1月11日 ヒメノアキラ 拝郷メイコ @graffiti | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

ヒメノアキラと拝郷メイコ。この2人の競演も注目だった。かすかに火花が散ったような。

ヒメノアキラが今年デビュー十周年。拝郷メイコが9年目。共に長い間、女性シンガーソングライターとして活躍し何度も共演してきているだろうが、そのカラーは勿論、音楽観みたいなものの違いが滲んで見えた。

3番手に登場したヒメノアキラ。多分、彼女を見にきたというお客さんも多いのだろう。拍手や熱い視線を送る男性客が多い。(というか、女性客は全体で数人だけ、藁)

「艶姿を意識して」と頭に花のリボンでかわいらしい。ウッドベースとパーカッション従えて、自身はキーボード。曲風も、そんな可愛らしさを意識した流れだ。

1)シンパシー・イン・ワンダー?
2)ハロー,ハロー
3)Starlights
4)おみくじの曲
5)お正月
6)引っ越しの夜
7)勇敢な鳥

感心するのは、彼女のソングライターとしての才能だ。流行りの音楽や様々な歌手の良い所を吸収し、自分なりの味付けをして軽やかにオリジナルな曲を生み出せるようだ。さらに、それを即興的に弾きこなすキーボードプレーヤーとしての実力もある。

例えば、おみくじの歌。年始に引いた恋みくじに詩のような文句が書いてあったとか。それに曲を着けて歌ったのだが、よく出来てるのだ。音符アイスクリーム、甘く儚く音符といった内容(どういうくじ?)。どんな端緒からでも、さらっといい曲を紡いでしまう。

演奏を聞いていて、先日FABで見た伊秩さんに通じる才能を感じた。彼はその能力を活かして、SPEEDなどに楽曲を提供。ヒットメーカーになった。小林武司や小室哲哉などもその系譜だろう。

前にも書いたが、ヒット曲には2種類あると思う。1つは、大衆が理解している心に響くパターンをうまく取り入れた曲。もう1つは、大衆を未知の世界に連れていくオリジナル度の高い曲。勿論、ヒットした途端に、それは未知で無くなるから、はっきりした色分けは難しいのだが。

加藤和彦とか、桑田けいすけらが「ヒット曲なんて、いつでも書ける。でも、それじゃ、ツマラナイでしょ」と言っていた。能力の高いアーティストは、ヒット曲のパーツの引き出しが多く、それらを目的に合わせて取りだし、組み合わせてを楽々と曲に仕立てる。ただ、そのままではオリジナルではないので、味を変えたり小憎らしい演出を施す。桑田の歌謡曲のオマージュなど、テクニックを逆手に取って楽しんでる例だと思う。

でも、だから、演歌は難しい。お約束を盛り込まないと客に受けない。しかし、マンネリと紙一重だ。何で魅了して、新しい客を掴むか。1つは人間としての魅力とその演出力であり、1つは歌唱力だろう。演出はご当地演歌とかズンドコとか。ただ磨きに磨いた歌唱力がないと勝負にならない。だから、演歌歌手の指導育成は厳しい。

さらに大変なのはオペラだ。数百年前の楽曲を歌い継いでいるのだから、未熟者が挑んでもマンネリの範疇。先人の偉大な演奏と比べられるのがおち。そのため、体を楽器とした超絶技巧が競われ、声帯の使い方も極限を試す。技を極めた世界でも数人の歌手が称賛を独占し、観客は高い金を出す価値を感じている。

POPはその点、間口が広く垣根も低い。流行りという一過性で良ければ大量生産が可能だ。伊秩さんもライブで数百と曲を提供していて、思い出せないこともよくあると堂々と話していた。その中で何を目指すのか、そこはとても重要だ。

ましてやヒップホップやエレクトロなんて、語弊があるけど何でもありだ。記憶に残らないし、曲の一部や歌詞を違う曲と取り替えても判らないくらいだ。誰が歌ってもさほど違わない(Michiは好きだけどね)。

それでも、そこは需要と供給。ニーズはあるし、それが好きな人もいる。商業主義的には、音楽産業の振興のため大いに盛り上がって欲しい。

POP音楽は超絶技巧を突き詰めなくても良い。でもだからこそ、他から際立つ個性が必要だろう。

商業主義にのった曲も評価するけど、自分個人が何に感じるかは別。僕は偏りたい。大衆に受けると分かっている曲ではツマラナイ(カラオケでは歌いますがガーン)。


だから、長い前フリだったが、拝郷メイコはいい。もがいて、戦って、自分の世界、自分のフィールドを作り上げてきたのだろう。POPという文法のなかで、他の誰のものでない音楽を持っていると思う。

ヒメノアキラが歌ったハローハローは、HELLO TREEとややかぶるが(ピクッ)、今夜歌ったモンスターやgarden、歌わなかったけど悲しみclosetやソイトゲヨウなど、彼女だからこその歌が心地好い。彼女が生で歌うからライブに行きたくなる。

今年の目標は、「自由」「没頭」「年不相応」という。抑えていたやりたかったことを、今の気持ちのまま行動する、との決意だ。

1)It's show time
2)トマトスープ
3)変身願望
4)Honey Lemon
5)モンスター
6)Garden
en. よるのなか
メロディー


いずれにしろ、今日出たいいくぼ以外の3人が参加しているコンピレーションアルバム「If the girls are united」はアマゾンで購入済み。まだ届いてないが、メイコさんのアルバムの紹介文句が格好良かったビックリマーク「音楽と共に生きていく覚悟を決めた女性シンガーソングライター11人がここにいる。聞いたら凄いことになるよ」

届くのが楽しみです