
焼肉屋で、流れてきたジャズを聞いた閃きで、その場にいたサポートギタリストの高田さんに「今度のライブ、全曲ジャズアレンジでやってみたい」と持ちかけ、実現させてしまった企画。提案する本人も本人だが、簡単に引き受けられるサポート陣の自信と技量がすごい。
高田さんも最初、楽譜書き直そうかと考えたが、手練れのサポート陣のこと。楽譜は書き直さず、各自が自由にアレンジすればいいやと。その結果、この日の昼に2時間合わせただけで本番という即興性。なのだが、素晴らしい出来映えだった。
そのサポート陣とは、ギターの高田さん、パーカッションの長濱さん、ウッドベースが坂下さという顔ぶれ。みなジャズもやってるから慣れたもの。この日は黒シャツで統一。様々なジャズアレンジで、見事なインプロビセーション聞かせてくれた。
1)奇跡(8ビートのバラードが4ビートに変身したよバージョン)
2)magic(ガンガンのロックも4ビートでJAZZYにしてみましたバージョン)
3)day after day (情感たっぷりバラードは、うきうきボサノババージョン)
4)くちばしにチェリー(EGO-WRAPPIN'カバーもジャズしてますバージョン)
5)壊れた夢 (ジャズワルツになり蘇った懐かしの1曲バージョン)
6)隠し事(どんな秘密もばれるよボサノババージョン)
7)秘密 (暗い秘め事もラテンで明るくホイッスル賑やかバージョン)
8)涙 (いつもと同じオリジナルですねバージョン、笑)
en. ユメオチ (これは元々ジャズですバージョン)
ちょっと小林未郁風にまとめてみました(笑)
渋谷めぐみが一番難しかったのは、ばりばりのロック「magic」だったとか。まあ、それはそうだろう。しかし、あんな激しい歌を、こんなムードたっぷりに歌いこなすとは流石だよ。
しかもただ歌ったというレベルではない。初めてのリズム、初めてのアレンジとは思えない、達者な渋いジャズシンガーぶり。この日初めて彼女を聞いたとしても、惚れてしまっただろうな。ドレスは妖艶、それでいながら笑顔は無邪気。そのギャップも男心をくすぐる。
彼女に歌の才能があるのは前から分かってるが、今日聞いてもう1つ気付いた。彼女の声帯が、大好きな酒のおかげで、ジャズも似合う声質に鍛え上げられてるということ(笑)
アイドルみたいな声でジャズ歌う奴は蹴飛ばしたくなるが、元々が強くて味わいがある渋谷めぐみの声には似合うのだ。3回に1回はこのアレンジで聞きたいくらい。
今回のライブの成功は、きっと後になって彼女の音楽に生きてくるだろう。活動の幅が広がるのではないか。
女性シンガーソングライターも、当たり前だが歳をとる。自ずと求められる何かも年齢相応に変わるだろう。特にアップテンポな曲を歌うアーティストは難しいよね。そんな時、ジャズもいけるとなると、様々なシチュエーションに対応可能。ロック曲にジャズを混ぜれば、ライブで新しい客層を掴める可能性も広がる。
渋谷めぐみファンとして、このエポックメーキングなライブはやはり逃せない。SHUUBIのライブを最後まで聞けなかったのは惜しかったけど、個人的にはハシゴして正解だったなあと、噛み締める今日この頃。皆様はいかがお過ごしでしょう?