本筋に戻ろう。
昨年のワンマンは豪華サポート陣を配し(親父さん、格好良かった。さすがプロ)、ドラムやバイオリン、ベースなどを加えた分厚い音で客席をノリノリにした彼女たち。今年、活動再開してからは、原点回帰(?)したのか、姉妹2人での活動中心に。
それでもタイニーサンは変わらずいいね。出だしキーボードの設定が違っていて、前奏やり直したのはご愛嬌。逆にお客さんもほぐれて、いいムード。狙ったか(笑)そして歌い出した。


一曲目に選んだのは「ひこうき雲」。この冒頭を聞いただけで、ぐっときてしまった。ノスタルジックで忘れていた何かが込み上げてくる。それにこの選曲に、冒頭の歌詞に、彼女達の今の気持ちが込められているのだろう。
前にも触れたが、昨年のワンマン以降の3ヶ月間の活動休止中に彼女たちは色々な別れと出会いがあったという。出会いについては、MCでも辻仁成のライブで詩が降りてくる瞬間を目撃したことや、その後の打ち上げに参加して中山美穂と一緒に飲んだこと(ブログから)などを明らかにしている。一方で、別れについては多くを語っていない。それは、公にすることでないから、それで良い。
ただ、こうして2人で活動を再開したことから、きっと決意を新たにしているのだろうと憶測できる。その気持ちが「ひこうき雲」から始めたステージに現れている気がした。そして、もう一つ、あれっと思ったのがラストの曲。
「Tiny Train」だったのだが、歌う前のMCで、「私たちにとって音楽が大切なものであることを改めて認識した」といった内容の話を語った。このMCの流れなら昨年は「Music Life」を歌っていたと思う。タイニーサンは同名のセカンドアルバムを売り出し中で、バンド編成でライブを重ねて、とてものっていた年だった。それだけに、「Music Life」が一番その時の彼女たちの気持ちにしっくりきていたと思う。
ところが、今回のラストは「Tiny Train」。どちらも、バンジョーをかき鳴らし、踊りだしたくなるような楽しいタイニーサンの代表曲で甲乙つけ難しなのだが、あえてTiny Trainを選んだのはファーストアルバム「Tiny box」の曲。ここにも初心に帰る決意のようなものが滲んでいた気がする。
パーカッションなどがない2人での演奏で、選曲がバラード多めになるのは自然か。この日は最初3曲がスローで、最後2曲がアッパー。どちらも良いが、やはりさえちゃんのバンジョーがもっと聞きたいというのが個人的な希望ではある。
セットリスト
1)ひこうき雲
2)あなたがいなくても
3)ただあなたが好きだった(確か)
4)曲名未定(早く決めて)
5)TinyTrain
2人の持ち味である姉妹の息があったコーラスの妙は、バラードで聴き応えある。
単にきれいなハーモニーなのではなく、2人の妙齢の女性が、自分たちの気持ちを肉声で歌っているというリアル感が魅力だ。歌詞もよく聞くと、そんなにきれいごとばかりではない。そこがいい。
今日は歌わなかったけど「弱気な僕の日々」とか「戦いの日々」とか、視点が現代的なOLらしさにあふれていて、学生の延長線で詩を作っている若いアーティストには出せない味がある。あ、いや、2人が歳だと言っている訳ではありません。はい。
その中で、体が一番踊りだしそうになったのは4曲目。すいません、名前はまだ未定だそうです。
昨年のワンマンで披露した、すごく格好いいカントリーやアメリカのオールディーズのテイストが盛り込まれた一曲。3)、4)はこれまでのアルバム未収録曲。今年はぜひ、これらの曲を入れたミニアルバムを出して欲しいなあ。
3月2日のライブでは、バイオリンのまいちゃんが参加した3人編成になるそうだ。これも楽しみ。よりカントリー風なノリを期待したいな。
おっと、タイニーサンだけで長くなり過ぎた。よって、「いつか」のレビューは次の稿に。