トップはヒグチアイ。
いきなりのピアノ連打でアゲアゲ

会場が200人は入るDUOとあって、思わずいつもよりボーカルに力が入ってる様子。といっても、いつも100%の熱唱だから、少しオーバー気味のところも。それでも熱いパッションが、ビンビン伝わって、会場の大きさに負けていない。
1)永遠のウォーカー
2)君とそのまま
3)理由(競作)
4)証
5)幸せの歌
3)が、いいくぼさおりが提供した曲に、彼女が詞をつけた競作。このいいくぼ企画のタイトルは「きょーさく」と読ませ、いいくぼさおりが必ず他の全ての出演者と楽曲を競作したり、セッションしたりするというコンセプトとのこと。ヒグチアイもこの曲の詩に悩みに悩み、できたのはわずか2日前。しかも歌ったら、キーが少し高くて高音が難しい。若干歌うの苦労していたね。
でもできあがった詞は、勇者が人を殺すことが嫌になり、牢獄につながれ、何が正しく悪いのか悩ましい内容。本人は「考えすぎた」と言っていたが、新境地ではないかなあ。「歩く」ばかりではないヒグチアイもなかなか面白い。今後、彼女が歌いこなしていけば、新しい定番曲になりそうだ。
2番手はオプチミシン
1)青空の夢?
2)冬のため息 春の口笛
3)迷路
4)Hey Boy,Hey Girl
5)君と僕(競作)
6)あなたへ
7)HOME
初めてだが、名前は聞いたことがあった。姉と二人の弟の3人グループ。コーラスがとてもきれい。家族の大切さを、6)や7)で訴えかける。3人が声を合わせて歌うことで、家族愛に説得力があった。一方でHey Boy,Hey Girlのようなノリノリで楽しい曲もあって、ちょっと良いグループでした。
3番手が森恵。
すごい。声がどこまでも伸びていき、DUOを埋め尽くしていく。透る、通る、徹w。癖があまりない、素晴らしい発声。しかし、凛とした凄みがあって、気が引き締まる。言葉の一つ一つが明瞭で、心にストレートに響いてくる。うーん、こんなに凄かったのか。むかーし、このDUOで彼女聞いたときとは随分違う印象だ。
また、ギターの弾き語りで、これだけ格好よくギター弾くアーティストも少ない。もちろん拝郷メイコや神山みさ、あずままどか辺りから、倉沢桃子、Cheri、はるのまい、河合杏林、見田村千晴、阿部ゆうなどなどまで、同じギター弾きたちはそれぞれのスタイルを持っていて魅力的なのだけど、なんていうか森恵はオーソドックスとでも言おうか。
歌もギターも真っ直ぐなんだな。英語の曲でStraight from the Heart ってあったけど、まさにそんな感じ。
歌ったのはこんな曲。
1)?(旅に出よう、といった歌詞。運命にさよなら?白い足跡?でもないような)
2)陽はまた昇り
3)彼方
4)そばに
5)キミ
6)眠れぬ夜(pf.いいくぼさおり)
7月7日のメジャーデビューシングル「キミ」が、やはりすごい疾走感があり、メジャーらしい一曲だと思うが、個人的には結構「彼方」が好きだなあ。♪会いたくない~♪という冒頭から引き込まれる。そして、昨年ずっとこのCDを引っさげて全国のCD店をインストアライブで回ってきた「そばに」は、もう完全に彼女の体の一部のよう。心をぎゅっと捕まれるような感じ。説得力があるんだよなあ。
少し気がかりは、彼女が放出し過ぎているようなところか。蓄積や栄養が足りなくなるとバランス崩れるからね。がんばって。
そしてラストに主催のいいくぼさおり登場。
これがいい出来栄えで、感動的なステージに。確かに森恵は素晴らしかったが、どうしてどうしてさおりちゃん、まったく引けを取らず、完全に自分色の空間を作り出していたねえ。
1)ベランダでボー
2)Love Song (violin なっちゃんfrom optimisin)
3)眠れぬ夜のシンフォニー (同)
4)CHU
5)叫び
6)最後に笑おう
7)ひまわり
いきなり「ベランダでボー」。飛び道具出してきたので噴出してしまった。さらに曲の後半の間奏でマイクスタンドの水平方向を緩めてるではないか。キタキタキターと思わずほくそえんでしまった。そして、見事、歌いながらの秘儀マイク回し3回転は大成功!やったね。のっけからの飛び道具ダブル放射で(笑)完全にペースをつかんだ様子。
2曲目の前にオプティミシンのなっちゃんを呼び込み、バイオリンの伴奏を。実はなっちゃんはアルバム「Hajikemashite!」のレコーディングで、バイオリン伴奏をお願いしたひと。そのまま、2)3)と重厚な演奏で。そしてここから、さらにいいくぼさおりの真骨頂。いいくぼさおりの声も透明感があってどこまでも伸びやか。ただ森恵のドスが効いたストレートな声と、色が違う。あれだけ笑える歌詞の曲を歌っていてもどこか切ないピエロのようなのだ。これが彼女の持ち味。
ピアノや音楽感が素晴らしいのだけど、1万人に1人持っているかどうかという彼女の声帯こそ魅力を作り出しているのかもしれない。
だから、CHUや叫びが心に響く。「まだまだ少なくとも100回位は悲しみに打ちのめされるかもしれないけれど、生きてく限り数え切れないほどの喜びに満ちあふれるはずだから」なんて歌詞が、あの声で歌われると、じわっとくるんだよね。いいくぼさおり、一つの才能だよね。
近作の最後に笑おうは、ラグタイムのようなテーストでいいね。
アンコールでは、出演者全員を呼び込み紹介。即興で「サヨナラ~♪」4重唱(笑)。これは他の出演者も困っていた。打ち合わせしようね。さらに、いいくぼさおりをもっと聞きたかったのに、結局歌わず。みんな期待してたのに。
個人的にアンコールで聞きたかったのは、ひまわり歌った後なので「かすみ草」がないとすると、「CHANTY」かな。奇をてらって「踊れ乙女」とか意表衝かれて面白かったかも。