ひーたん生誕祭 堀川ひとみ | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

白い壁、150人収容の糀ホールは、意外に素気ない。やや高いステージ、後ろへ昇り傾斜し視界が確保された客席、ホールなのに薄い扉。劇的な空間というより、演説やタウンミーティングの場のよう。



なんかしっくりこなかったんだよなあ。生誕「祭」にの場としても、深い闇を感じさせる堀川ひとみの
コンサートにも。



つまり、これはひーたんとファンのミーティングの場という訳だ。しかも、動員数は約百人!インディーズ歌手が1人で開いたイベントとしては、ミーハー系やノリノリ系でない事を考えるとこれは凄い。



彼女のライブの本領が発揮されるのは、蟻地獄に引きづりこむような強い吸引力を持つ内面世界が場を覆う時だ。聞き手はその世界の中で迷子になり、とても心細い。そこに菩薩のようにひーたんが手を差しのべる。子羊はその手に、救いを見出だす。そしてひーたんの楽曲に麻薬のように填まってしまうわけだ(陳腐な比喩だけど)。



この夜、ひーたんの世界は開いていた。ゲストの羽純さんのバイオリンとひーたんのピアノのコンチェルトは愉しげで。写真撮影タイムまであり、暖かい拍手のアンコールあり。ファン指名しての遊びあり。賑やかな空間だった。二次会も40人参加しおおいに盛り上がったそうだ。



彼女という存在は求められている。ある層には間違いなく。これだけ存在意義がある歌手って、そうはいないだろう。つまり代替が効かないのだ。ミーハーバンドなどとは違って。



この先はどうなるのだろう。突き詰めて普遍化するか、開いていくのか。個人的には前者になって欲しいけど。でも人間ってもっとずっと複雑なもの。思いもよらない展開を、ひーたんには期待せずにいられない