9月14日 愛留 内崎有梨 @7階 | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

新しい名前、愛留 でのデビューライブとなった綾音ちんが、じつは今宵の七階のトップバッター。

トップバッターといえば、この日、イチローが9年連続200本安打の大リーグ記録達成!!最高の水準を9年維持し続ける事の偉大さは途方もないな。想像さえできない。本当に本物のメジャーだよね。閑話休題

音符甘いキスの虜になった私は貴方がいるから。間違ったりしない音符

ウワーッ、相変わらずゾクゾクするよ、彼女(愛留)の歌は。他にない特長ある甘くて強くて、鼻にかかったあの粘っこい声!!まさに天性だよねえ。

彼女は絶対、何らかの形でもっと世に知らしめるべきだよなあ。まさにドラマの主題歌とか。個人的には、FF13の主題歌歌って欲しかった。名前変えた理由がその辺りにあるのではと少し勘繰ってたんだけどね。

これまでやってきた本名から、新しいアーティストとしての一歩を進めるために名を変えたという主旨のMCがあった。

数ヶ月前、本名でのラスト前ライブでそのことを聞いて、ブログなどで名を変えるとの報告も読んでいた。心配したのは、彼女が本名で歌ってきた曲をもう歌わなくなるのでは、ということだった。

それはマジ困る。だって彼女のこれまでの曲は聞けば聞くほどハマる!!麻薬のように危険な香りたっぷり。僕はすっかり彼女の曲のジャンキーで、それを生で聞けないとなると禁断症状が出そうだったから。「あなたのいない世界に愛の歌は響かない」んだよ。まさに彼女の曲で一番好きな曲名(長い!)の通り

で、今夜歌った五曲のうち、最初の3曲は従来通りのピアノ弾き語り。3曲目は冒頭の「甘いキス」で安心したよ。これまでの曲も歌い続けるんだなーと。そして変わらぬあの歌声に、体が震えた。

そして4曲目に、ピアノからキーボードに移動。リズムボックスを使って、よりポップというかクラブっぽい曲調に。特に最後の五曲目「サイクル」はなかなか秀逸で美味しいノリドキドキ

新生 愛留の可能性感じさせてくれたライブだったよ。


2
番手のhinacoに続いて登場したのが、東京初ライブという内崎有梨。

前半3組でもっともお客さんを動員。福岡では有名なのでしょうか。

東京でよくこれだけと驚き。


九州・福岡を拠点にASIAで活躍する音楽クリエイター集団という

「STATES OF NINE」が後押ししているらしい。作詞家・作曲家・アレンジャー・楽器奏者らが集まり、アーティストへの楽曲提供やプロデュースを

しているとのこと。内崎をプロデュースしているのがeichiさんというらしい。

多分、そうした人々とつながりがある東京近郊の関係者が集まってきたんだろうね。


聞こえてきた、そのお客さん達の会話
「前の2人上手かったなあ」「有梨大丈夫かなあ」
微笑ましい。


ステージの彼女を見るとその気持ちもわかる。

非常におとなしく、人見知りするタイプのようで、

周囲のおじさんたちが思わず心配してしまったのだろう。

実際、愛留もhinacoも歌唱力では水準高いからね。


それでも大勢が彼女をプッシュしている理由が、

彼女の「癒しボイス」にあるようだ。


歌手でいうと倉木麻衣に近いのかな。線の細いアニメのような声。

ボリューム感もなく、かろうじてマイクに救われているような。

オリジナル1曲以外は、英語のカバー曲ばかりだったようだが、

うーん。なんかBGMになっていたな。訴えてくるものを感じなかった。


癒し系って難しい。

日本人の女の子って、こういう声の持ち主が多い。それが

ささやくように歌うのって珍しくもない。その中で個性を発揮していく

には、プラスアルファが必要だ。


例えば、アニメ系の声というなら拝郷メイコがいて、心が洗われる表現力がある。例えばcossamiの優しい声が紡ぐ草原のような光景と、二人の女性としてのチャーミングさも魅力的だ。むかーし谷理沙という歌手がいたが、不思議な空気感があった。癒しの声というなら、エンヤとか海外の偉大なアーティストも多い。天使のような声というなら、オペラ歌手の鍛えられた声帯としっかりした技量からうまれる優しい声は、まさにこの世のものでない至福感を生み出す。


それに英語の歌を歌うなら、発声から変える必要がある。日本語と英語は声帯や口蓋の使い方が違う。青山テルマとかAIとか、ハーフやクオーターで海外在住経験がある歌手は自然に身に着けている。ただトレーニングだけで身に着けた歌手もいる。Make-Aとか、英語で歌わせるとうまいよな。

そういうの今の日本人は聞いて育っているから、内崎の中途半端な英語の曲を聞いているとフラストレーションがたまる。


いずれにしろ高いレベルで「癒し」をお客さんに与えることは、簡単なことではない。単に優しく細い声で歌うだけでは、聞き手に安心感や心の治癒を与えてくれない。身を包まれたくなるようなスケール感が必要なのではないか。


内崎はまだ若い。これからだとは思う。ただ、このままではBGMどまりのような気がする。もっともっと歌いこむこと、声帯を鍛え、歌唱力を磨き、客席とのコミュニケーション能力を高め、もっとずっと世界をひろげ、人としての幅や深さを向上したほうがよい。


歌手デビューというのは、実力と関係なく周囲の力で決まったりする。

彼女を支えるギターとガットギターの二人の演奏水準は高く、今日のライブが飽きなかったのは、ひとえに二人の演奏による。

福岡から彼女の名前がもっと聞こえてくる日がくるかもしれないが、それが周囲の力ではなく彼女自身が実力を高めてであることを祈る。