
いつもと違う


なんとキーボードとフルートのみ。ヨッシー&ナミちゃんのスイートライフ従えて一曲目は「えんぴつ」。アコースティックで、いつもより遅いテンポ。抑えめな始まりだ。
最近の渋谷めぐみのサポートはバンド編成で、プロミュージシャンらの分厚い音をバックに早めのテンポで演奏する事が多い。ギターは通常、高田さんの技巧たっぷりのエレキで、ドラムとキーボード、陽のアコギ&コーラス。さらに時にウッドベースを加える。
毎回どこかしら高田さんがアレンジを変えていて、他の演奏者も即興的にそれに合わせ、リハなしでも渋めぐがしっかり歌を作っていく。そのライブ感が迫力を生み、ステージの魅力となっている。アルバムと同じ演奏で聞きたい曲もあるが、一度限りの演奏だからこそライブを聞き逃せない。
そうした意味では、この日の演奏は新鮮。ギンギンのエレキも、ガンガンのパーカッションもなく、フルートのみ


ドラム系がないこともあり、リズムはkey.のヨッシーがリード。コードだけでなく、合間に様々な音を加えて音色豊かにするが、かなり大変そう。でも徐々に今宵のしぶめぐスペシャルな空気が醸成されていく。
2曲目に「day after day」いつもの粘っこいエレキの前奏がないため、あっさりとした印象。この曲が好きなファンも多いが、高田さんのギターがないと変わるもんだ。
3曲目「隠し事」
4曲目「涙」
とここにきてアップテンポな選曲に。こうした曲ではやはりドラムが欲しい。でもしぶめぐの力強いボーカルに、徐々にエンジンがかかってきて、良いノリに。
彼女はいつもスロースターターだ。最後には圧倒されるのだが、いつも序盤は声がハスキー気味でおとなしめ。バンドをバックにビートの効いた「東京」などの曲で始まる時も、やはり声のノリがぐぐっと変わってくるのがライブ中盤になる事が多い。この日のアコースティック調では、全体にテンポが遅めで、「涙」ではなおさらその傾向が顕著に。もう少し早いほうが、サビにかけて盛り上がるかな。
5曲はツーマンの曲交換で、陽の「だいだい」。歌うと難しい曲です、と言いながら、悪くなかった。
ここでスペシャルゲストです、と陽さんを呼び込み、ギターを加えて「ユメオチ」。パーカッションのドンドンドドドンと始まるこの曲ならではの前奏ができないなかで、キーとギターで雰囲気出している。やはりギターがあると演奏に厚みが出る。陽さん、でずっぱりご苦労様です。
ユメオチのラストのリフレインでかなり力が入ってきて、7曲目の「愛ことば」に。本日一番良かったのがこの曲だったかな。バックの構成と声のノリが、この佳境で高みに到達した感じ。フルバンドの時にこの曲がベストになることは珍しい。それぞれの曲に最適な演奏ってあるんだと改めて認識。
でも一番心に響いたのは、その次に歌った「会いたい」だった。
夏の終わり、秋の寂しさのなかで切なく「会いたい」と歌うこの曲はマイフェーバレイトソング。季節にもぴったり。渋谷めぐみの声質やスローな曲の歌い方にあっていて胸がキュンとなる一曲だ。ただバンドより、アコギ向きなバラードのため最近のライブでは歌われず、残念に思っていた。それだけに、この日選曲してくれて感激した。
しっとりした後はラストへ向けて定番のアップテンポの2曲「deep」「eternally」、そしてラストの11曲目に「さよなら」
あれ、eternallyの歌詞が違う?それと遅いかな?この手の曲はやはりビート効かして早いテンポにした方が渋めぐの力強いボーカルに合ってるかも。
それとちょっと残念なのは、客席から拍手で演奏盛り上げづらい所。彼女の曲は全体にそうなんだけど、夜が似合う。明るく拍手で盛り上がろう、って雰囲気になりずらいんだよなあ。拍も少しずらして歌うなど玄人っぽい所も手を叩きにくくする。何より彼女自身が拍手求めてくれないから、みんなモジモジしてしまう。いいんですよ、客席に堂々と拍手求めて。客席も一緒に盛り上げさせて下さい。
それでもアンコールの拍手が優しいお客さんから上がり、「キセキ」で締めくくった。全12曲、すべてオリジナルのステージを堪能できた。最近、これだけの曲数歌ったのは昨年末のレコ発ワンマンと年越しライブ以来かなあ。
今回、高田さんが不在で、いつも言っている「私、1人でもMCちゃんとできます」が試される状況に。が、案の定、今宵も話題をナミちゃんや陽さんに振り、バックに頼りがち。まだまだ修行が足りませんな(笑)
10月も是非、何処かで歌って欲しいなあ。楽しみにしてるよ。