10/6/23 児玉結里菜 はるのまい 倉沢桃子@FAB | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

順番逆だが、この日は六本木の前に表参道FABへ。出演は倉沢桃子、はるのまい、鎌田純子という面白い取り合わせ。ただ9時には六本木に行かねばならないので、FABは3組目まで。

トップは児玉結里菜。初めて見たが、しなやかで真っ直ぐ。声帯が若々しく、好感度高し。歌詞はシンプル、深みや光るフレーズなどないのが少々残念。女の子のありふれた友情・恋愛話を、修飾や比喩なくストレートに歌う。まあ、そこも含めて、極めて健康的。

MCによると体育会系。小学校から高校3年まで女子野球部一筋、恋愛なし(?)とか。体は強く、スタイルとルックスよく、すっきりした声に頑強そうな声帯、肺活量もたっぷりで、泣き言など一切言わず苦難にも向かえそう。シンガーとして多大な可能性を秘めた真っ白なキャンパスのようだ。

最初2曲をキーボード弾き語りに挑んだが、鍵盤弾きの技量はまだまだ発展途上。ただやる気は旺盛で、運動神経もある。短時間で化けるかも。いいプロデューサーさえいれば、あっという間にメジャーか。楽曲は、いい人見つけて提供して貰えば良い。

最初は周りに乗っかってOK。根性ありそうだし、じわじわと数年かけて彼女自身の個性を出して行けばいい。人生長い。アラサー女性アーティストの充実ぶりが参考になるよ。

セットリスト
1)Dear
2)メモリーズ
3)頑張り過ぎないで
4)ありがとう
5)会いたい

どこかのミュージックスクールかプロダクションに入ってるのかな。同世代のアーティストっぽい女の子がちらほらいて、彼女が終わったら引き上げた。友達でもないようだし、ライバル!?


さーて2番手が、はるのまい。吉祥寺の風、四谷天窓五輪チャンピオンは本物だった。

その場馴れしたところはストリート中心に磨いてきたモノだろう。鋼のようなステージ強さがビシビシ。どさ回りで鍛え上げられた演歌歌手のよう。ギター弾き語りなのだが、演奏が始まっただけで場の空気が締まる。水準高い。そして可愛いルックスながら、ハスキーで渋く力強いボーカルがいい。

タイトル分からない曲もあったが曲順は以下。
1)誰だってヒーロー?
2)同じ時代の中で?
3)My Dear
4)Sky Letter
5)メリーゴーランド

気合いが入ってる。1曲目の迫力に持っていかれる。オスって応えたい感じ。すかさず2曲目では、客席から手拍子。手拍子を打たせる音楽のノリを知っている。

4)のバラードは一転、様々な後悔を思い起こされた。七夕の織姫彦星のような歌詞なのに。同じレターつながり、迫ってくる迫力で甲斐バンドの「Blue Letter」という曲を思い出した。

特に気に入ったのが最後のメリーゴーランド。ノリが良くて、迫力もあり。かなり手練れの歌い手な。またききたし。


3番手は倉沢桃子。

いつもそうだが、ギター1本弾き語りなので転換に時間がかからない。まだ会場がざわつき、席を立っている人も多いが、さっさとポジションに着き(ステージ中央に着席)、静かなアルペジオから演奏を始める。いつもの事だが、波紋が広がるようにステージ近くからシーンとなっていく。一番後ろまで静かになるころには、もう完全に倉沢桃子の空気だ。

桃子さんは本当に独自の世界観があり、それを表現する術もよく分かってるアーティストだ。客席に手拍子を求め、おおいに盛り上がるような事態は決してない。声張り上げる曲もない。ただ心の襞に染み入る人間に対する様々な想いが去来する。ジワーときて、もう目を耳を逸らせなくなる。いい歌い手だ。

1)未完成
2)人間らしく
3)?
4)名前を呼んだ
5)鶏肉と塩コショウ
6)1208

(3が思い出せない。何だっけ?)

「鶏肉と~」は新曲かな。自分が鶏肉を買ってきて、彼が塩コショウして、一緒に料理し、一緒に食べる。そんなささやかな幸せの光景を描き出す。一緒に彼と星を見に行く「オリオン座流星群」の続編のような作品。最近のささやかな幸せ歌は、じんわりいい。哲学路線→家族愛路線→に続く幸せ路線、なかなかいいね。

この後に鎌田純子だったが、残念ながら店を出る。ハシゴだ。