1月11日 ありましの いいくぼさおり@赤坂graffiti | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

赤坂グラフィティ「新春艶姿2010」ラスト3日目に行ってきました。9~11日の3日全て見たかったのですが、人生ままならず(笑)

連日、バリバリ活躍中の女性シンガーソングライター4組がステージを湧かせたこの企画。昨日の玉城ちはるや木下直子、辻香織、初日の坂本麗衣や河合杏林も聞きたかったぜ。

最終日はいずれ他日に劣らぬ強力布陣。ありましの、いいくぼさおり、ヒメノアキラ、拝郷メイコの順に登場。グラフィティは大いに盛り上がっていた。客は立錐の余地なし、100人入ったのではないか。

感想は、やはりトリの拝郷メイコはさすが。そしてトップのありましのは、優しい、いい人だ。その他、色々な見方で楽しめた一夜だった。前後半に分けて記してみる。

メイコさんも言ってたが、今宵はひらがな名、かたかな名オンパレードで文中に埋もれてしまいそう。先頭切って現れたのがありましの(ほらっ、笑)これにいいくぼさおりやあべさとえとかあずままどかにはるのまいなど並べたら、もう「この中に隠れてる女性シンガーを探せ」クイズみたいだ。

で、しのさん。穏やかで柔らかな雰囲気を作り出し、客席をリラックスさせてくれました。

1)ダイヤモンドの涙
2)The Water is wide
3)Don't know why
4)愛のうた
5)夜の街
6)くじら橋

今日はとってもいい表情。グラフィティのお客さんの反応も良く、気を良くしたしのさんもうまく声かけ、盛んに「ありがとう」を連発。客席とのコミュニケーションがうまくいって、素敵なステージが作れた印象。選曲も彼女らしさを上手く伝えられる構成だった。
1でリラックスさせて、2でアイルランド民謡。川が大きすぎて、とでも訳すのか。歌詞は英語で聞き取れなかったが、荒涼とした北の大地に建つ灯りがもれる一軒家に、愛する彼女が待っている―そんなほのかに心暖まるイメージが広がる。郷愁をハーモニカの間奏が盛り上げてた。それにしても、しのさんの英語うまい。

3はノラ・ジョーンズ。スローでメロウ。本物とは違うね。

4、5は一気にアップテンポで会場も手拍子で盛り上がる。こうした曲でもしのさんのギターがなかなかいい。サポートのパーカッション男性のコーラスも優しい声音で、2人の掛け合い(あくまで、しのさん主です)も暖かく応援したくなる感じ。

最後は帰り道、必ず渡る「くじら橋」の曲。彼女の微笑みに嬉しくなる。本当に優しさを感じる。これからもその微笑み、楽しみにしてます。


2番手に「いいくぼさおり」。イヤー、今年は彼女の年になりそうだ。少なくとも僕は可能なライブは全部行きたいくらいだ。

ライブは、いつものように「はっじけまして~」と「Chanty」でスタート。足は使わなかった(笑)が、マイク回しは…失敗!!後頭部に直撃だ(大笑)

ただ今夜のいいくぼは、何となく、らしくない。新年の計で「今年は女らしく」とか決めたのだろうか(笑)弾けてないのだ。

明らかに意図的なのだが、
2)光
3)うさぎ
4)手のひらの雪(新曲)
とバラードが続く。
さらに、ここから弾けるのだろうとワクワクして聞き始めた
5)CHU
6)叫び
の2曲も、いつもよりスロー。
そのため、緩急明暗のコントラストが大きいからこそ、よりドラマ性が引き立つ最後の「カスミソウ」の感動もやや希薄に。

しのさんが会場を手拍子で暖めて、彼女よりずっとノリノリなはずのいいくぼには、最後まで手拍子が起きなかった。何かコミュニケーションがぎこちない。

せっかくMCの「蟻に胃袋が、自分用と仲間用に2つある」という蘊蓄と、「自分も大切な人と栄養分分かちあえる人になりたい」というコメントで、いいくぼらしさ伝わったのに。

彼女は考え過ぎて上手くいかないことが、よくある様子。心の風邪にでもかかったのでしょうか。

しかし、彼女のバラードはまだまだ。音大出身らしく、曲をうまくまとめてしまうキライがあり、自分らしさをスローな曲でうまく出せてない。そのため強く心に響かない。以前からの課題だけど、そのために弾けないのでは、魅力を殺してしまう。弾けたバラードのピエロの涙のような矛盾こそ、いいくぼさおりにしか出せない技になるような気がするのだが。

でも、彼女の才能や感受性、それにセンスには、とっても惹かれる。今年1年、またどんなメタモーフォシスを見せてくれるか楽しみだ。

アキラ&メイコは次稿で