで、帽子にサングラスをのせてる姿が似合い、B'z稲葉もかなわんぞという色気。ギターソロの立ち姿には、男ながらしびれたなあ。

フロントにこの2人が並び、右も左も格好いい。それに加え、汗を撒き散らしながら、肘を高くあげて派手にたたくドラムも楽しげで、すごくノれる。いや、こんないいバンドいたんだねえ。

彼女らは本当に、音楽をよく知っているなあと思う。拍のとり方や声の効果をよくわかっている。つぼにビンビン響いてくる。今度は、もっと長いライブをぜひ聞いてみたいなあ。

ここまででもう十分に満足したのだが、この後の2組がさらにこれまでの出演者を上回るといっても差し支えないパフォーマンスで、会場をぐんと盛り上げた。その話は次に日記で。