触覚の発達の重要性 | あじあん Asian ST(言語聴覚士ブログ)

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回復期病院→JICAボランティア→大学院で学び、その後は神経発達症のお子さま等の支援に関わらせてもらい、現在は総合病院に勤務しています。言語領域に関わるトピックや、問題解決に役立つ情報を提供していきます。関心のある方はどうぞお立ち寄り下さい。

こんにちは! AsianSTです😊

 

 

久しぶりの更新になりますが宜しくお願いいたします🙇‍♂️

 

 

今回は『触覚の発達の重要性』をテーマにお届けします!

 

   

 

 

前回も触覚がテーマでしたが、前回の投稿から、期間が空いてしまったので、はじめに少しおさらいをしておきます。

 

 

触覚は、一般的には何かに触った時に感じる感覚のことですが、触覚には「原始系」「識別系」があります。

 

 

「原始系」は、生命維持に関わるもので、本能的・反射的に働く感覚です。そのため、生まれて間もない赤ちゃんには多くの「原始系反射」が見られます。

 

 

例えば、尖ったもので赤ちゃんの足の裏に軽く触れた時に、素早く足を曲げて引っ込める

「逃避反射」があります。

 

 

また、背中の皮膚をこすると身体をねじる「ギャラント反射」もそうですが、これらは、自分を守る、生きていくため、また神経の発達を促すために必要です。

 

 

この働きは脳幹(生命維持の要)にコントロールされています。

胎児期後期から、生後1,2ヶ月までみられると言われています。

 

     

     

 

「識別系」は、知的な情報処理をするための機能です。例えば、ポケットにハンカチが入って

いても、必要な小銭を取り出すこと、あるいは、視覚に障害のある方が、点字に触れることで、文字を識別することもそうです。

 

 

つまり、触れたものの「素材」「かたち」「大きさ」を知覚し、それがどの「位置」にあるのかを認識する触覚の働きが「識別系」と呼ばれることを前回お伝えしました。

 

 

触覚は、健常に発達していけば、通常は「識別系」が優位となって働き「原始系」は、いざと言う時に働くようになります。

 *危機的状況に遭遇した場面で働く⇒熱いものに触れた時など

 

 

しかし、触覚が適切に発達せず「原始系」が優位に出てしまっているお子さんも少なくありません。その一例が、前回お話しさせていただいた「爪切りに激しい拒否を示すお子さん」です。

 

 

このような状態は「触覚防衛反応」と呼ばれます。これは、「原始系」の本能的な触覚の機能が過剰に働いてしまっている状態のことを言います。

 

 

「触覚防衛反応」が現れると、爪切りを嫌がる他にも、

 ・歯磨きを嫌がる

 ・お風呂を嫌がる

 ・散髪を嫌がる

 ・耳掃除を嫌がる

 

  

 

など、お子さんにより様々な状態を示します。

 

 

つまり、「触覚防衛反応」は、愛着行動(アタッチメント)やスキンシップの発達をも阻害してしまい、情緒、対人関係、言語発達、社会性にも影響を及ぼすことになります

 

 

さらに、この症状があることで、他者と心を通わせるなどの共感性の獲得が難しくなったり、また親ですら、不快刺激を与える存在と捉えられてしまう可能性もあるのです。

 

 

触覚の発達の遅れは、情緒や感情の発達の遅れとも密接につながってくると言えます。

 

 

そのメカニズムは、皮膚からの体性感覚情報(触覚)が、情動を司る脳の大脳辺縁系と連携することで情動の発達にも関与していきます。

 

 

新生児は、自分の手が顔に触れる接触と他者への接触の区別ができている、という発達研究も報告もあります(Rochat&Hespos,1997)。

 

  

自分の手が顔(あるいは身体のどこか)に触れた時には手は顔を感じると同時に顔は手を感じます(このことを二重接触と言います)。つまり,「二重接触」を通じて,赤ちゃんは,

環境中の他のものではないものとして,自己身体を知覚することができる(Rochat, 2001, 竹下,2013)ということになります。

 

 

また、五感の中で、最も早く機能し始めるのが触覚と言われています

(小西,2009)。

 

 

今回は、木村先生の書籍を中心に発達研究の知見も取り入れてお話させてもらいました。

 

     

 

最後までお読みいただきありがとうございましたm( _ _ )m  

それではまた次回お会いしましょう(*^▽^*)!